Java SEについてはJava SE Platform LeadのDanny Coward氏から報じられた。
OpenJDKについては初日の基調講演でも説明があったため割愛するが、大きなテーマとなったのが、現在の最新版であるSE6に続く、次世代のSE7の機能概要の紹介だ。
取り上げられたのは「モジュラー化」「複数言語対応」といった特徴である。コンシューマ向けランタイムとなるJREでもモジュラー化が行われ、ダウンロード時間の短縮や実行速度の向上に注力されている。これにより、エンドユーザーがこれまで以上にJavaアプリケーションを利用しやすい環境とすることが目標だ。
今回のゼネラルセッションで唯一といってよいサーバサイドの話題が、オープンソースで開発中のJavaアプリケーションサーバ「GlassFish」に関するものだ。
今回の目玉は、“HK2 Technology”と呼ばれる小サイズのカーネルの採用し、さらにモジュラー化を推し進めたことでフットプリントが軽量化され、動作が軽快になったことだ。例えば、アプリケーションサーバ自体の起動時間が463msで完了したり、障害が起きて一度シャットダウンし、再起動するまでのプロセスが2秒足らずで完了する、といった内容がデモを交えて公開された。
火星探査機のプロジェクト以来だと思われるが、NASAからもゲストスピーカーが参加した。今回紹介されたのはNASAが取り組むプロジェクト“NASA World Wind”であり、プログラムマネージャのPatrick Hogan氏が説明を行っていた。
World Windは惑星の描画も行うビジュアライゼーションシステムであり、Hogan氏は「取り組みとしてはGoogle Earthなどとよく似ているが、より科学的な視点でNASAが持つ描画技術を活用したもの」と語った。Java版が公開されているため、JavaOneでの紹介となった形だ。
地球全体を3Dモデル化してあり、マウス操作で自由に回転などが行えるほか、スムーズかつ高速にズームインなどの操作が可能だ。静止画ではイメージが伝わらないのが残念だが、デモを見た印象では、地球レベルから都市内詳細画像のレベルまでスムーズに詳細化していく様子は、あたかもスペースシャトルから地表に向かって飛び降りたかのような感覚であり、会場からも大きな拍手が起こっていた。
World Windは、ほかのソフトウェアに組み込んで利用することや機能拡張が可能になっている点も特徴であり、この点をデモしたのがDiSTI CorporationのCTO、Darren Humphrey氏だった。同氏が紹介したのはDiSTIが試作したF16のフライトシミュレータで、環境情報としてNASA World Windが利用されている。
衛星画像に基づくリアルな地形の上を飛行できるのだが、面白いのは機体が3Dモデルで表現されているのは当然として、ズームアップの操作でコックピットの内部に入り込むことができる点だ。コックピットの内部は3Dモデルと2D画像の組み合わせでできているそうだが、マウスで操縦桿(F16なのでサイド・スティック)をドラッグすると機体の姿勢が操作通りに変化したり、パネル上のつまみやボタンなどがマウスで操作可能になっているなど、機体自体もWorld Windの環境モデルの操作感と同様のリアリティで統一されていた点が印象的で、会場からも喝采が起こっていた。
例年のテクニカルゼネラルセッションでは、SE、EE、MEのそれぞれの最新情報や将来のロードマップが話題の中心になっており、この手の「面白いJava関連技術」を次々見せるのはジェームズ・ゴスリング氏の担当だったのだが、今年はだいぶ構成が変更されていた。
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