カスタマイズといえば Windows ばかりに目が行きがちですが、Mac のデスクトップだって超クールにカスタマイズできるのをご存じですか? 『GeekTool』を使えば、時間や日付、ハードドライブの空き容量、バッテリーの状態、システムパフォーマンスなどの情報を、デスクトップに簡単に表示することができます。この記事では、Mac のデスクトップを便利で使いやすく、かつ見栄えよくカスタマイズする方法をご紹介します。

米 Lifehacker ではこれまでもデスクトップのカスタマイズアプリ『GeekTool』にずっと注目してきました。GeekTool は格段の進歩を遂げており、今では豪華な HUD をセットアップすることさえ可能になりました。もはや最強のデスクトップ・カスタマイズツールといっても過言ではありません。

さて、本題の前に、もし Windows で同様のことをしたいと思ったら「『Rainmeter』を使って魅力的なカスタムデスクトップ HUD を作る方法」をチェックしてみてください。

GeekTool とは?

GeekTool は Mac のデスクトップにさまざまなコンテンツや情報を埋め込むことができるユーティリティです。インストールすると Mac の「システム環境設定」の設定項目の中に GeekTool が現れます。アプリを起動すると「geeklet」と呼ばれるプラグインが3つ用意されており、それぞれのプラグインでテキストコマンドを実行することができます。コマンドの実行結果はデスクトップに反映されます。

  • File プラグイン:システムやアプリケーションの実行状態のモニタや、デスクトップにテキストファイルを開いた状態で表示しておくことができます
  • Shell プラグイン:ターミナルコマンドのスクリプトを実行したり、実行結果をデスクトップに表示したりします
  • Image プラグイン:iTunesのアルバムアートやお天気情報などのコンテンツをデスクトップに埋め込むことができます

GeekTool は Lion をサポートしており、Mac App Store からもダウンロードできます。App store からインストールすると、システム環境設定の項目としてではなく、独立したアプリケーションとして実行されます。

ステップ1:GeekTool に親しもう

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GeektTool のインストールはとても簡単。アプリをダウンロードしてインストーラを起動すると、システム環境設定のパネルに GeekTool のアイコンが追加されます。アイコンをクリックしてアプリの設定画面を開くと、標準インストールされている3つのプラグインが表示されます。またそのほかに「GeekTool を有効にする」、「メニューを表示する」のチェックボックスと、「geeklet のグループを追加/削除する」オプションも表示されます。

「グループ機能」は複数の geeklet を一括設定するための機能です。壁紙の変更や、外付けディスプレイを接続した場合などに、geeklet の表示方法をまとめて変更することができます。いくつか異なる設定を保存しておいて、そのときの気分で切り替えて使うのもアリですね。

例えば、暗い色の壁紙を使っているなら、日付/時間を表示する geeklet は白い文字がいいでしょうし、明るい色の壁紙に替えたときは文字は暗い色にした方がいいでしょう。壁紙を変えたときに、geeklet の文字色を個別にひとつひとつ変えるのではなく、グループでまとめて変えられるほうが便利です。グループ名のとなりにあるチェックボックスをクリックすれば「グループの有効/無効」を切り替えたり、「メニューバーへの表示/非表示」を切り替えたりすることができます。

それではさっそく geeklet を使ってみましょう。まず、使いたい geeklet をシステム環境設定画面からデスクトップにドラッグします。geeklet の詳細設定画面が表示されますので、画面のサイズや位置を使いやすいように調整してください。次に、コマンド欄に実行したいコマンドを入力したり、表示させたい画像を指定したり、表示させたいテキストを選んだりします。ターミナルで実行できるものはすべて geekletで も実行できますので、コマンドラインが得意な人は、そのスキルを十分に生かすことができます。

ステップ2:geeklet をセットアップする

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デフォルトの geeklet だけでも十分にパワフルです。夢の HUD への第一歩をここから踏み出すことができます。これから、デフォルトの geeklet を使ってデスクトップを超クールにカスタマイズしていく方法をご紹介します。

・日付と時間を追加する

『Shell』をデスクトップにドラッグして「日付/時刻」を表示させたい場所に配置します。右下のコーナーをドラッグすれば表示領域を変更できます。名前を入力し、「command(コマンド)」欄に次のようにタイプします。

date "+%H:%M"

