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名古屋Mさんロボトミー裁判(1973-)
精神障害/精神医療
/
精神外科:ロボトミー
◆19681003 松谷秀弘(仮名) 騒音のために眠れないことを警察署に訴えた時、ガラスを割り、警察が守山十全病院(当時香流病院・現紘仁病院)に連絡、病院へ搬送。その日、彼の父が入院同意書に署名捺印。同意入院。
◆19691018 精神衛生鑑定
◆1969末 弁護士あてに退院依頼の手紙を書いたところ、発見され、保護室に拘禁される。
◆1969末 拘禁されて2日後にロボトミー手術
◆197002 2度目のロボトミー手術
◆1973 5月の日本精神神経学会の台実験糾弾決議についての新聞記事を知り、石川清に手紙を書く
◆1973/11/21 M、M支会メンバーの支援をうけて、守山十全病院院長重富克美と執刃医岩田金次郎(愛知医大脳外教授)の両者を相手どって名古屋地裁にロボトミー裁判を提訴◆1973/12 「守山十全病院におけるロボトミーを糾弾し、M氏訴訟を支援する会」、名古屋の医師・知識人・労仂者・学生・市民など一五〇名で結成
◆1980/07/11 結審
◆1980/08/01
『ロボトミー徹底糾弾』第6号
「○名古屋M氏裁判斗争○
つぎに名古屋M氏裁判斗争について触れたいと思います。七月一一日に結審し、いよいよ一〇月二四日に判決がおりることになりました。弁護士の予想では、札幌型判決がおりるのではないかということです。
すなわち、十分に治療をほどこさなかったこと、本人の同意をとらなかったで医師の罪は認めるが、ロボトミーそのものについては合法であるという内容です。
私たちは、ロボトミーを肯定した札幌判決を批判してきました。名古屋でもこのような札幌と同じような判決があるならば、断固として批判していかなければなりません。ロボトミーを公認してきた国の責任を追及している東京や青森の裁判に重要な影響をおよぼすからです。
私たちは裁判斗争に本当に勝利していくために一番重要なことはロボトミー被害の甚大性を訴え、それを声に大にして叫ぶ被術者の決起だということを忘れてはならないと思います。法律上の論争や学術上の論争に勝利しても、実際に裁判で勝利することになかなかつながらないと思います。医師や弁護士まかせの裁判でなく、ロボトミー被術者の怒りを代表する斗争としての裁判斗争としての位置づけがないとたたかいにはなりません。
今年は一九八〇年、民法上の時効が二〇年ですから、一九六〇年(昭和三五年)以前にロボトミーをやられた人は、裁判を起こすことすらできないわけです。わが国に何万人のロボトミー被術者がいるかわかりませんが、そのほとんどは一九六〇年以前にロボトミーをやられた人でしょう。それらの人たちが、ロボトミー糾弾斗争にたちあがるためには、ロボトミー被術者の医療上、生活上の保障を要求してたちあがること以外に道はないと考えます。そのためには厚生省斗争が重要なわけですが、そのようなロボトミー被術者の大衆的決起という背景があって、はじめて裁判も社会的問題としてとりあげられていくことになると思います。それゆえ裁判では、ロボトミーそのものを否定すること、国の責任を追及することが何よりも重要になることを再確認しなければならないと思います。一〇月二四日の名古屋判決を前に、裁判斗争の意義と限界をはっきりふまえ、判決をテコにどのような運動をつくりあげていくのか、議論を深める必要があると思います。」
「10・24 判決闘争に全国から結集せよ
7月11日、名古屋M氏訴訟、結審す。
一九八〇年七月一一日(金)午前一〇時、名古屋地裁一〇〇四号法定で、Mさん公判が開かれ、M支会・ロ全共・病者集団・笹島労仂者有志の会などの見守る中で、裁判長が若干の意見証について話された后に、一審裁判は終結ー結審しました。
名古屋Mさんロボトミー事件とは、昭和43年(一九六八年)不眠に悩むMさんが警察署から守山十全病院(当時香流病院・現紘仁病院)に強制入院させられ、弁護士あてに退院依頼の手紙を書いた所、「懲罰」として保護室にぶちこまれ、ロベクトミー手術を強行されたという事件です。Mさんはその後、M支会メンバーの支援をうけて昭和48年(一九七三年)11月に、守山十全病院院長重富克美と執刃医岩田金次郎(愛知医大脳外教授)の両者を相手どって名古屋地裁にロボトミー裁判を提訴した。昭和48年12月には「守山十全病院におけるロボトミーを糾弾し、M氏訴訟を支援する会」が、名古屋の先進的医師・知識人・労仂者・学生・市民など一五〇名で結成され、以後足かけ8年にわたるロボトミー裁判が闘われてきた。
この裁判では、石川・青木・吉田医師らが証人に立ち、ロボトミー手術(ロベクトミー)の保安処分的性格・反医療性等が争われた。
この名古屋ロボトミー裁判は、札幌に次ぐ日本で2番目のロボトミー裁判で、後の東京地裁、青森地裁につながる重要な位置をしめ、8年間にも及ぶ裁判闘争を闘い抜いてきたMさんとM支会の苦闘は高く評価しなければならない。
我々は、10月24日に予定されている判決に向けた諸行動(集会・デモ)を全力をあげて取り組み、名古屋におけるロボトミー糾弾闘争をもりあげ、M支会の再組織をかちとり、全国のロボトミー闘争の前進をかちとることが大切です。
「札幌型判決」を打ち砕け!
