LINEヤフー「フルリモート廃止」は当然といえる訳 GAFAは週3回の出社で世界的に趨勢が変化

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だとしたら当事者たちの切実な問題としては、この状況がまだ途中のステップであって、いずれGAFAと同じぐらい踏み込んだフルリモート廃止につながるかもしれないという不安かもしれません。

フルリモート廃止にともなう離職リスク

これは3番目の疑問として挙げた離職リスクと表裏の話になります。フルリモートを前提にLINEヤフーに転職した社員にとっては、フルリモートの部分廃止は契約前提の変化です。物理的な環境が制約になって契約変更に応じられない場合、離職は現実的な選択肢のひとつになります。

フルリモート廃止にともなう離職リスクについては、GAFA並に制度が変更された場合には約2割前後の社員がそれを検討するとするという調査結果があります。

フルリモート廃止を検討する企業にとってはこの数字が現実的な検討の尺度となるでしょう。前提が変われば優秀な社員が一定数減ることは仕方ないとして、どこまで減るかが企業にとっては問題です。

LINEヤフーの場合、2割前後に影響が出るのはさすがに影響が大きいことから、まずは月1回、ないしは事業部門では週一回という形に制度がおちついたのでしょう。同様にリモートワークを魅力に転職者を集めてきたITベンチャーは、このLINEヤフーの動向を注視することでしょう。

さて話をまとめます。コロナ禍をきっかけにビジネスの世界に浸透したリモートワークですが、世界の趨勢としてはビジネスの成果として考えた場合のフルリモートの欠点も見えてきたようで、ITが進んだ企業でも半々ぐらいの落としどころに現時点での最適地があるようです。

もちろんその最適地は業種や企業によっても異なるのですが、とはいえフルリモートという一番振り切った制度は世界的には最適ではなくなりつつあるというのが起きている現象です。LINEヤフーの制度変更は、一部残念な気持ちをかきたてるニュースではありますが、仕方のない世の中の流れだと言うべきだというのが結論です。

鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表

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すずき たかひろ / Takahiro Suzuki

東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)を経て2003年に独立。人材企業やIT企業の戦略コンサルティングの傍ら、経済評論家として活躍。人工知能が経済に与える影響についての論客としても知られる。著書に日本経済予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHP)、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社)、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)などがある。BS朝日『モノシリスト』準レギュラーなどテレビ出演も多い。オスカープロモーション所属。

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