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 国際自然保護連合(IUCN)の研究グループは、淡水にすむ2万3千種以上の魚類などの生息状況を世界で初めて地球規模で網羅的に評価。実に4分の1が絶滅の危機にあると発表した。日本からは、名城大学の谷口義則教授、京都大学の渡辺勝敏教授など10名以上の研究者が評価プロジェクトに参加した。

 淡水は人間生活や経済発展に欠かすことができない資源だが、そこにすむ生物は常に多大なストレスにさらされている。世界中の専門家1,000人以上が20年以上かけ、世界で初めて地球規模で網羅的に魚類、甲殻類、トンボ類など2万3496種の淡水動物相について生息・保全状況を詳細に調査した。

 その結果、評価対象である世界の淡水生物種の約4分の1が絶滅の危機にあると判明。その割合はエビ・カニ類等の節足動物で約30%、魚類で26%、トンボ類で16%だった。1500年以降、淡水生物は89種以上が絶滅し、さらに178種が絶滅に瀕している。詳細な分布・生息状況が不明な種もあり、数字は過小評価の可能性が高いという。

 要因として、気候変動(地球温暖化)や異常気象による水位低下、農業・工業目的の過剰な取水、無秩序な漁業や観賞魚販売等を目的とする乱獲、ダム開発、汚染、外来種による捕食や競争等による個体群の減少が指摘された。1970~2015年だけでも世界の沼地や湿地、池などの湿地帯の約35%が失われたが、これは森林喪失の3倍のスピードにあたる。

 淡水生態系は淡水生物の重要な生息地で、気候の調整装置としても重要だが、多くの場合目に触れず、意識すらされずに傷つき、失われてきた。今後、種の減少や喪失を防ぐことが急務であり、人間生活を守ることにもなるとしている。

論文情報:【Nature】One-quarter of freshwater fauna threatened with extinction

京都大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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