レーザー利用の超高速プロセッサ「Corona」、米HPが開発へ

Coronaを使ったスーパーコンピューターが実現すれば、現在最速のマシンに比べて100倍の処理能力を持つマシンも可能になる。さらに重要なのは消費電力がかなり少ない点で、スーパーコンピューターのいわゆる「エクサスケールの障壁」の突破に役立つと考えられる。
レーザー利用の超高速プロセッサ「Corona」、米HPが開発へ
レーザー利用の超高速プロセッサ「Corona」、米HPが開発へ

HPはレーザーを利用したスーパーチップの開発を目指している。(写真:HP Labs)

HPは、256基のプロセッサコアをレーザー光線で繋ぐコンピューター用プロセッサを、2017年までに開発したいと考えている。

「Corona」(開発コード名)というこのプロセッサの処理能力は、1秒あたり10兆フロップ──つまり、このプロセッサを5つ接続するだけで、現在のスーパーコンピューターに等しい処理能力が手に入る ことになる。プロセッサ内部のデータ転送速度は秒速20テラバイトで、プロセッサー/メモリ間の転送速度も秒速10テラバイトになるが、これは既存のチップに比べて2〜6倍高速 ということになる。

さらに重要なのは、Coronaの消費電力がかなり少ない点で、それが実現された場合、スーパーコンピューターのいわゆる**「エクサスケールの障壁」の突破に役立つ** と考えられる。「エクサスケールの障壁」とは、エクサフロップス(1秒あたり10の18乗フロップス)クラスの性能を持つコンピューターを実現しようとする際に立ちはだかる問題のことで、特に性能上昇に比例して消費電力も大幅に増加することが懸念されている。

Coronaを使ったスーパーコンピューターが実現すれば、現在最速のマシンに比べて100倍の処理能力を持つマシンも可能になる。 (世界最速の記録を更新した日本製のスーパーコンピュータ「京」についての日本語版関連記事はこちら)「(旧来の)電子技術では、われわれが必要とするような大規模システムへとスケールを拡大することはできない」。HP Labsの研究者であるMarco Fiorentino氏はそう話している。

エクサスケールの障壁を超えるための超高速チップ開発の取り組みは、HPの「Corona」以外にも、たとえば、Intelの「Runnemede」、MITの「Angstrom」、NVIDIAの「Echelon」など、すでにいくつか存在している。

TEXT BY Eric Smalley
TRANSLATION BY 中村航

WIRED NEWS 原文(English)
※この翻訳は抄訳です