日本サーカス用語
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サーカス用語
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皆さんはサーカスを見ていて、あの芸の名前はなんていうんだろう?と疑問を感じたことはありませんか。そこで「日本のサーカス」という限定付きで、芸に関連した用語について調べてみました。
- 1.渡りもの
- バランスものを『カジモノ』といい、その代表格が『ツナ渡り』でしょう。
『ツナ渡り』には「綱渡り」、「針金渡り(通称ガネ)」、「高綱(カンスー)」、「青竹渡り・衣桁(いこう)渡り」、「坂綱・逆綱」、「四つ綱」などがあります。
- 「高綱(カンスー)」
ツナを高いところに張ってバランスのために長い棒を持ってわたる芸
- 「青竹渡り・衣桁(いこう)渡り」
太い青竹の上を足駄(アシダ)をはいて渡る芸
- 「坂綱・逆綱」
約40度斜めに張ったツナを一歩一歩昇りつめて一気に滑り降りる芸
- 「四つ綱」
十字に張った綱の交差したところで宙返りをしたり逆立ちのまま足指に扇子をはさんで手踊りなどをする芸
- 2.撞木(しゅもく)もの
- 撞木とは元来は鐘をつく木の棒のことですが、『撞木もの』といえば『ブランコの曲芸』のことをいいます。幅1mほどのものを「大一丁」、肩幅以下のものを「小一丁」といい、ブランコの曲芸は空中ブランコと空中飛行に大別されます。
- 空中ブランコ
- 「揺り一丁撞木」
一人乗りブランコでの曲芸
- 「大一丁」
撞木の両端に鉄の玉をつけて揺れを大きくしたブランコの上に立ち両手をはなしてバランス
をとる芸
- 「頭立ち大一丁」
頭で逆立ちをして両手をはなしバランスをとる芸
- 「パイプレット」
ラウンダーともいい、空中高くブランコを固定させておき、革靴をはいた男が上っていき、ブランコの中央部に立って垂直のまま前に倒れたとみせて、くるっと一回転する芸(サーカスで唯一のネタ物)
- 空中飛行
- 「ロシア飛び」
ブランコからブランコへ飛び移る素飛びのこと
- 「バロスキー式」
飛び交うこと
- その他
- 「輪撞木」
吊り輪の輪を大きくして高く吊ったもので、膝の関節でその輪に下がったり顎と足をかけて横になったりする芸
- 3.自転車
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- 「ドロップ」
自転車を止めて行う芸
- 「アップ」
自転車を走らせて行う芸
- 「スター」
5人乗りなど高くしていく芸
- 「トンボリン(通称ブンブン)」
自転車のハンドルの上に両手で身体を水平に浮かせて支えハンドルをキュウキュウと回転させる芸
- 4.オートバイ
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- 「サイカホール」
Cycle Hallの訛ったもので丁度スリバチ型の桶の中で自転車を横になって走らせます。これがやがてオートバイとなり、桶の上部からホールを見渡す型式となります。
- 「アイアンボール」
地球儀みたいな鉄球(丸い檻)の中を2、3台のオートバイが同時に上下左右に自在に走り回る芸。
この丸い檻をアイアンホール Iron Hallといいます。出始めはセフロンといいましたが、今はアイアンボール Iron Ballと呼ばれています。
- 5.足芸
- 『足芸』のことを総称して『ゲソ』といいます。
足芸は芸人が台の上に寝て足を空中にあげ、両足で樽や梯子を自由自在に操るものです。
- 「ふんばりもの」
重い物を乗せて操る芸
- 「突っぱりもの」
椅子などを乗せてバランスをとる芸
- 「小足もの」
フスマや傘などの軽い物を操る芸
- 「蹴合人曲 けりあいにんきょく」
大人や子供を一人の男性が空中に蹴りあげると蹴り上 げられた上乗りが一回転して他の男の足の上に乗る芸
- 「葛の葉」
浄瑠璃の(信太森の白狐)にまつわる子別れの場を曲芸化したもので、大障子一枚を両足で差し上げ、上乗りがその障子腰板の棧に足をかけたままで和歌を書き上げたりする芸。
- 葛の葉・子別れの段のあらすじ;
- 歌舞伎や文楽や浄瑠璃や説経節で、おなじみの葛の葉子別れの段のあらすじはこうです。
安倍(安部?)保名は信太の森で迷うちに、葛の葉という美しい女性と知り合い、やがて一子、童子丸が生まれたが、そこに本物の葛の葉姫が現れたことから、葛の葉が実は白狐の化身であったことが分かる。
葛の葉は、思いをこめた歌を障子に書き残し、童子との別れのつらさを振り切って、信太の森に戻っていく。
つまり親子の愛と哀切な子別れを描いているわけなのです。
歌舞伎の上演では、ケレンも見どころが多く、狐と人間との早変わりや、曲書きなどが観られるそうです。障子に「恋しくばたずねきてみよ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」と書き置く際、初め右手で書いていたのが、いつしか裏文字になり、童子にそでを引かれ、左手で裏文字を書き、最後は子を両手で抱いて口に筆をくわえて書き上げる。
こういった曲書きも見せ場の一つだそうです。
- 「柳樽」
柳の板で造った樽を操る芸
- 「二重柳樽」
足の上に子どもを乗せてその子どもが樽を操る芸
- 「四重柳樽」
上乗りの子どもが3人積み重なり樽を操る芸
- 「大半切り」
直径1m半位の大ダライのことで、それを幾つも積み重ねた小判桶の上に乗せそのタライの中や上に上乗りがあがって逆立ちなどをする芸
- 「十字架」
木で造った大きな十字架の先を蹴りながら廻す芸
- 「瓶割り」
大きな水瓶を差すもので、上乗りが瓶の中を入ったり出たり瓶の口で逆立ちをしたりする芸
- 6.肩芸
- 『肩芸』のことを『差しもの』といいます。
- 「一本竹」
肩の上に長い竹を乗せてその上での上乗りの曲芸
- 「はね出し」
竹の上部に直角に乗せた梯子での上乗りの曲芸
- 「旗わく」
- 竹の上部に木枠を組みそこでの上乗りの曲芸
- 「くだけ梯子」
仕掛つきの梯子を分解させて一本竹に変わる芸
- 「ハシゴのぼり(通称ピーター)」
芸人は両手で左右に小刻みにゆすりながら一歩一歩ハシゴを上っていく芸
- 「肩グルマ」
ダルマともいい大人がハシゴの頂上まで上り、後から身軽な少年がその大人の肩まで上り大人の肩の上に立つ芸
- 7.その他
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- 「七丁椅子」
七脚の椅子を積み重ねて頂上で逆立ちなどをする芸
- 「びはね板」
空中のシーソーの両端に一人づつバランスを取りながら逆立ちや足首を掛けてのぶらさがりなどの芸
- 8.参考文献
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- 「日本のサーカス」/尾崎宏次・著/三芽書房
- 「サーカスの歴史−見世物小屋から近代サーカスへ−」/阿久根巌・著/西田書店
- 「芸双書・さすらう−サーカスの世界−」/南博、永井啓夫、小沢昭一・編者/白水社
- 別冊新評「サーカスの世界」/新評社発行
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