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何のために安倍首相はロシア開催「東方経済フォーラム」に出かけたのか、大いに疑問である。対照的だったのは、初参加の中国・習近平とプーチンの蜜月ぶりだ。(浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』浜田和幸)
ぶっちゃけ、何のために安倍首相はウラジオストックで開催された「東方経済フォーラム」に出かけたのか、大いに疑問である。
今回で安倍首相はプーチン大統領と22回目の首脳会談を行ったことになる。
しかし、未解決の「北方領土問題」は棚上げになったままだ。
プーチン大統領は「領土問題は短期間では解決できない。まずは平和条約を結ぼうではないか」と安倍首相の足元を見透かしたような対応でお茶を濁しただけ。
日本とロシアで合意していた「北方四島での共同経済開発計画」にも新たな進展はなかった。「ロードマップの作成に合意した」というが、そんな話は2年前から出ていた旧聞の類。
要は、プーチン大統領は安倍首相を見限ったということであろう。
対照的だったのは、初参加の中国の習近平国家主席との蜜月ぶりだった。
何しろ、プーチン大統領と習近平主席は二人揃ってキャビア入りのパンケーキを焼き上げるというパフォーマンスで世界を驚かせた。
それどころか、ロシアと中国の間では73もの合弁事業に関する協定が調印され、その額たるや1000億ドルを遥かに超える。
日ロ間で延々と協議を続ける野菜工場や魚介類の養殖プロジェクトなどとはまるで規模が違う。
プーチン大統領の提唱する「ユーラシア経済同盟」と、習近平主席の推進する「一帯一路計画」が合体したのである。
しかも、これまで両国が手を結んできた「上海協力機構」とASEAN(東南アジア諸国連合)をも一体化させる動きも進んでいる。
日本では、この時期、ロシアがシベリアで実施している戦後最大規模の軍事演習「ブストーク2018」に中国が初参加したことに目を奪われているだけで、その背後に秘められた中・露の思惑に迫ろうとしていない。
どういうことかと言えば、ロシアと中国は政治、経済、軍事のあらゆる分野において一体化を目指すという方向に舵を切ったのである。
その背景にあるのは、トランプ大統領による、ロシア・中国への敵視政策に他ならない。
両国は貿易決済にドルを使うことを止め、ルーブルと人民元で対応することも決めた。プーチン大統領は「強いルーブル」を目指し、ドルに対する宣戦布告を行ったわけだ。
その上で、中国を筆頭に、他のBRICS諸国(ブラジル、インド、南アフリカ)を組み込み、さらにはトルコやインドネシアも巻き込む戦略である。
極めつけはプーチン大統領と習近平国家主席が強調した「南北朝鮮縦断鉄道」の建設計画で、統一朝鮮を中国・ロシア経由で、ヨーロッパやアフリカと結ぼうという遠大な構想。
成功する保証はないが、「アメリカ・ファースト」と対抗する意味は大きい。
ぶっちゃけ、このままでは日本の出る幕はなさそうだ。
MONEY VOICE