──本作『ダライアスバースト』の曲のコンセプトを聞かせてください。
石川勝久氏(以下、石川) これまでの『ダライアス』シリーズは、小倉さんがひとりでサウンドディレクターもコンポーザーも兼ねて世界観を作ってこられたわけなんですが、今回はシリーズ初の分業で、私がサウンドディレクターを担当して、あとはコンポーザーが3人(土屋昇平さん、小塩広和さん、小倉さん)という体制になったんです。本作のプロジェクトが立ち上がったときに、青木さん(『ダライアスバースト』プロデューサーのアオキヒロシ氏)から、「今回は、サウンドも含め、すべてが新しい『ダライアス』にしたい。だから『ダライアスバースト』は、現在のZUNTATAメンバーを軸に作ってほしい」という話が最初にありました。
──『ダライアス』の伝統は守りつつ、新しいものをどんどん取り入れるという感じですか?
石川 そうですね。これまでの『ダライアス』を作ってきた小倉さんにもプロジェクト全体を引き締める役割で参加してほしいという意見もあり、この体制になったわけです。でも、最初のうちはコンセプト面で悩みましたね。そこで私は「ダライアスはコンポーザー自身の中から何かを生み出してほしい」と、土屋と小塩に託して、ふたりにとことん悩んでもらいました。『ダライアス外伝』や『Gダライアス』のときに、小倉さんが必死になってコンセプトや構成を考えるのを見ていますから、土屋と小塩には僕から具体的に「こういう曲にしようよ」とは言わなかったんです。設計図どおりのモノが上がってきても全くおもしろくないですから。そうして、ふたりから絞り出された曲を聴いたとき、"宇宙の深淵"というテーマがそこから浮かんできたんですよ。そのとき、このテーマの根底には、小倉さんがいままでに積み重ねてきた『ダライアス』に通じるものがあるなって思いました。
──『ダライアスバースト』の世界設定に曲を合わせるのではなく、創り出した曲からテーマが生まれたんですね。
石川 いちばん最初はそうですね。ゲーム自体もまだまだ形になっていない状態でしたし。とにかく、新しいものを目指しつつ、なおかつ『ダライアス』でなくてはいけない。そこを守りつつ作っていきました。
──なるほど。ところで、スペシャルCDアルバムの2曲目には歴代のWARNING!音が流れて、何だか不思議な感じですね。
石川 アルバム全体の構成としては、まず1曲目が『ダライアスバースト』のオープニング曲で始まり、つぎに歴代作品のWARNING!音でリスナーを現在から過去へトリップさせます。そこで、小倉さん選曲の7曲がきて、10曲目の新曲で現代に戻ってこさせて、さらに未来へ飛び立つ……と。
──なるほど。11曲目以降は『ダライアスツイン』づくしとなっていますが……。
石川 今回のアルバムは2枚組CDのようなものだと思ってください。10曲目までと11曲目以降の2部構成ですね。『ダライアスツイン』の曲は、ファンの方々からの評価がとても高いんですよ。でも、いままで一度もパッケージ化されたことがないので入れてみました。コンセプトがどう、とか難しい話ではなく、皆さんにはシンプルに楽しんでいただきたいです。『ダライアスツイン』の曲には曲名が付いていなかったんですが、当時ダライアスツインのサウンドプログラミングを担当されていた、元ZUNTATAの古川さん(古川典裕氏)に当時のことを思い出しながら改めて曲名をつけてもらいました。
──スーパーファミコン版が発売されたのが'91年だから、曲が生まれてからじつに18年経って名前が付けられたわけですね。では最後にひと言お願いします。
石川 『ダライアスバースト』の曲は、現在進行形のZUNTATAと小倉さんの力を結集して作っています。ぜひ、全部のゾーンをクリアーして1曲残らず聴いてください。全曲を聴くのはなかなかたいへんだと思いますが(笑)。また、スペシャルCDは、小倉さんの協力もあって、ただのベスト盤ではないZUNTATAらしいアルバムに仕上がったと思います。ぜひ聴いてみてください。
──ありがとうございました。
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