「クラウド」の認知度が高まりを見せる一方で、実際に利用しているユーザーはまだ少ないと言われる。クラウドに抱くユーザーマインドはどのような状況にあるのかを探る。
「クラウドコンピューティング」という言葉が登場して久しい。一般社会でも徐々に広がりを見せているが、言葉の認知度に比べて、導入に慎重なユーザーが少なくないと言われる。クラウドの本格普及に求められるものとは何か――アイ・ティ・アール(ITR)主催による「メディア横断企画 クラウド討論会2011」では、主要IT系メディアのトップがクラウド時代と向き合うためのポイントについて活発な議論を交わした。
本稿ではクラウドコンピューティングに対する企業ユーザーのマインドについて、「ITmedia リサーチインタラクティブ」での読者調査の結果などを基にその現状を紹介する。
ITmedia リサーチインタラクティブが2010年9〜10月に実施した第9回調査「クラウドコンピューティング」によると、パブリッククラウドを現在利用している企業は31.1%に上った。2009年の調査から12.1ポイント増加し、パブリッククラウドの利用が拡大していることが分かった。(図1参照)プライベートクラウドを現在利用している企業は19.3%だった。
またクラウド討論会2011に先立って、ITRと主要IT系メディアが2010年12月に実施した調査(以下、討論会調査)では、クラウドコンピューティングを現在利用している企業が30.3%に上った。これらの結果から、クラウドを導入している企業は3割程度というのが実態であるようだ。(図2参照)
一方、7割近くを占める未導入企業の現状はどのようなものだろうか。ITmedia リサーチインタラクティブの調査では、パブリッククラウドについて、「現在評価中」「利用を検討中」が33.0%、「計画はない」「わからない」が35.9%と、ほぼ二分される状況であった。
討論会調査では、クラウドの「具体的な利用計画がある」「具体的な利用計画を策定中」が23.1%、「将来的な利用を検討」が32.1%、「関心はある」が37.1%、「関心はない」が7.4%だった。ITmedia リサーチインタラクティブでの結果と同様に、クラウドの導入に対して前向きな企業と、様子見もしくは消極的な企業がほぼ同程度に分かれる状況だ。
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