10万ドル到達のビットコイン、15年の変遷と未来 元祖仮想通貨が金融市場を揺るがす存在となるまで

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ここ最近、急激にビットコイン価格が上昇した背景には、アメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利したことが要因として考えられる。以前は暗号通貨に懐疑的な立場だったトランプ氏だが、今回の選挙戦略では考えを翻してアメリカを「地球上における暗号の中心地にする」と述べ、「ビットコインを戦略備蓄する」ことを公約に含めた。さらに自身の家族とともに暗号通貨取引企業のWorld Liberty Financialまで設立した。

こうしたトランプ氏の動きを暗号通貨界隈は歓迎しており、消費者権利擁護NPOであるPublic Citizenなどは、暗号通貨推進派の議員候補への支援額を増加させたという。

さらにトランプ氏は、次期政権におけるアメリカ証券取引委員会(SEC)委員長に暗号通貨推進派のポール・アトキンス氏を指名した。これが決め手となって、ビットコインをはじめとする各種暗号通貨銘柄が大きく値を上げ、ついに史上初の1BTCあたり10万ドルに到達した。

儲けるのと同じくらい簡単に損をする可能性も

当然ながら、ビットコインが10万ドルの大台を突破したことで、暗号通貨界隈の人々は活気づいており、これが金融システムにおけるビットコインの位置づけの根本的な変革につながると考えている専門家もいる。トランプ氏がビットコイン戦略備蓄制度を設立すれば、さらに価格は上昇するだろう。

もちろん、10万ドルという価格は人々にとってキリが良い数字というだけであり、心理的な要因に過ぎない。当然、ビットコインがその価格を目標にしてきたわけでもない。変動の激しい暗号の世界において、ビットコインの将来はなにも約束されていない。ビットコインのマイニングには大量の高性能コンピューターを並べて非常に高負荷な処理をこなす必要がある。そのために消費される電力は膨大になる(これはAIの強化学習にも共通する問題だ)。

イギリスの投資会社AJ Bellの投資アナリスト、ダン・コーツワース氏は、ビットコインのマイニングをめぐる環境問題への懸念は、将来の成長を妨げる可能性があると指摘した。また、スイスにある国際決済銀行(BIS)の最近の調査結果で、暗号通貨取引アプリの個人ユーザーのうち、およそ3/4が、2015年から2022年の間にビットコイン投資で損失を出した可能性が高いと報告されていると述べた。

暗号通貨投資会社Bitwise Asset Managementのマット・ホーガン最高投資責任者(CIO)は、「今年は暗号通貨が高騰し、多くの人が一攫千金を狙いましたが、このハイリスク資産はボラティリティが高く、予測不可能で、投機家の行動に左右されるため、誰にでも適しているわけではない」と述べ、儲けるのと同じくらい簡単に損もする可能性があるため、慎重に行動することが重要だとAP通信に語っている。

ちなみに、Bitwiseは12月11日に発表した報告書で、ビットコインは2025年のうちに20万ドルに達するとの予測を示した。もしこれからビットコインやその他の暗号通貨を購入するつもりなら、少し価格が上昇したからといってすぐに売り抜けるのではなく、長期保有のスタンスを維持するほうがいいかもしれない。

タニグチ ムネノリ ウェブライター

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たにぐち むねのり / Munenori Taniguchi

電気・ネットワーク技術者として勤務したのち、Engadget 日本版(閉鎖)でウェブライターとして執筆開始。以降、Autoblog 日本版(閉鎖)、Forbes JAPAN、Gadget Gate、Techno Edgeなどでグローバルなトピックを中心に執筆。得意ジャンルはIT・ガジェットからサイエンス、宇宙、自動車・モータースポーツ、音楽・エンタメ、ゲームと幅広い。

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