「更新間隔」を60秒にセットすれば、時刻が毎分更新されるようになります。デスクトップに配置されたボックスをクリックしてフォントとカラー、フォントサイズを設定しましょう。ボックスサイズも適宜調整してください。フォントカラーは壁紙の色に合わせて読みやすいものを選びましょう。フォントは自分が好きなものを選べば OK ですが、筆者のおススメは「Futura Medium」の144pt だそうです。

また、時刻の表記方法も選べます。筆者は24時間表記を使っているそうですが、AM/PM 形式がよければ、上記コマンドの代わりに次のコマンドを入力してください。

date "+%I:%M %p"

「%I」は12時間表記のオプションで、「%p」をつけるとAM/PM表記になります。

時刻の表記方法が決まったら、次は曜日と日付の設定をします。『Shell』をもうひとつデスクトップにドラッグして、サイズを調整したら、次のコマンドを入力してください。

date "+%A"; date "+%d %B %Y"

このコマンドは曜日と日付を表示します。曜日と日付の間は改行が入ります(セミコロン「;」は改行を意味します)。更新間隔は1000秒や5000秒などにしておけばいいでしょう。ちなみに一日は86400秒です。もしあなたが深夜に作業するタイプで、日付が変わるのが1000秒も遅れるのは耐えられないというなら、更新間隔をもっと短くしてください。フォントの調整もお忘れなく。

曜日や日付、時刻をひとつの geeklet にまとめることも可能ですが、ひとつの geeklet にひとつのフォントしか設定できないことに注意してください。筆者は日付や曜日のフォントを時刻のフォントよりも小さくしているそうです。時刻と日付でフォントサイズを変えたい場合や、表示させる場所を個別に調整したい場合は、別々の geeklet に分けてください。

・カレンダーを追加する

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デスクトップにカレンダーを追加することは、GeekTool のコマンドの使い方を知るよい機会となるでしょう。『Shell』プラグインをデスクトップにドラッグして、名前を「Calendar」と入力し、コマンド欄に以下をタイプしてください。

cal | sed "s/^/ /;s/$/ /;s/ $(date +%e) / $(date +%e | sed 's/./#/g') /"

最初の行に現在の月と年を表示し、その下に今月のカレンダーを表示します。今日の日付のところにはふたつのシャープ記号(##)が表示されます。筆者はデスクトップの邪魔にならない場所に小さなカレンダーを置いているそうです。

ご存じのとおり、Mac のメニューバーの「日付と時刻」をクリックしてもカレンダーは表示されません。カレンダーを見るためにいちいち iCal を開くのは面倒ですね。GeekTool を使って小さなカレンダーをデストップの片隅に埋め込んでおくと非常に便利です。

・起動時間と CPU/メモリのステータスを表示する

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起動時間とシステムステータスを表示させるには、Unixコマンドの知識が必要です。『Shell』を追加して次のコマンドを入力してみてください。

uptime | awk '{print "UPTIME : " $3 " " $4 " " $5 " " }'; top -l 1 | awk '/PhysMem/ {print "RAM : " $8 " "}' ; top -l 2 | awk '/CPU usage/; NR; 5 {printf "CPU" $6, $7=":", $8, $9="user ", $10, $11="sys ", $12, $13}'

このままだと情報が多すぎるかもしれません。その場合は適宜調整してください。筆者は基本的な情報だけを表示させるようにして、更新間隔も長めに設定しているそうです。そうすれば CPU に余計な負荷をかけることもありません。

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実行中のプロセスを表示させたい場合は、次のコマンドを『Shell』に入力します。現在実行中のすべてのプロセスが、リソースの消費量順に表示されます。

top -l1 -u -o cpu -S

大量の情報が表示されますので、フォントサイズを小さくしてデスクトップの隅に寄せておくとよいでしょう。スッキリ表示させるには「courier」など monotype のフォントがおススメです。更新時間を数分(例えば3600秒)にセットしておけば、システムパフォーマンスのリアルタイムモニタリングには最適でしょう。

