宇宙空間を舞台にしたビジネスは、もはや夢物語ではない。一定の収益を生み、継続性も期待できるモデルがいくつも打ち立てられているのだ。ある者は宇宙に居住空間をつくりあげ、ある者は小惑星で採掘した資源を持ち帰るビジネスを始めようとしている。まさに「宇宙産業」と呼ぶべきヴェンチャー企業を取材した。
未来はどこまで
予測できるのか
2015年1月3日(土)
19:30 放送 (NHK総合)
1月5日(月)
0:10 再放送 (NHK総合)
3月9日(月) 20:00
BSヴァージョン放送 (NHK BS-1)
コンピューターの計算能力が爆発的に発達することで、未来予測の精度は飛躍的に高まり、仕事から消費行動、犯罪の防止、さらには人生の進路まで、選択肢が「先回りして」提示される社会が到来しつつある──。
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【量子コンピューター】
スーパーコンピューターが数千年をかけて解く問題を、数秒で計算できるようになるという量子コンピューター。異次元の計算速度をもつ量子コンピューターの誕生は、コンピューターが人類の知性を超えるという「シンギュラリティ」を実現しうると期待されている。そんななか、カナダのコンピューター企業D-Wave社は2011年5月、「世界初の商用量子コンピューター」と謳った「D-Wave One」を世に送り出す。その2年後発売された「D-Wave Two」を、NASAやグーグルが購入したことでも話題となった。
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【ディグリー・コンパス】
ビジネスの領域において「ビッグデータ」が注目されているが、蓄積された膨大なデータは、これから人が進むべき未来の道をも指し示してくれるかもしれない。その一例が、メンフィス大学で導入された、過去の成績を基にとるべき科目を示してくれるシステム「ディグリー・コンパス」。高校在学時の成績や入学試験のスコアをビッグデータと比較して、適性がある科目を予測分析してリスト化、星の数で評価してランク付けすることを可能にする。ビッグデータを教育機関で実用化した、貴重な例だ。
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【レコーデッド・フューチャー】
米ケンブリッジのRecorded Future社は、「未来は記録のなかにあり」という社名通り、独自に開発された「時間分析エンジン」を用いて「未来を分析」するスタートアップ。ウェブ上において日々更新され、大量に蓄積されていく情報を用い、世の中で起きた1つひとつの出来事について、それに誰が関わりどこで発生し、いつ終わるかというあらゆる「動き」を解き明かす。同社の技術はいま、金融サーヴィスなどのビジネス領域だけでなく、テロリスト対策などの国防諜報の分野においても活用されている。
寿命はどこまで
延びるのか
2015年1月4日(日)
21:15 放送 (NHK総合)
1月8日(木)
0:40 再放送 (NHK総合)
3月9日(月) 21:00
BSヴァージョン放送 (NHK BS-1)
再生医療と3Dプリンターを組み合わせた臓器の再生、人間の体内を動き回るナノマシン、研究者が研究を進める若返りの薬…。人間なら誰しも抱く「若く、健康なまま年を取りたい」という夢が現実味を帯び始めている。
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【ヴァルプロ酸】
ハーバード大学脳科学センターのヘンシュ貴雄教授による研究の成果が、人間の「心」に対して効果を発揮する「若返りの薬」として注目されている。もともとは抗てんかん剤として知られてきた「ヴァルプロ酸」を服用することで、年老いた人間の脳に幼児のような「柔らかい」学習能力を取り戻し、従来7歳までが限度とされた絶対音感や第二言語の習得につながる可能性があるというのだ。脳が「硬くなる」ことは、動物が進化のなかで得てきた大切な機能だという説もあるが、ヒトはその能力さえも更新しようとしている。
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【ナノマシン】
