全粒粉パンは、値段がちょっと高くてもヘルシーなイメージがありますが、本当のところはどうなのでしょうか? この疑問に、栄養学と公共政策に詳しい、マリオン・ネスレさんが答えてくれました。

ネスレさんによると、カロリー以外で白パンと全粒粉パンの違いを見極めて買いたい、という時に見るべきなのは「ラベル」とのこと。以下のポイントを確認してください。

  • 材料が全粒粉かどうか。
  • 入っている材料の数が多くないか。
  • 発音しにくいような化学物質が入っていないか。
  • 食物繊維が1オンス(28グラム)につき、2グラム以上入っているか。
  • 100%全粒粉を使っているか(100%でないパンは、白パンにもともとの穀物が少し加えられているだけ)。

 ネスレさんは「小麦粉、水、塩、イーストだけで作られた手づくりパンは、本当に美味しいものです。だから、本当はこれを食べることをおすすめしたい」と語っています。

しかし、作るのに時間がかかってしまううえに、すぐに新鮮でなくなってしまうので、多くのパン屋やパン工場では、作る時間を短縮し、安定剤や防腐剤を加え、化学的な味を消して失われた味を補うために、さらに甘味料を加えています。特に「ラベルに30以上の材料が入っているパンは、普通ではないし、私が自分で作った、5つ以上の材料が入った食べ物を買わないというルールに反するので、買いません」とネスレさんはコメントしています。

また、スーパーなどで売られているパンを買うときは、ラベルをしっかりチェックするのがポイント。しかし、パンのメーカーによって、カロリーや栄養に関する情報が1切れごとだったり、1斤ごとだったりと、バラバラです。そこで、1オンス(28グラム)の値に直して、それぞれのパンを比べてみてください。そうすれば、ちゃんと比較できるようになります。通常、1オンスにつき70〜80キロカロリーあります。

また、全粒粉は、栄養豊富なふすま、もみ殻、内胚乳(ほとんどがでんぷんとタンパク質でできています)の、3つの要素からできています。100%全粒粉の場合はこれらの3つの要素を、同じ比率で含んでいます。

白いパンは、もともとの麦の80%を使っており、そのほとんどが内胚乳です。もみ殻の栄養分がないので、もみ殻に含まれているナイアシン、リボフラビン、チアミン、葉酸、鉄の5つの栄養素をとることができません。また、食物繊維も不足します。

食物繊維をたくさんとると、腸の働きが良くなるし、心臓病、大腸がんのリスクを下げると言われています。そこで「100%全粒粉のパンを1日3枚以上食べるのが良い」と、ネスレさんは言っています。

この食物繊維の量を、ラベルから読み取るにもコツがいります。理想的な量は、1オンス(28グラム)分のスライスに、2グラムの食物繊維が入っていることです。

ただ「白いパンを食べている人たちでも食べやすい」という、宣伝文句が書かれた全粒粉パンには要注意。全粒粉を細かく細かく砕いて、生地改良剤を加えてパンを柔らかく保ち、ふすまを加えて、全粒粉パンに似せている可能性があります。こういったパンは食物繊維があまり含まれていません。

ということで、今度全粒粉パンを買うときは、ラベルのチェックをお忘れなく。

Whole wheat, but not the whole story [SFGate]

Image: Gettyimages

Kevin Purdy(原文/訳:阿久津美穂)