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建産EYE
2015/05/14
防水・床材部門を統合 100周年へ新たな進化を
田島ルーフィング㈱
防水営業部大阪支店 支店長 島武之氏
床材営業部大阪支店 支店長 川田稔氏
総合防水材料のトップメーカー、田島ルーフィング㈱は昨年、創業95周年を迎えた。常に創意工夫を怠らず進化を続け、アスファルト防水に加え、ウレタン、塩ビをはじめ用途に応じて新技術を組み合わせ、トップ企業としての確固たる地位を築いてきた。昨年グループ会社のひとつである床材メーカーと統合し、屋上防水の機能・システムと床材の持つデザイン性の融合を図り、お客様の満足度を高める新製品や新サービスの提供を行い、4年後の100周年に向け、新たな進化を遂げようとまい進する同社の戦略を大阪の防水営業部、床材営業部の両支店長にお伺いしました。
(写真右が島支店長、左が川田支店長)
――貴社の歴史と伝統についてお聞かせください。
島 屋上防水材料の製造販売を目的として東京の三河島に創業したのは1919年(大正8年)です。以来、防水材の製造・販売と屋上緑化の普及を中核事業とし、防水業界のトップカンパニーとして進化を続けています。その間、38年に田島応用化工㈱に改称。建築防水材の技術力が評価され、床材の生産依頼があったのを契機に、50年には床材商品分野に進出、アスファルトタイルの製造販売を開始。52年に床材製造販売会社の三星アスファルトタイル㈱(その後㈱タジマに改称)を設立し、防水と床材を分離独立させていましたが、2014年12月21日事業強化を目標とし両社を統合して一体化し、新生・田島ルーフィング㈱としてスタートしました。
――企業理念についてお聞かせください。
島 「和:Harmony」「革新:Innovation」「技術:Technology」を掲げ、豊かな生活空間の創造に取り組んでいます。
――経営統合のメリットについて。
島 防水事業と床材事業を分社化していましたが、時代の経過とともにお互いの事業で培った持ち味を生かし両社によるシナジー効果を高めようと統合しました。防水と床はそれぞれ業界が異なりますが、特に改修市場では、防水改修需要の増加による構造変化が起きており、同様に内装業界も年々改修市場が増加傾向にあります。そこで、屋上防水の機能・システムと床材の持つデザイン性の融合を図り、お客様の満足度を高める新製品や新サービスの提供、そして改修提案を行うことにより競合他社にない特色が発揮でき、提案型営業体制に磨きがかけられ、より一層お客様のニーズにお応えできるのではないかと思っています。
――大阪支店の運営方針は。
島 近畿地区における建築防水のソリューションカンパニーとしての提案力を強化するとともに、床材の改修市場でも当社の提案力を生かして、新たな市場を開拓していきたいと考えています。お客様の意見をお聞きして、それを製造部門にフィードバックし、これまで培ってきた製造・応用技術を生かしてきめ細かく対応し、喜ばれる商品・サービスを迅速に提供していくという体制を一層強力にしていきたいと考えます。
――2019年の創業100周年に向けて
島 全社で売上600億円を目標にまい進していきたいと思います。大阪支店の場合は営業部だけですが、若い社員が多く、その持ち味を生かし、それぞれの個性を引き出して活躍できるような職場環境づくりを目指しています。具体的には防水営業部門は技術営業が大きなウエートを占めていることから、防水の納まりや漏水をどう止めるかという技術力を身につけるために勉強会を行ったり、改修現場に調査同行し多くの現場を経験させたりしています。彼らの自信にもつながり、お客様のお役にも立てるということでやりがいを持って仕事をしてもらえると思います。
川田 基本的には技術力は両方の会社で昔からありましたので、その辺は今後も前面に出していきたいと考えています。営業についても個々のレベルはできているのですが、支店内での情報の伝達をスムーズにして、より有効活用していきたいですね。
――今後の営業展開について。
島 先にも申し上げましたが、防水の場合は納まりや技術的なことが非常に重要視されるので、その建物に適した材料や工法等の提案を行い、施工専門業者やビルのオーナーにきちんとした防水材料を提供することがメーカーとして重要かと思います。現場にて防水層を形成させることから、施工店と一体となって提供していかなければなりません。材工一体という考え方です。施工店とともに技術協力し、あるいは研修会等を定期的に開き、施工技術を磨きながらお客様に提供していく。そういう部分は床材も共通です。建築業界には防水について、床材について知りたいという方々から勉強会をしてほしいと要望があります。当支店でも防水改修セミナーを毎年2~3回開催していますが、1回に50~60名集まるなど好評で、我々としてもやりがいを感じています。今期は床とコラボで開催することも考えています。
――改修事業の営業戦略は。
島 マンションですと、購入時の修繕計画に防水の改修時期として13年位をめどに予算が組み込まれており、そういった建物の事前調査の依頼が管理会社や設計事務所から寄せられ、あるいは学校改修などは自治体から依頼されます。そういった調査で大阪だけでも多いときは年間数