ナノテクノロジーの研究が進んでいるが、未来のナノマシンには「体内病院」としての可能性が期待されている。細菌や細胞よりも小さなナノマシンが血液中を常に巡回し、病気を検出したらすぐに治療を施す最新医療。その最先端のレポートにおいて、ナノマシンは、がんの転移を検出し、がん細胞を直接治療するものとして発表されている。さらに未来では、病気を自動で診断し、薬を自動で合成して自動的に治療も終えてしまう。がんだけでなく、アルツハイマーや通常の感染症に対する治療も可能になるかもしれない。
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【ニコティナマイドモノニュークレタイド】
NMNとはニコチンアミド・モノヌクレオチドの略称。ビタミンB3の一種で、もともと体内でつくられる成分だ。老化とともに組成しにくくなるが、薬剤で補うことで臓器の機能を高めることができるものとして注目されつつある。糖尿病など、加齢に伴った疾患に対する応用から、アンチエイジングへの期待も高まっているマウスの実験では、Ⅱ型糖尿病や心臓、腎臓などに関する疾患に対して効果があることが明らかになってきており、治療薬と予防薬の両側面からの期待が高まっている。
人間のパワーは
どこまで
高められるのか
2015年1月24日(土)
21:00 放送 (NHK総合)
1月26日(月)
2:45 再放送 (NHK総合)
3月10日(火) 21:00
BSヴァージョン放送 (NHK BS-1)
人と機械とが融合し、人間は新たな能力を獲得しつつある。装着したロボットの四肢があらゆる動作を効率化するだけでなく、コンピューターによって秘められた脳の力を解き放とうとする研究さえも進んでいる。
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【ウォリアー・ウェブ・プロジェクト】
米国防総省で軍事技術のイノヴェイションを担う、DARPA(米国防高等研究計画局)。彼らが推し進める「ウォリアー・ウェブ・プロジェクト」の目的は、“身につけるロボット”によって兵士のパフォーマンスを高めることにある。全米9の研究機関がDARPAから資金援助を受け、連日テストを重ねている。その成果のひとつが、スタンフォード研究所と米陸軍が共同開発した「SuperFlex」だ。足首に装着して歩行時の足の動きを機械的にアシストするシステムで、重装備・長時間の行軍が可能になるという。
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【ブレイン・マシン・インターフェイス】
脳に埋め込んだ電極によって神経細胞の信号を解読、脳とデヴァイス間での情報伝達を可能にするテクノロジー「ブレイン・マシン・インターフェイス」。いま、被験者が「手を動かしたい」と念じただけで、ロボットの義手が動くシステムの開発が進んでいる。代表的な例に、カリフォルニア工科大学のリチャード・アンダーセン博士の「ロボット・リム」(ロボット肢)やピッツバーグ大学のアンドリュー・シュワルツ博士による「ロボットアーム」などがあり、介護・福祉や軍事、スポーツ分野での活用が期待されている。
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【エクストラ・パーツ】
一般的に義手や義足は、失われた手足を代替するためのものとして考えられている。しかし、マサチューセッツ工科大学が開発を進める「エクストラ・パーツ」の発想はまったく異なっている。彼らのアイデアは、体に人工の手や指を“増設”し、本来人間がもっている能力以上の力を付加しようというものだ。周囲の状況を人工知能が自動的に判断し、ユーザーの動作を助けるように、エクストラ・パーツに指令を出す。現時点でもすでに、腕や脚、指などに対するエクストラ・パーツのプロトタイプが完成している。
人生はどこまで
楽しくなるのか
2015年1月25日(日)
21:00 放送 (NHK総合)
1月29日(木)
2:00 再放送 (NHK総合)
3月11日(水) 21:00
BSヴァージョン放送 (NHK BS-1)
テクノロジーは衣食住のあらゆる局面を変える。なかでもヴァーチャルリアリティの進化は、部屋にいながら世界中を旅することを現実にしつつある。さらに、データをもとに亡くなった人を再現する試みも進んでいる。
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【テレイグジスタンス】
