指示出さない「イタリア人の上司」から得た気づき コーチング理論に裏打ちされた「綿密な計算」
指示を出さない「イタリア人上司」との出会い
私が大学卒業後に就職した大手外資系IT企業のSAPにて、30歳のときに初めて管理職に昇進しました。幸いなことに、SAPには1on1ミーティング(以降1on1)の制度があり、定期的に上司と部下が面談をしていました。しかし当時は1on1やコーチングについての情報がいまほど豊富ではありませんでした。
当時の部下たちは私を上司というより先輩と見ていて、経験があるから選ばれたという理由で最初のうちは1on1で話を聞いてくれていました。
私が1on1で話していたのは主に数字の進捗管理で、どちらかというと部下を詰めるような感じになっていました。そのため、1on1は課題の指摘や改善の指示が中心で、一方通行のやりとりが続いていました。次第に1on1の雰囲気が重くなりました。
1on1が終わったあとに振り返っても、自分が話してばかりで、部下たちからの意見はほとんど上がってきませんでした。我慢できなくなった部下からは、「この1on1、意味がありますか?」「金田さんは男性には呼び捨てですが、女性にはさんづけで距離を感じます」などと言われ、1on1の進め方を見直すことにしました。
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