中川翔子(なかがわしょうこ)
1985年5月5日生まれ。東京都出身。2002年にミス週刊少年マガジンを受賞し芸能界デビューして以来、数々のテレビ番組に出演。趣味はパソコンでイラストを描くこと、読書、ゲーム、映画、アニメ、コスプレなど。特技はヌンチャク。
デビュー10周年となる2012年には、国内だけでなく初のアジアツアーを開催。
中川:JAXAは、いろんなことを開発して、いろんなことを切り開いてくれるので、日本の宝だと思っています。人類の希望・期待をすべて背負った、人類の歴史の最先端にいるのがJAXAだと思っていますので、JAXAで働く人は私たちのヒーローですね。JAXAには期待しまくりです!
以前出演した番組で筑波宇宙センターを取材させていただいたことがあって、敷地が広大で緑が多いのにはビックリしました。その時に、宇宙飛行士の野口さんとお話させていただきましたが、実は私もいつか宇宙飛行士の試験を受けたいと思っているんです。だから、頭の中にはいつも「JAXA」という単語があります。「JAXA」という名前の響きも気に入っています。
中川:はい。宇宙が大好きで、宇宙のことを考えない日がないくらいです。宇宙のことを知れば知るほど、もともとはネガティブな私でもワクワクしてきます。宇宙の歴史を調べて、私たちの寿命なんてチリのようなものだと思うと、いろんな嫌なことも忘れられて、一瞬で悩みも消えます。どんな胃腸薬よりも効くので、宇宙のことを必ず考えるようにしていますね。でも、以前番組でご一緒した国立天文台の渡部潤一先生から、宇宙は11次元が扇子のように折り畳まれて構成されているという話を聞いたときは、頭が爆発しそうなくらい興奮してしまって・・・。意味が分からなくて、それ以上考えると、たぶん頭が爆発しちゃうと思いました。だから、高級チーズを大事に少しずつスライスして食べるように、少しずつ宇宙のことを考えるようにしています。
木星(提供:NASA/JPL/University of Arizona)
中川:太陽系のガス惑星に興味があって、特に木星が好きです。岩石質の惑星よりもガスの方がファンタジーでいいなと思うんです。実は、木星は私の初恋の相手なんですよ。木星の縞模様や、太陽系で最も質量が大きいところがカッコいいと思います。以前、シューメーカー・レビー第9彗星が木星に衝突したんですが、地球が数個入ってしまうくらいの穴が開いても、木星は平然と自転していました。傷ついても普通に回っている姿を見て、ダメージ萌えというか(笑)。心惹かれました。
そのほかにも、木星のいいところを挙げるときりがありません。木星の衛星は66個見つかっていますが、そのような子だくさんのところも好きです。また、数年前に木星の大赤斑が少し白くなった時期があったんですが、変化があって飽きさせないところもいいです。しかも木星は、その巨大な質量と重力で、地球に近づきそうな危険な彗星をこれまで吸い込んでくれていたんですよ。それを知って・・・私は木星を愛してしまいました(笑)。木星がカッコよすぎて、今も木星を考えない日はありません。木星は大きくて、優しそうで、傷ついてもクールで強いので、本当に理想の男性です。
中川:はい。擬人化するのが好きなんです。天王星も好きですが、水色でかわいいので女性だと思っています。天王星は自転軸が横倒しなので、地球にいつもパンチラしているようだなあと想像すると楽しくて(笑)。宇宙のことを考えると本当にワクワクしてきます。
中川:小学生のときに、祖父がよくプラネタリムに連れて行ってくれたのが、宇宙を知るきっかけです。宇宙にすごく興味を持ち始めたのは、小学校5年生くらいでしょうか。その頃にヘール・ボップ彗星が地球に接近して、夕暮れになると空に見えていました。彗星が地球に衝突したらどうしよう思うと怖いんですが、とても美しいんです。怖さと美しさが入り交じった何だかとても不思議な気持ちになって、それをきっかけに宇宙に興味を持つようになりました。そして、祖父が買ってくれた双眼鏡でヘール・ボップ彗星を見たら、より大きく見えて、その異様さに圧倒されたんです。もっと宇宙のことを調べなきゃいけないという気持ちになって、中野星の会に入会しました。私以外は年配の方たちばかりで、大人の中に子ども1人が混じって天体観測会に通っていましたね。そのうち図鑑で宇宙のことを調べるようになって、木星にどんどん惹かれました。