千件にも達します。その物件調査をして建物に適した防水工法や環境改修の提案をし、それを採用していただいています。改修のニーズは今後もますます増えてくると思います。昨年は新築が少し増えて、改修と新築の比率は6対4位でした。
――防水・床材の主力商品について。
島 防水の方は、総合防水材料メーカーとして、主軸になっているのが、改質アスファルト防水、塩ビシート防水、ウレタン塗膜防水の3つの防水工法を提案しています。当社の場合は主軸材料の製造ラインがそれぞれありますので、各工法を適材適所に提案できる強さを持っています。
また地球環境問題や省エネ対策として、建物自体の冷暖房費を減らすために、建物の外から熱や冷気が入らないように断熱して屋上防水する「サーモコントロール断熱」を数年来、徹底的に提案しています。この製品は断熱材と高反射塗料の組み合わせにより、外気と建物内の熱の出入りを遮り、一年を通じて室内を快適に保つシステムです。東日本大震災以降は省エネへの要望が一段と高まっています。当社が提供している同システムへの期待も大きく、今後も普及に努めていきたいと思っています。
またマンションの開放廊下には防水・床材の両方の業者が入ってきています。当社にはガラス繊維基材を採用し、寸法安定性と耐候性に優れているという特性を持った防滑性ビニル床シート「ビュージスタ」があります。これは建物を保護し、長寿命化を実現する防水システムを備えており、このため防水・床材営業部が一体となって積極的に提供していきます。
このほか、軽量・乾式ソーラーパネルの防水とソーラーパネル設置用の基礎である「ソーラーベース」を積極的に展開していきたいと思っています。環境問題からソーラーパネルの設置が増えている一方で、台風や風雨、積雪などの影響により基礎が破損する悩みを抱えていましたが、これらの悩みを解消できるのが強みです。新築・改修を問わず様々な防水工法に適用でき、乾式のシンプルな構造ながら優れた固定強度を備えています。しかも場所打ちコンクリート基礎が不要なため、短工期での施工を可能としています。
川田 防水・床材両部門の統合を機に高級グレードのタイルカーペット「タピステクスチャー」を昨年12月に発売しました。汎用品が市場的にも飽きられつつあるうえ、高級志向も出てきています。新製品はハイグレードで特に歩行感をよくしたボリュームのあるタイルカーペットです。しかも意匠的には自然が織りなす造形美をイメージし、雲海、海流、大地、岩肌、霜柱を柄に反映しています。設計者の考えたデザインや機能を、施主が納得していただくのに提案しやすい位置づけで製品設計を行っております。従って社長室や応接室、ホテルなどハイグレード感を出したい場所に適しています。この製品を認知していただくことで、他の部位にも当社の床材を提案できるきっかけとなる優れた商品です。
――大阪支店独自の取り組みは。
島 大阪支店では、当社のキーワードである「屋根で守り、床で支える」のもと、防水と床材の営業員が一緒に自治体や設計事務所を回り、PRしています。
それから、植栽や屋上緑化が特徴の自社ビルをうまく活用していきたいと考えています。1~2階の吹き抜け展示スペースを人の集まる場にしていくことが今後のテーマです。
――ビルの屋上緑化は貴社が我が国で最初に手掛けられたそうですね。
島 欧州では早くから屋上緑化を進めており、我が国でもヒートアイランド現象の緩和、都市緑化、遮熱などの環境問題から屋上緑化への関心が高まりつつあります。屋上緑化は完全な防水に加え、絶えず保湿、排水、耐根対策などの難しい条件をクリアしなければなりません。屋上への負担軽減から盛土の重量にも制限があり、また強風で植木や草花が飛ばされれば、2次災害の懸念があります。緑化によって建物の寿命を延ばせられ、しかも草花や緑に触れられるなどから設置した企業から喜ばれています。
――防水・床材業界の今後の展望について。
島 防水業界は13~15年位でリフォームの時期が来るので、まだまだニーズが増えてくると思います。ただ技能員不足の問題もあり、施工時期や技能員の育成にどう取り組んでいくかが重要かと思います。技能員を育成するために養成所を毎年東京・大阪で開いています。技能員の数は横ばいか若干減少傾向ですので、その確保を施工店とメーカーが一体となって業界として考えていかなければならないと思います。
川田 床は改修サイクルが防水より短く、汚れたら張り替えるというケースが多い状況ですが、問題は改修したくてもできない場合です。例えば、店舗は改修工事のために休業したくない場合がありますし、医療福祉施設ですと入院患者や入居者がいる状況で改修しなければならない場合があります。このような状況下で接着剤や騒音の問題をどう解決していくかにあります。片方で工事をしながらいつも通り使用や営業できる。まさに『居ながら改修』を要望される施主さんがかなり増えてきています。現在は様々な状況下に対応できる材料や工法を現場状況に合わせて提案するという流れになっています。床材部門も施工店とメーカーが一体となり、改修工事の問題解決を実現していきます。
――ありがとうございました。今後のますますのご繁栄を期待しています。
※写真は田島大阪ビルの屋上庭園
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