「GREE」「mixi」のヒットに始まり、次々に登場したソーシャルネットワーキングサイト(SNS)。その1つ「UUME」が3月20日、姿を消す。ユーザーサポートがなくなり、運営企業が突然変わり、掲示板の書き込みが削除され、アクセス不能になり――終えんの兆候はあった。サービス終了を知らせるメールは3月11日午後、ユーザーのもとに届いた。「はた迷惑な散り方だよね」――ドタバタの末の閉鎖宣言に、ユーザーは不満を募らせている。
UUMEは、昨年8月にスタートした、招待不要で参加可能なSNS。友人を階層別に表示したり、コミュニティーを外部に公開できるのが売りだった。運営元(当時)のフェアオークスジャパンは、中国最大のSNSを運営する米Fairoaks Information Technologiesの日本法人で、ソーシャルネット専業。コミュニティーを企業マーケティングツールとして売り込んで収益をあげる計画だった(関連記事参照)。
思ったような収益があがらなかったのか、別に事情があったのか――フェアオークスジャパンは2004年いっぱいで撤退。東京・青山にあった事務所を引き払い、運営は米国の親会社に引き継がれた。親会社はその後「UU International」と社名を変え、拠点をケイマン諸島に移した。すべてはユーザーに何の告知もないまま、静かに行われた。
ユーザーが異変を感じ取ったのは昨年末頃。コミュニティーの掲示板に管理者からのレスがつかなくなり、サポートのアドレスにメールを送信しても返事が来なくなった。システムも更新されず、サイトのタイムスタンプもズレ始めた。
不審に思ったあるユーザーが、今年に入ってコミュニティーに専用トピック「UUMEがやばい」を立て、現状を報告し合った。「退会希望メールに返事が来ない」「システムが更新されない」「管理者の気配がなくなった」。
真相を確かめようと、会社概要に記載されていた運営元・フェアオークスジャパンに電話したユーザーは、受話器から流れる音声にがく然とした。「おかけになった番号は移転のため、電話を取り外しております」。
2月中旬、「UUMEがやばい」が、運営者側の手で突然削除された。同じ頃、会社概要も更新され、社名がフェアオークスジャパンからUU Internationalに書き換えられた。所在地はケイマン諸島。ユーザーの不信感は頂点に達した。「経営に行き詰まり、サイトを削除するつもりでは」「運営者はユーザーの個人情報を売り払うのでは」「サイトにはスパイウェアが仕掛けてあり、ユーザーの個人情報を収集している」――さまざまな憶測が飛び交った。
ユーザーは新たなトピックを立て、現状を話し合った。あるユーザーは、事務所の住所を訪ねた。もぬけの空だった。Q&Aサイト「はてな」に、どう対処すべきか質問を投げかけたユーザーもいた。この質問が話題になり、一部ニュースサイトにも取り上げられたが、運営者側からの反応は全くなかった。
3月8日。トップページからログイン画面が消えた。「サーバメンテナンス中。すぐに復旧致します」。再びログインできるようになったのは3月11日。同日夕方、ユーザーに1通のメールが届いた。
「3月20日に全サービスを終了します」。
「UUMEからの重要なお知らせとお詫び」と題されたメールには、言い訳とも取れるこれまでの経緯が書かれていた。経営上の判断で、昨年いっぱいで国内拠点を撤収し、国内スタッフを解雇したこと。その結果、運営スタッフが不足し、メンテナンスやサポートができなくなったこと。組織変更で社名を変更し、拠点をケイマン諸島に移したこと。
ネット上でささやかれた噂についても「会員の個人情報は破棄し、二次利用はない」「スパイウェアは仕掛けていない」と一つ一つ反論した――が、放置され続けたユーザーの不信感は簡単には解消できない。
「UUMEサイトのユーザー様に対し、必要なお知らせや事情の説明が欠落し、ご迷惑をお掛け致しました事を深くお詫び申し上げます」――謝罪の言葉は遅すぎた。
とはいえ、一応の決着は付いた。UUMEは、もうすぐなくなる。
これまでのゴタゴタを乗り込え、UUMEを使い続けてきたユーザーは、裏切られた形となった。システムやメンテナンスの不備を知っていながらやめなかったユーザーは、UUMEが好きだった。
「他のSNSにないチャット機能が気に入っていた」「動きが軽快で好きだった」「昨年末までは管理者がユーザーと積極的にコミュニケーションしていて好感が持てた」「欠点もあったけれど、mixiのように巨大でないのが良かった」――閉鎖を惜しむ声は多い。
あるユーザーはこう話す。「サービスが停止すること自体は仕方のないことだが、何カ月もの間情報が遮断された状態になってしまったのが残念で、後味の悪い最期となった。この不信感がほかのSNSサービスに及ばないことを祈る」。
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