1970年以来、47年ぶりの12連敗を喫したヤクルト。借金は26に膨れ上がったが、真中監督を筆頭に「やれることをしっかりやろう」と一丸となり、戦っている。
そんな低迷するチーム状況で、存在感を放つのが野村克則バッテリーコーチ(43)だ。試合前練習では笑顔で選手と接し、人一倍声を出して盛り上げる。常に選手顔負けのエネルギーで、グラウンドに立ち続けている野村コーチはどのような心境なのか。
「元気をなくしたら暗いムードになってしまう。受け身になってしまう。気持ちが前向きになってくれればと思って、やっています」
選手たちだけでなく、報道陣にも「頑張っていこう」と声をかける。もちろん、楽観的なわけではない。試合の日は1、2を争う早さで球場入りし、帰るのはいつも最後。チームを思い、対戦相手のデータのチェックなどを行っている。「これが仕事だから」と話すが、捕手・中村は「信頼しています」とその姿勢に感服している。
「ファンの人たちも応援してくれている。みっともない試合をしたくない。負けが続くと気持ちが受けになってしまう。フォローできるところはフォローしてあげないと。バッテリーは勝敗にもろに直結する。負けの原因になってしまう。試合の反省をして、次に生かしていかないと」
こう語る野村コーチ。試合中はベンチから大声で選手を鼓舞する。先発投手が降板した後は即席の反省会。試合後は捕手とじっくり話し合い反省点を洗い出している。
「チームが勝つためにどうするか。選手がどう生きて、生かされて、そして生かしていくか。それが仕事なので。つらいけど頑張らないと。こんなつらい時期もあったな、といえるようにしたい」
連敗をしても試合は続く。失うものもあるが、得るものもある。一試合一試合反省を繰り返し、選手をサポートしていく野村バッテリーコーチの姿勢がヤクルトを浮上させると信じている。(赤尾裕希)