中川:はい。小惑星探査機「はやぶさ」の帰還の時はニュースでよく見ていましたし、「はやぶさ」の本も読みました。やっぱり、人が作ったものには人の思いや念がこもるから、「はやぶさ」はちゃんとその思いを受けて動いてくれたという感じがしますね。「はやぶさ」は素晴らしいプロジェクトで、地球人類の宝ですし誇りだと思います。あのような奇跡を起こすことができるのは、人類と、人類がつくったものだけです。科学って本当に素晴らしい。科学が進化すればするほど人類の進化にもつながるんだなあと、「はやぶさ」を通して改めて思いました。
冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」(提供:NASA)
中川:NASAの「ニュー・ホライズンズ」という探査機が今冥王星に向かって飛んでいて、2015年に到達する予定です。冥王星は遠すぎて、これまで明確な写真がないんですが、この探査機が到達すれば、やっと冥王星のはっきりした顔が見られます。これが今の一番の楽しみですね。
実は私、冥王星と縁があるんです。冥王星が海王星の軌道の内側に入ってきた時期は、どうしても冥王星のことが許せなくて、月より小さいのに惑星とは何事だ!って腹が立ち、いつも冥王星のことを目の敵にしていました。でも2006年に急に、冥王星が準惑星に降格されたじゃないですか。最初は、「ざまーみろ」と思ったんですが、だんだんかわいそうになってきて・・・。それで、ブログで「冥王星、ごめんね」って謝ったんです。その後、どうしてこんなに冥王星のことが気になるんだろうって調べていたら、私の先祖で天文民俗学者の野尻抱影という人がいて、冥王星という和名をつけたことが分かったんです! なぜだか分からないけれど、冥王星に惹き付けられていた理由は、きっとそういう縁があったからだと思っています。
有人潜水調査船「しんかい6500」(提供:JAMSTEC)
中川:はい。2009年に『飛び出せ!科学くん』という番組の企画で、有人潜水調査船「しんかい6500」に乗って5000メートルの深海に行かせていただいたことがあって、その時に見た深海は、宇宙にとても似ているように思えました。すごく奇妙な形の生き物がいたり、マリンスノーと呼ばれる、カメラに写らないぐらいわずかな光たちが一生懸命キラキラしていたり。しかも、その光は1個1個が違う変な形をしているんです。深海の謎は、宇宙の謎と同じくらい大きいと実感しました。水深5000メートルに行った芸能人は初めてだと聞いて、じゃあ宇宙にも行かなきゃ!と思い、自分ではすっかり宇宙へ行く気になっています。深海と宇宙の両方を見た人はほとんどいないと思いますので、ぜひ実現したいです。
中川:深海に行った時も、自力では戻れないということで、潜る瞬間は初めて死を意識しました。でも、深海に行きたい!という気持ちの方が勝っていたので、その恐怖はすぐ消えました。深海に行けるなら死んでもいいと思ったんです。だから、宇宙へ行くときも、ロケットが爆発したらどうしようとか、やっぱり怖いという気持ちはあると思いますが、宇宙へ行ってしまえばもう何も怖くなくなると思います。
中川:いいえ。体重と持ち物の重さを申告するだけだったので、宇宙と違ってすごく楽でした。お菓子も持って行けましたよ。「しんかい6500」の中は狭くて搭乗できるのは3人。私以外は操縦士だけで、番組のカメラマンやディレクターさんも乗り込めませんでした。だから私がカメラのテープチェンジのやり方などを覚えて撮影したんですが、それも問題なくできました。「しんかい6500」の中は、深海に行く時の圧力から守ってくれる技術があるのでGもそれほどかからず、訓練も要りません。それくらい簡単に宇宙にも行けるようになれば、私がおばあちゃんになってからでも行けるのになあと思います。