スペインのカタルーニャ地方に伝わる昔話。まめつぶくらいの小さい男の子、パトゥフェのおはなし。
パトゥフェは小さいけれど誰よりも元気でなんでもやりたがりや。だからおつかいにも行くのです。
お母さんから頼まれたサフランのおつかいは成功しましたが、お父さんへお弁当を届けようとして途中で牛にキャベツごと食べられてしまいます! はたして、どうやってパトゥフェは外に出られるのでしょうか!?
この赤い帽子のパトゥフェのおはなしは、スペインではとても有名で、絵本やアニメにもなって広く親しまれているそうです。おつかいの時にパトゥフェが歌う歌は、童謡として大人になっても多くの人が歌えるくらい、とあとがきにあります。
パタン、パティン、パトン
ふむなよ
ふむなよ
パトゥフェがいくよ
声に出してみると、赤い帽子を被って元気に歩くパトゥフェが想像できます。
日本にも親指ほどの「一寸法師」のおはなしがありますが、体は小さくても堂々と大きな鬼をやっつける豪快さが面白いですよね。まめつぶこぞうパトゥフェにも、そんな特別小さいものが大胆なことをやる楽しさと、最後の牛のおなかからの脱出劇の面白さが単純で、その素朴さゆえに子どもから大人まで一緒に楽しめて語り継がれていくのだろう、と思います。
1年生と3年生に読んでみたら、おつかいのシーンでパトゥフェが小さすぎてお金やサフランがひとりでに動いているように見えるところでクスクスとおかしそう。最後のシーンはちょっとあっけにとられながらも満足の様子でした。
ささめやゆきさんの描くシンプルな線とシックな色使いの絵がこの昔話の雰囲気にぴったり。
おはなし会にもおすすめ。これからもスペインの昔話として子どもたちに紹介していきたい一冊です。
(山田裕子 小学校司書)
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