店の入れ替わりが激しい飲食業だが、世代を超えて長年愛されてきたお店には、人を魅了する何かしらの理由がある。熱々をフーフーしながらズルズルやりたい時候。きょう11日は「麺の日」でもあることだし、昭和テイストの中華そばにスポットを当てたい。最近増えてきたボリューム感満載のインパクトやキラキラした「映え」とは無縁だが、肩肘を張らずに普段通いしたい正統派の一杯に迫る。
来年は「昭和100年」に当たる。今回紹介するお店は、昭和、平成、令和と激動の時代を駆け抜けてきた人たちの止まり木となり、明日への活力を与え続けてきた。店主たちに話を伺うと、手間暇を惜しまずに受け継いだ調理法を愚直に守りつつ、世の新しい潮流を敏感に汲む不易流行の精神が息づいていた。
県内の老舗4店の自慢の一杯を紹介する
昭和一色の世界
富山市中心部に近い、いたち川のほとり。閑静な住宅街に佇む創業80年の老舗。のれんをくぐると昭和の面影を色濃く残す壁のメニュー札や黒電話が目に入る。
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