今回のガリバー企業は、金属の製品づくりに欠かせない炉を製造・販売する中外炉工業。
私達の身の回りにある、ほとんどの金属製品は硬さや粘り強さなど、金属の性質を変える「熱処理」が施されています。
中外炉工業は最高3000℃にも達するという熱処理に欠かせない「工業炉」や燃焼装置「バーナ」を開発する業界のリーディングカンパニーです。
高温の炉で加熱し、その後、急冷することで金属を硬くしたり、金属の表面だけに炭素を多く染み込ませて表面だけを硬く、中はしなやかにすることで耐久性が高まる技術など、あらゆる熱処理を顧客のニーズに合わせてカスタマイズできます。
戦後、重工業や自動車産業など日本の経済成長を支える設備を生み出し、これまでに100種類を超える工業炉を生み出してきました。業界では“工業炉のデパート”と言われ、それこそが強みとなっています。
去年11月には新たな熱処理技術の研究を行う施設を開設。29基もの実証実験設備を導入し、時代にあった工業炉やバーナの開発を進めています。
中外炉工業は、カーボンニュートラルの実現に向けた製品開発を加速させています。
実はこれまでに世に送り出した中外炉工業製の工業炉から排出される二酸化炭素の量は、日本全体の1%にあたるため、カーボンニュートラルは企業としての使命です。
そこで、二酸化炭素を発生させない水素を使用したバーナをトヨタ自動車と共同開発し、使用を開始しています。また、同じく二酸化炭素を排出しないアンモニアを使ったバーナの開発にも力を入れており、大阪大学との共同研究でアンモニアのみを燃料として安定燃焼させる技術を開発。2025年の実用化を見据えています。
金属の製品づくりに欠かせない工業炉と燃焼装置バーナの知られざる進化に迫ります。
ナレーター 渡辺真理
リポーター 一坪花音