Kis-My-Ft2の玉森裕太が出演する映画「シャイロックの子供たち」が2月17日(金)に劇場公開される。その記念として、玉森が過去に出演したドラマ2作品が動画配信サービス・TVerにて全話無料配信中だ。映画では、阿部サダヲ演じる主人公と共に、現金紛失事件を追う銀行員を演じる玉森。彼の出演作を振り返りながら、その魅力を分析する。
気後れするほどの美と、親しみやすさを兼ね備えた存在
彼を初めて見たときに浮かんだのは、「なんて美しいんだろう」という感想だった。
まるで内側から発光しているかのような透明感のあるツヤ肌、非の打ち所がない顔の造形美にほどよく筋肉がついたバランスの良いスタイル……。神々しささえ感じる彼は、玉森裕太。ジャニーズの7人組アイドルグループ・Kis-My-Ft2(以下、キスマイ)メンバーだ。
その存在を初めて知ったのは、キスマイがデビューした年。2011年に放送された「美男ですね」(TBS系)だった。同作は韓国の大ヒットドラマを日本キャストでリメイクしたもの。玉森は韓国版ではチャン・グンソクが演じた天才肌のミュージシャン・桂木廉役に抜擢された。
廉は自己中心的な性格で、ヒロインに対してツンデレっぷりを発揮しながらも、最終的には結ばれる。かつてはジャニーズの先輩である木村拓哉や松本潤が担ってきた、少女漫画の王道設定を詰め込んだようなキャラクターをものにした玉森。当時はまだ芝居に初々しさがあったものの、それさえも愛らしさに変えるスター性を兼ね備えていた。
愛らしいといえば、初の連ドラ単独主演を務めた「信長のシェフ」(2013・2014年、テレビ朝日系)の主人公・ケン役も忘れがたい。このドラマは、ごく簡単にいえば「仁-JIN-」(TBS系)の料理版。平成から戦国時代にタイムスリップし、織田信長の料理番となったシェフのケンを玉森が演じた。
信長といえば、誰もが恐れるカリスマ武将。そんな信長に対して物怖じせず立ち向かっていける強さもありながら、柔らかい雰囲気も携えたケンに心奪われた人も多いことだろう。「いざ参らん、戦国のキュイジーヌ!」という決め台詞とともに、包丁一本で戦国の世を生き抜いていく姿は見守りたくなるものであった。
ちょっと気後れしそうなほどの美をもってしても、不思議と近寄りがたくはならない。かっこよさの中に愛嬌をのぞかせる、アイドルとしての魅力が演技にも生かされている。ちなみに、本作で信長を演じたのは“ミッチー”こと及川光博。忠実で信長を裏切る明智光秀役には稲垣吾郎と、エンターテイナー揃い。画面越しに伝わってくる華やかさも見どころだ。
新時代の理想の男性像を体現
玉森が持つ天性の愛らしさは、「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」(2021年、TBS系)にて自明のものとなる。同作で玉森が演じたヒロインの恋のお相手・宝来潤之介が“子犬系男子”として話題に。その屈託のない笑顔と、計算されていない無自覚なモテ仕草は、ドラマをヒットさせる大きな要因となった。
ここでポイントなのは、ヒロインの奈未(上白石萌音)にとっては潤之介は5つほど年上であること。玉森は年上男子ならではの包容力を体現しながらも、純度の高い演技で見る人の庇護欲を駆り立てた。また、潤之介は奈未の上司・麗子(菜々緒)の弟。実際のところ、玉森は弟1人の長男であるが、このドラマでは姉妹がいる環境で育った雰囲気を作り出している。
ギラギラとした雰囲気が一切なく、相手に警戒心を抱かせない。「NICE FLIGHT!」(2022年、テレビ朝日系)で演じた副操縦士の倉田粋も、そういう点では潤之介と似ている。だが、粋の場合は“守りたい”というよりも“守ってほしい”と思わせるような頼もしさがあった。
困っている人を見ると助けずにはいられない性分で、周りからの信頼も厚い。おまけにイケメンでモテる。こう完璧だとあざとさが出てしまいそうなところを、玉森は天然ものにしてしまえるのがすごい。誠実でまっすぐな人柄が伝わってくるから、ヒロインの真夢(中村アン)が他人に対して作る壁も壊すことができるのだ。
粋は公式で“大型犬男子”として紹介されていた。近年の玉森は、一緒にいると心がホッとする理想の男性像を、違和感なく体現できる俳優として重宝されているのではないか。
TCエンタテインメント