地図にない湖がここに
東京から車を走らせること約2時間。茨城県笠間市稲田にある「石切山脈」は、東西約10km、南北約5km、地下1.5kmにも及ぶ岩石帯で、明治32年(1899年)から100年以上も続く「稲田石」の採掘現場です。ここに“地図にない湖”とSNSで話題となった場所があるというのですが・・・。採石場と湖?なんだか結びつかない組み合わせですよね。しかし、入ればすぐその謎は解けます。
大パノラマの景色を堪能しよう
入り口で入場料の300円を支払い、入ってすぐ目の前に広がるのがこの景色!これがうわさの“地図にない湖”です。うっそうと生い茂る森林の中に、エメラルド色に光る静かな水面、そして規則的に並ぶ階段のような岩肌・・・。どの角度から見ても美しく、ただただ黙ってその風景を見つめてしまいます。
この“地図にない湖”の正体は「前山採石場」といって、かつて採石をしていた場所。その役目を終えた採石場跡に、雨水が溜まってできた巨大湖です。最近では、茨城県の隠れた絶景スポットとして注目が集まり、昨年は2万人以上の観光客が訪れたのだとか。
そして、この周囲には、「いなだストーンエキシビション」のアート作品も飾られており、「稲田石」の魅力を間近で感じることがきます。
プレミアムツアーでさらに美しい景色を!
いつまでも見つめていたくなるこの景色。これを、違う角度から見たくないですか?せっかく採石場に来たのならば、採掘現場も覗いてみたくないですか?
この“ひとつ先”を楽しめるプランが、今回体験してきた「石切山脈 プレミアムツアー」なのです(要予約/料金1,000円)。2020年11月14日(日)からスタートしたもので、専用ガイドさんが車で案内してくれるという楽ちんなプランです。ヘルメットをかぶり車に乗り込めば、ガタガタと揺れる車内は完全に探検隊気分!ワクワク感が盛り上がる中、最初に到着した場所はこちらです。
巨大な「稲田石」がドーンとあり、なんだか雑多な雰囲気ですが、実はこの大きな石の裏には、上にのぼることができる細い道があるのです。
滑りやすいので足元をしっかり確認しながら一歩一歩前に進むと・・・目の前にはこの絶景が!
誤って一歩進んでしまえば、落ちてしまいそうなくらいの断崖絶壁。スリル満点ですが、「ひえええ〜」という悲鳴が、景色の美しさを見た瞬間「わ〜!」と感動の声に変わります。
もう少し奥へ進めば、広さのある安定した場所がありますのでご安心を。この景色は、最初に見た場所のちょうど向かい側。目をこらすと、遠く向こうの方にスタート地点である「いなだストーンエキシビジョン」の作品たちが小さく見えていますね。
真っ白な世界「奥山採石場」
また車に戻り、次に到着したのが、現在も採掘が行われている採石場「奥山採石場」。大きな重機がガタガタと動き、作業員さんが声を掛け合いながら働いている姿は、まさに現役の採石場の空気感。貴重な体験をしている実感が湧きます。
真っ白に広がる世界は、ここでなければ見ることができない景色。じっくりとお楽しみを。足元にも「稲田石」がコロコロと転がっていて、なんとも不思議な光景です。
ちなみにこの「稲田石」は、際立った白さから別名「白い貴婦人」とも呼ばれているのだとか。美しい光沢と優れた耐久性を備えているため、日本橋や東京駅、国会議事堂、最高裁判所など馴染みのある場所や、全国有数の歴史的建造物に使用されているそうです。また、大きな石は、神社の鳥居などにも使用されているとか。「前山採石場」や、この「奥山採石場」で採掘された石が、日本中のいたるところで使われているのかと思うと、特別な気持ちにもなりますよね。「稲田石」がグッと近い存在に思えてきました。
さらにその先では、約60mもの高さの岸壁を見ることができます。こちらは、昭和時代に採掘されていたそう。近くで見るとその迫力がよくわかります。
また車に乗り込み、来た道を戻ります。途中、大きな石たちをストックしている場所も通るので、車内からの景色も楽しんでくださいね。次に到着したのは、このプレミアムツアー最後のスポットです。「山道を少し歩きますよ〜。獣道になっているので、本当にイノシシとかが歩いていることもありますよ」とガイドさんから説明を受け、恐る恐るあとをついていきます。
獣道を下り・・・
まだ下り・・・
まだまだ下ると・・・
“地図にない湖”の「前山採石場」を間近で見ることができるスポットにたどり着きました!ここでは、今までのスポットの中で一番水面が近く見えるため、心を落ち着けて見学することができます。深緑にキラキラと輝く水の色が、まるで宝石のようで目を奪われます。
「やっほー!」と声を出している人もいました。こだまがキレイに返ってくるので、童心に帰ってみるのもいいでしょう。筆者は、この帰りの獣道で思わず息が切れ、少しの間マスクを外したのですが、その時の空気が本当においしく、なぜ最後にこのことに気づいてしまったのか・・・と後悔しました。ぜひとも、どこかのポイントで少しの間だけでもマスクを外し、その空気を深く吸ってリフレッシュしてくださいね。
車に乗り込み、スタート地点に戻れば、新旧採石場を楽しむツアーはこれにて終了。説明を聞いたり撮影したりする時間により、多少の前後はあると思いますが、45〜60分ほどのツアーとなります。普段では体験できない大満足の内容でした。
笠間の栗を堪能せよ!
さて、まだまだ楽しみは残っております。動いた後は、カフェタイム!景色を楽しみながら、笠間の味わいをスイーツで楽しめるカフェもオープンしています。そのスイーツとは、ズバリ「笠間栗のモンブラン」(1,000円・税込)。
栗そのものの風味を楽しむため砂糖の使用は最小限。口当たりはふんわりと優しく、栗の風味がダイレクトに伝わる贅沢な味わいです。中には、スポンジ、ホイップクリームに、コクとアクセントになるクッキーが入っており、極細の栗ペーストが重なりあう繊細なスイーツは、美しい景色とよく合います。水分の蒸発が早く、仕上げてから10分以内に食べてほしいとのことなので、写真におさめたい人は、早めに撮影を済ませて食べてくださいね!また、特注の石臼で挽いたコーヒー(300円・税込)も、香り豊かで心ほぐれるおいしさです。ぜひ合わせてお試しを!
「石切山脈 プレミアムツアー」は、移動するたびに、見たこともない景色が常に広がり、感動と興奮が交互に押し寄せます。「いつもとはひと味違う旅を体感してみたい」そんなときにこそ、期待を裏切らない景色を楽しんでみてはいかがでしょうか?
住所:茨城県笠間市稲田4260-1
電話番号:0296-74-2537
営業時間:9:00~16:00
定休日:不定休
HP:https://www.ishikiri-sanmyaku.com/
入場料:大人300円、中学生以下無料
プレミアムツアー:大人1,000円、中学生以下500円
※要予約(実施時間 9:30~、11:00~、13:30~、15:00~)
予約はこちらから https://select-type.com/rsv/?id=38wJBnrlyrU&c_id=132618&w_flg=1
[All Photos by koume]