自分の財力以上の生活をしたり、緊急用の貯蓄が無い場合は、経済的に破綻することがあるというのは誰もが知っていることです。しかし、金銭的な失敗では、良かれと思ってやっていたことが原因になっていることがあります。今回は、裏目に出ていたり、結果的に損をしている、間違った貯蓄習慣とその改善方法についてご紹介しましょう。
非現実的なほど予算を締めつける
ほとんどの人は、少ない予算で生活しようと思えばがんばれるだろうと思います。しかし、何の楽しみも余裕もない、息苦しくなるような非現実的な予算を組んで、無理をし過ぎないように。個人金融系のライターJ.D. Rothさんは以下のように説明しています。
予算組みの3つ目のルールは、自分の理想の生活ではなく、現実的な生活を基準に計画を立てることです。上がるかもしれない給与や、このくらいのお金で生活したいというような理想で予算を組まないように。毎日コーヒーを飲むのにお金を使っているなら、それは予算の一部として入れます。会社の給与が上がらなかったら、それは収入にカウントしません。理想ではなく現実を見て予算を組みます。
もちろん、財力以上の生活をしているのであれば、予算を削減するのは重要です。しかし、予算を切り詰めすぎると大抵裏目に出ます。結果的に、購買意欲が貯蓄欲に追いついてしまいます。何の決まりも設けなければ、お金を使いすぎて破綻する危険性があります。
少しだけ息ができる金銭的な余裕を自分に与えてあげれば、後で破綻する危険性はありません。
安売りだからと物を買う
ほんとうに必要な物や欲しい物ではなくても、安売りをしているからというだけで、買ったことがありますか? ほとんどの人が値段が安いと魅力的に感じます。どんな倹約家でも、安売りの魅力に負けてミスをすることがあります。しかし、使わない物を買うというのは、一番のお金の無駄遣いです。
まとめ買いがこの良い例です。まとめて買った商品を全部使い切った場合は、それは得をしたことになるでしょう。しかし、使い切らなかった物や余分なものを捨ててしまったら、ほとんど得をしていないどころか、お金をドブに捨てているようなものです。CBSニュースでこの話をもう少し掘り下げてやっていました。貸し倉庫産業が、余分なものも買わなければならないという強迫症的な文化によって急成長していることについて考えなければなりません。今では、家を持っている人の10人に1人が、1平方フィート8ドル以上の貸し倉庫を借りており、この15年で65%も増えました。まとめ買いの習慣によって、自分の家に物が溢れてしまっているのではないでしょうか?
これは極端な例かもしれませんが、要するに倹約というのは消費ではなく価値のことです。値引きがされていれば買いたくなるかもしれませんが、それが家計や金銭的なことを考えたときに、最善の選択とは限りません。
万が一のために貯金をし過ぎ
万が一に備えて貯金をし過ぎていても経済的には破綻しませんが、個人金融の専門家はやり過ぎている人が多いと言います。たとえば、個人金融系サービスの会社「Financial Planning Services」の社長のLarry Rosenthalさんは、Bankrateにこのように語っていました。
毎月生活費に5000ドルが必要だとして、万が一の時のための貯蓄に半年分の3万ドルが必要だとします。普通預金の口座に入れている額としては、少々多過ぎるかもしれません。
つまり、寝かせておくには3万ドルは多過ぎるということです。貯金ではなく、それを元手にお金を稼ぐこともできます。Bankrateでは、保守的な債権ファンドで4カ月分を貯めておき、2カ月分を貯金に回すのはどうかと勧めています。
過剰な貯蓄、お金を貯めこみ過ぎ
心に決めた目標額に貯金が達成したらうれしいです。しかし、貯金が幸せを削っているだけということもあります。経済的な独立の大事なポイントは自由です。やりたいことをやらずにお金を貯めているだけという状態になっていませんか? 最近Consumerism Commentaryでは、貯金に関する現象についてこのように書かれていました。
全体的に見て、現在の自分と将来の自分を幸せにする中間のバランスを探しましょう。ほとんどの人は、結局将来のために、とお金を貯め込み過ぎるのです。しかし、貯蓄のし過ぎもまた問題なのです。慈善活動や子孫のための無償の行為は、お金と同じように価値のあることです。お金を貯める目的は、お金を使ってしかできないことをするためです。大切な人生や生活に必要なことを見捨てるような行為をしていたら、後でひどく後悔することになるでしょう。貯金にお金を回しすぎるのはその1つです。
これは筆者の体験ですが、そろそろ将来のことを考えて経済的な準備をしようと決めたときに、お金を貯めなければという強迫観念に取り憑かれてしまいました。まず自分にお金をかけ過ぎだと思って、それを節約しました。貯金の目標額を高く設定し過ぎ、何もかもすべてを節約しようと自分を締め付け過ぎたのです。その結果、貯蓄用の口座にお金を貯めこみ、当座預金(小切手用)の口座が使えなくなってしまいました。
お金を貯めようとしたまではよかったのですが、かなり馬鹿げた間違いをおかしました。
安物を買う
賢い買い物というのは、常に金額がすべてではありません。多少金額が高くても、お金を払うだけの価値あるものはあります。たとえば、安いブーツを買ったとして、ワンシーズンしか保たずに毎年買い換えるハメになったとします。きちんとした良いブーツを買えば、少し値は張るかもしれませんが、この先10年使えるかもしれません。「安物買いの銭失い」という言葉もあります。
「The Street」には、商品の価値を見定める前に金額で決めてしまう習慣をやめる方法が載っていました。
金額というのは、物を買うときに考えるべき要素のひとつに過ぎません。どれくらい長持ちするのか、どの程度品質が保証されているのか、どれくらいの頻度で使いそうか、など考えるべき大事な要素はほかにもあります。長い目で見てお金を節約したいのであれば、金額だけでなくその他の要素も含めて、商品の価値を検討しましょう。
もちろん、高価なブーツを買ったほうがいい人ばかりではないでしょうが、選択肢があるのであれば、検討してみた方がいいでしょう。
将来のために、経済的に備えるのは良いことです。しかし、良かれと思ってやっている貯蓄習慣が裏目に出ることもあります。安定してバランスの取れた考え方を持ちながら、正しい方針で楽しくお金を貯めていきましょう。
Kristin Wong(原文/訳:的野裕子)
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