東京大学名誉教授・舘暲博士の研究グループは、「テレイグジスタンス」システムを用いたロボットを開発した。使用者は、別の場所にいるロボットの視覚・聴覚情報に加えて、ロボットが手に取った物の材質や温度など触覚の情報を受け取ることができる。また、ロボットを自分の分身のように操作し、作業やコミュニケーションを行うことも可能だ。遠隔コミュニケーションや旅行、ショッピングなどのヴァーチャル体験、極限環境下における作業、遠隔医療・介護など、さまざまな分野での活用を目指して開発が進んでいる。
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【デジタルクローン】
生活全般の記録をデジタルデータとして残すこと、あるいはそのデータそのものを指す言葉、「ライフログ」。その対象は人間のあらゆる活動にわたるもので、ウェアラブルデヴァイスなどで採取した心拍数や体温などの生体情報や画像・動画・音声・位置情報のほか、日記的なブログやTwitter、FacebookなどのSNS上のデータなども含むとされている。現在、そのライフログなどをもとに、デジタル空間にその人のコピー、つまり「デジタルクローン」をつくり上げようとする試みが始まっている。
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【ARダイエット】
「AR」(拡張現実)の先駆的な研究を続ける、東京大学の廣瀬・谷川研究室で、視覚情報をコントロールして食欲を抑制するシステム「拡張満腹感」が開発されている。その仕組みは、ゴーグル型のウェアラブルデヴァイスを装着することで、手に取った食品のサイズを大きく見せて脳に錯覚を起こさせるというもの。根拠になっているのは、人が摂取する食べ物の量を判断するのに視覚的な手がかりが関与しているという考え方で、その情報を操作することで満腹感を変化させ、摂取量のコントロールを可能にするという。
人間のフロンティアは
どこまで広がるのか
2015年2月8日(日)
21:00 放送 (NHK総合)
2月12日(木)
0:40 再放送 (NHK総合)
3月12日(木) 21:00
BSヴァージョン放送 (NHK BS-1)
爆発的に増え続ける人口問題を解決するため、テクノロジーは、見上げたその先に人間を連れて行く。来るべき未来の都市には1000m級の超高層建築がそびえ立ち、さらにその向こうに広がる宇宙に人を送り出す。
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【マーズ・ワン】
人類初の火星移住者の選考が始まっている。主宰するのはNASAではなく、「マーズ・ワン」というオランダの非営利団体だ。ロケットや施設を自らで開発・運営するのではなく、既存のサプライヤーのものを使用することを予定しており、初期費用は訓練や飛行、移住の様子の放映権でまかなうとしている。2013年、公募により移住希望者を募ったところ、なんと世界中から20万人以上が集まったという。数回の選考、および訓練をへて最終的に24人を選出。2025年に最初の4人が火星に到着する、という計画だ。
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【超高層建築】
世界の人口動態をみれば、各国都市に一極集中しているのは明らかだ。それにともない、都市計画のトレンドは、水平方向への拡大よりもむしろ垂直に空へ、そして宇宙へと拡張する開発になりつつある。高さ300mを超える「スーパートール」と呼ばれる高層ビルの建築が続々と登場しているなか、1,000mを超える超高層ビルの建築計画が進行している。なかにはビル自体をひとつの街とみなして、オフィスや住空間、ショッピングモールや医療施設、公園などの都市機能すべてを内包した設計も存在している。
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【宇宙ビジネス】
イーロン・マスク率いるSpaceX社をはじめ、いま多くのヴェンチャー企業が宇宙開発に参入し、さまざまなビジネスを展開している。そのひとつ、米ディープ・スペース・インダストリーズ社は、探査機を編隊にして小惑星に送り込み、水と資源の採掘を検討している。一方、アメリカの不動産王、ロバート・ビゲローは「宇宙ホテル」の実現を目指し、宇宙空間で使用する画期的な居住施設を開発した。宇宙開発を率いてきたNASAも民間企業との提携を積極的に行っており、新たな「宇宙ビジネス」の展開が期待される。