・バッテリーの「残りの充電量」と「完全充電時の容量」とを表示する

『Shell』を追加して、名前をつけ、以下のコマンドを入力します。

system_profiler SPPowerDataType | grep mAh

このコマンドは、システムプロファイルからバッテリー情報を呼び出し「残りの充電量」と「完全充電時の容量」を表示します。

・スライドショーを追加する

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これは楽しいパートです! 『Image』の geeklet をデスクトップにドラッグして、名前を「Slideshow」にします。サイズもお好みで調整してください。URL欄の下にある「Set Local Path」をクリックして、スライドショーに表示させたい写真フォルダを指定します。写真が入れ替わるタイミングは更新間隔で設定します。これでスライドショーが自動的に開始されます。

スライドショーが他のウィンドウで隠れてしまう場合は「Keep on Top(常に手前に表示)」 にチェックを入れておけば OK です。また、その場合はスライダーで透明度を調節するとよいでしょう。そうすれば、スライドショーの下にあるアプリ画面などが完全に隠れてしまうのを防げます。

ステップ3 :新しい geeklet やスクリプトを追加してみる

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GeekTool をインストールした時点では、3つの geeklet しか使えませんが「Mac OS X Tips」に行けばユーザーが登録したカスタムビルドな geeklet をダウンロードできます。自作のデスクトップを公開して設定方法を詳しく説明してくれているユーザーもいます。

新しい geeklet をダウンロードして、ファイルをダブルクリックすれば、スクリプトが自動実行されます。フォントやカラー、表示場所などを設定画面で変更してください。また、スクリプトが実行される前にスクリプトの中身を調べることもできますので安心です。

基本をマスターしたら、先輩ユーザーたちが制作した数々な geeklet を見て回るとよいでしょう。ありとあらゆる geeklet がアップされており、Spotify で再生中の曲名を表示するものから、Gmail の未読メッセージの件名とサマリーを見せてくれるものまで何でもあります。以下にサンプルをいくつか載せておきます。

プレインストールの3つの geeklet を決して侮ってはいけません。Unix コマンドの知識と経験があれば、この3つの geeklet だけでどこまでもクールなデスクトップを作り込むことができるのです。また「Keynote 2 Keynote」や「Cattail.nu」といったサイトでもGeektool 用のスクリプトやコマンドを見つけることができます。少し古いサイトですが、使えるコマンドが豊富にアップされています。

GeekTool に関するインスピレーションやデザインアイデアをもらうには「Francesco Mugnai's GeekTool script roundup」や、米Lifehacker卒業生である Rachel Atwood の「gallery at Unplggd」、そして「Lifehacker Desktop Show and Tell Flickr pool」などをチェックしてみてください。

ただし、ひとつだけ注意。『Shell』の geeklet でスクリプトを実行するときには「更新間隔」をよく確認してください。更新間隔が短すぎるとシステムリソースを過剰に消費してしまう恐れがあります。1日1回更新すればいいようなスクリプトに、短すぎる更新間隔をセットしないように。

さらにもう一歩、進める

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デスクトップのデザインをさらにいち段階ステップアップさせたい場合は、Panic Software の『Stattoo』などのツールを使ってみましょう。天気情報や iTunes で再生中の楽曲、バッテリー使用状況のアイコン、iCal の予定などをデスクトップに埋め込むことができます。これと同じことを GeekTool でやるには、かなり大量のスクリプトを書かなければなりません。

メニューバーを変えたいならオープンソースの無料ユーティリティ『Nocturne』が使えます。メニューバーを透明にしたり、色を変えたりできます。また、Dock にスパイスを加えたいなら「Dockテーマを美しく変える方法」(英文)もチェックしてください。

他のデスクトップカスタマイズツールと同様に、GeekTool の可能性は、あなたがどれだけ時間とエネルギーを注ぐかにかかっています。ここで紹介したコマンドや geeklet は、GeekTool の可能性の一端にすぎません。

GeekTool は急勾配な学習曲線を持っており、最初はなかなか取っ付きにくいかもしれません。しかし、思い出してください、このツールはもともと「ターミナル」や「システムユーティリティ」をわざわざ起動しなくとも、便利な情報をデスクトップから見られるようにするために設計されたものです。ゆっくり時間をかけて Unix コマンドに慣れてください。そして、いわゆる「車輪の再発明」をしないように。すでにこれまで、たくさんのユーザーの貢献によって、便利なスクリプトや geeklet が豊富にアップされています。それら既存のリソースをうまく活用して、あなただけのクールなデスクトップを作り上げてください。

Alan Henry(原文/訳:伊藤貴之)