2回
2019/11 訪問
とんかつ成蔵(とんかつ/南阿佐ヶ谷)素材の持ち味を生かした的確な火入れ!
--臨時営業--
月2回、月前半と後半の予約をOMAKASEと言う予約サイトを通して行っている。週末は直ぐに埋まってしまうため、中々、機会に恵まれないが、たまたまTwitterでとある情報が目に入った。
この日はスタッフが揃わないため、休業日として設定されていたようだったが、目処が立ったので営業するとの事。予約サイトを見てみると、幸運にも結構な空きがあった。
南阿佐ヶ谷駅の1番出口を出て右に進み、成田東四丁目の信号を右折。丁度、交番を越えたあたりだ。ここからは完全に住宅街に変わる。少し進むと、左手にスタッフオンリーの扉が見えたところが目印。
左側に回り込むと入口がある。扉の右手には次の順番を待つ人たちが座れる待機場になっている。座って待てるところがいい。
メニュー列の最後尾に加わるとものの数分で店員さんがメニューを持ってやってきた。これ以外にも待機場の壁に掲げられたホワイトボードにはこの日にあるもの、ないものが書かれていると言うので、まずはそちらを確認。岩中豚はないものの、TOKYOXや雪室熟成豚は大丈夫そうだ。愛農ナチュラルポークもない様子。
<そして、こちらが通常のメニュー>
メニューの組み立てを吟味していると店内へと案内された。他の人たちは着席後、直ぐに料理が供されたので、どうやら自分よりも1つ早い時間を予約していた人たちだった様だ。予約の時間帯によって外で待つ場合と店内で待つ場合とに分かれるということなのだろう。
カウンターに座り、注文を終えると待っている間、コープランドというクラフトビールで喉を潤す。
<卓上に置かれた調味料>
注文からおよそ30分で料理が運ばれてきた。
この日の注文は以下の通り。
・TOKYOXのシャ豚ブリアン2個
・ささみかつ
・エビフライ
・ポテトサラダ
ささみかつだけが3分ほど遅れて登場。
--ささみかつ--
まずは味が淡泊なささみかつから。ささみとしてはかなりの大ぶりで立派なもの。的確な火入れでジューシーな仕上がり。ささみがここまでしっとりしているのには正直驚いた。ただ、低温で揚げているためか、衣にわずかに残った油が少し気になった。
エビフライに付いてくるタルタルソースが実に良く合う。
--エビフライ--
こちらも身が大ぶりで身は柔らかく、プリプリとした食感。衣のサクサク感が一番感じられた。
--シャ豚ブリアン--
厚みがある肉には芯まで火が入り、ほどよく仕上げられたピンク色の断面からは肉汁がほとばしる。ささみかつ同様、脂身がない肉がしっとりと旨味を纏う。
まずはそのままで頂いたが十分に素材の旨味が感じられる。続いて、塩を付けて、更にはごま油と塩、ソースと色々と試したが、やはり、シンプルに塩だけで頂くのが一番しっくりとくる。
--ポテトサラダ--
てっきり待っている間にビールのアテになる事と思っていたのだが、それは期待外れに終わった。
よく裏ごしされた滑らかな食感で旨い。
--その他いろいろ--
<まずは豚汁>
具だくさんで優しい味わい。はじめはそのままで、後からごま油をひとたらし掛けて頂くのがオススメ。
<固めに炊かれたごはん>
<野菜のごま和え>
<ピクルス>
付け合わせのキャベツの他にもこれだけ野菜が出てくるのは嬉しい。勿論、キャベツ同様、手抜きはない。
良質な食材の持ち味を最大限に引き出す火入れは見事のひと言。近視眼的に見れば、低温で揚げているが故に衣に残ったわずかな油が気にならないではないが、きめ細かい衣のひげがサクサクとした食感が巧みにリカバリーしている。これだけ食べた後でも重さは感じられない。
2022/01/02 更新
--年の瀬の贅沢--
師走に不幸があってお正月は喪中モード。年賀状の喪中と違い、50日間は藻に服する期間として神社に立ち入っていけないし、お正月もめでたい食べ物はご法度。特に紅白を表すなます、かまぼこを筆頭に鯛など枚挙にいとまがない。とは言え、質素な料理を積極的に摂る必要もなく普通の食事として頂く分には問題がないらしい。
そこでおせち的な料理はやめた時、こちらで年末用に盛り合わせの販売をしていた事を思い出した。年末ギリギリのタイミングではあったが、まだ予約の枠が運良く残っていた。
予め前日に盛り合わせのラインナップと温め方について書かれたメールが送られてくる。このご時世だけに受け渡し時のコミュニケーションをなるべくなくそうという配慮なのであろう。それにしても気が利いている。
受け取りは指定された時間に外の待機場所にて待機。時間が来ると順番に呼ばれて商品を受け取る。
--盛り合わせ--
一番の懸念は衣の具合。持ち帰りの容器で蒸らされ、べしょべしょにならないのだろうかという点に尽きる。レアに仕上げられた肉が予熱で火が入ってしまうことは承知の上だ。
取り出してみると衣が乾いた状態だったことにただただびっくり。
指定された方法に少しアレンジを加えて加熱すると衣は驚くほどサクサク感が蘇る。むしろお店で頂くよりも油切れよく感じたほど。そして、色々と食べすすめるたび、改めて衣の凄さに感じ入った。
--三谷劇場--
各料理とも写真はあるのだが、あまり巧く撮れなかったので個々の写真は割愛する。
素材の火加減は想定内なので不満はない。それでも冷めても十分に美味しくポテンシャルの高さを窺わせるには十分だ。豚肉に留まらず、カキフライ、エビフライなどの魚介類からササミフライまで揚げ物はどれも旨い。
ロースやヒレ以外の(チーズ)ミルフィーユカツ、メンチかつなどの揚げ物はさることながら、サイドメニューのブルドポーク、ローストポーク、豚の角煮といった料理に至るまで豚肉の扱い方の巧みさに関心させられた。
まさに三谷さんの真骨頂を垣間見ることができた。内容を考えれば下手なおせちよりも圧倒的にコスパが高い。2020年の一度限りとのことだが、是非、今年も続けてほしい。それと同時に今度、お店に行った時に何をリピートしようかいまから迷いに迷う。