朝日新聞社は7月30日、ソーシャルブックマークやミニブログの機能を備えた無料の携帯電話サイト「参考ピープル」のクローズドβ版をオープンした。先着1000人限定で利用できる。9月1日に正式版へ移行し、一般公開する予定だ。
「新聞離れが進んでいる」という35歳前後に、CGM(Consumer Generated Media)の力を生かして情報を届け、広告から収益を得る狙い。「電脳フィギュア ARis」で知られる芸者東京エンターテインメント(GTE)と、SNS構築の手嶋屋が開発に協力した。
ユーザーの情報発信に期待し、他社の力も借りるという取り組みは、紙面制作から販売までを一貫して自社で行う“自前主義”の同社としては異例で、「これまでとは真逆」と、朝日新聞社デジタルメディア本部の洲巻圭介プロデューサーは話す。
手嶋屋が中心となって開発してきたオープンソースのSNSエンジン「OpenPNE」をベースにした携帯サイト。ユーザー登録するとマイページを開設でき、ほかのユーザーを友達登録したり、150字程度の短い文章を投稿する「ミニブログ」機能を利用できる。
ソーシャルブックマーク機能を備えた。サイト上から直接登録したり、サイトURLを専用メールアドレスあてに送ることでブックマーク登録できる。コメントやタグを付けることも可能だ。トップページからキーワード検索し、検索結果に表示された携帯サイトをブックマークする「クリップ」機能もある。
オリジナルキャラがお題を提示し、ユーザーにブックマーク投稿を促す仕組みも用意した。GTEが開発した技術を利用しており、投稿するとキャラがお礼のコメントを返す。
キャラは、「社内のアイドル的存在」という設定の女性「桜子」、おじさんキャラ「ミウラ部長」など5種類。GTEの田中泰生社長は「キャラをもっと過激にしたい」とたくらんでいるようだ。
参考ピープルは、「これまでの真逆へ走った」(洲巻プロデューサー)サービスという。同社が運営する携帯サイトは有料課金モデルが多かったが、今回は無料にして広告から収益を得る計画。朝日新聞としては珍しく、ネットベンチャーとも組んだ。
ターゲットは35歳前後の人。その背景には「30代に新聞が読まれなくなっている。情報取得の仕方が変わってきており、ブロードキャスト型では情報が届かない。届かなければ意味がない」(洲巻プロデューサー)という危機感がある。30代前半のGTE田中社長も「新聞を読まない」と話す。
参考ピープルはCGMの力を利用し、「ユーザー1人1人に必要とする情報を届けるコミュニケーション型のモデル」(洲巻プロデューサー)だ。「情報を届けるのが新聞社の役割なので、30代に求められる媒体を作ろうと考えた。朝日新聞の読者を増やすのが主な目的ではない」という。
開発には「エッジが効いた」(洲巻プロデューサー)ネットベンチャー2社に協力を依頼。手嶋屋の手嶋守社長は「SNSは運営や設計が難しく、自前で始めると失敗する可能性が高い。参考ピープルで力を発揮できることはうれしい」と話す。
GTEの田中社長は朝日新聞から協力を依頼された際、「朝日新聞終わってるな。いや、始まってるなと思った」と打ち明け、「僕らみたいなところと朝日新聞が組んでやるということをご評価いただきたい」とアピールした。
3年後に利用者100万人、売上高2億円を目指す。他社サービスとの連携も勧めていきたい考えだ。田中社長は「Webサービスは進化させていくことが重要。“生温かい”目で見守ってください」と話していた。
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