しかし、10月24日に予定されている名古屋判決は、一説によると「札幌型判決」が予想されています。
札幌判決(78年9月)の問題点は、患者の「勝訴」という一見進歩的な判決であるかのようによそおいながらも、その内容は「同意がない・他の療法も尽していない」とするだけで、肝心のロボトミー手術については「合法」とするものであり、とくに治療指針で精神外科を公認した国の責任を免罪するという許しがたい内容であったことは、記憶に新しいことです。
ロ全共結成の一つの目的は、札幌判決にみられるような国の責任を免罪しようとする策謀を粉砕し、ロボトミー糾弾の全国的運動を創出し、国・厚生省を追及してゆくことにもあります。
私たちは、10月24日の判決が、国を相手としている東京・青森の裁判との関係でどのような判断が下されるのか注目しなければならない。
全国のロボトミー裁判は有機的に結合しており名古屋ロボトミー裁判は孤立して闘われているのでは決してないからである。
仮りに名古屋判決が、国を免罪し、東京・青森の裁判を不利にみちびくような内容をもったいわゆる「札幌型勝訴」であるとするならば、我々はこれを名古屋M支会の諸君と共に全力で粉砕しなければならない。
名古屋の諸君に問われているのは、まさしくこうした札幌型判決をロ全共と共に批判し粉砕してゆく視点であり、ロボトミー糾弾闘争の全国展開をかちとってゆくことである。
医師のモラル向上運動としての精神医療変革運動はすでに全国的に終りを告げている。今后の運動を荷いうるのは、労仂者階級の運動と「精神障害者」の運動である。プロレタリア運動と「精神障害者」と結合し、国家権力の保安処分政策を粉砕する全国運動を形成し、また全国で一万人〜四万人といわれる精神外科被術者の全国結合をかちとり、国・厚生省の責任を追及してゆかなければならない。
10・24名古屋判決闘争に結集せよ!
10・24名古屋判決に向けた諸行動を整備し、M支会の再建・ロ全共の発展に向けて共に闘おうではありませんか。
時 一九八〇・一〇・二四(午前9時)
所 名古屋市 ライオンパーク 結集
(デモで裁判所へ 判決は10時。
判決後は裁判所四階で「判決報告会」を開きます。)」
◆1981/03/06 判決
名古屋地裁判決:「医療は生体に対する医的侵襲であるから…緊急…等特別の場合を除いて、患者の承諾が必要というべきで、患者の自己決定権に由来する右の理は、精神衛生法上の措置入院させられた精神障害者に対しても」適用させられるべきであると述べた(名古屋ロボトミー事件)。
「名古屋ロボトミー事件 名古屋地判昭和56年3月6日」,『判例時報』1013, 81
このような判決によって、松谷の逸失利益<0206<は三百七十二万五千七百六十一円。一慰謝料五百万円、弁護士費用百八十万円の合計一千五十二万五千七百六十一円を、被告の賠償責任とした。逸失利益はホフマン係数を用いて算出しているが、基礎となった七八年度平均賃金は年額三百万円余。わずか一年三ヵ月ばかりの生活を保障しただけであった。
原告団、支援グループは、怒りをたぎらせた。提訴の目的は、被術者の失われた損害を回復し、ロボトミーの違法性を法的に認めさせることであった。扇その目的は、いずれも、果したとはいえなかった。ばかりか、ロボトミーを是認する結果になったのである。判決公判後、彼らは、絋仁病院、院長の重富宅へ押しかけた。豪邸の門前では、黒い背広を着こんだ男たちが列をなしてガードしている。そのするどい視線を浴びながら、シュプレヒコールをくりかえした。
「ロボトミーは廃絶しろ!」
「重富はでてきて謝れ!」
しかし、重富はついに現れなかった。家族ともども姿をくらましたのだ。
「引上げてきた一行は、早速緊急集会を開き、控訴を決議した。二十万円近い控訴費用は、支援グループが準備することになった。被告側も控訴したが、裁判は長くは続かなかった。
提訴後すでに八年、施術以来十三年を経て、松谷の衰えがめだっていた。後遺症の肥満によって、体重は百十キロを越え、高血圧も高じていた。道を歩いていて、よろけたり倒れたりする。生活状態もかんばしくない。その上裁判闘争を続けていくのは、耐えられなくなっていたのだろう。彼は和解を希望しはじめた。原告団、支援グループも、そんな彼に理解を示した。
和解交渉は始められた。当初、被告側は不当に安い金額を提示したが、何回かの話合いを通じて、八一年秋、和解は成立した。一審判決を満たす内容ではあった。
裁判は終った。しかし、この先の長い人生が、彼の肩の上に、重くのしかかっていた(文中敬称略・被術者は仮名)」(佐藤[1982-(2):206-207])
◆田坂 晶 200703 「治療行為に対する患者の同意能力に関する一考察――アメリカ合衆国との比較法的考察」,『同志社法学』60-4(319):217-277(1479-1539)
http://doors.doshisha.ac.jp/webopac/bdyview.do?bodyid=BD00012298&elmid=Body&lfname=028003290005.pdf
「以下では、成人の精神病患者の同意能力の有無について判断したいくつかの事案について検討し、そこから、この問題に対する裁判所の姿勢を探ってみたい。
札幌ロボトミー事件判決[…]
名古屋ロボトミー事件判決 札幌ロボトミー事件と同様、成人患者に対してロボトミー手術をする際の患者の同意能力の有無が争われた事案として、名古屋ロボトミー事件判決がある(21)。本件の事実の概要は、以下のとおりである。本件の患者Xは、高校中退後、強盗未遂や窃盗、恐喝などの犯罪を重ね、刑務所に再三出入りしていた。出所後の一九六八(昭和四三)年、三六歳の時に、居住していた家屋が国道と電車軌道に挟まれて騒音が激しく、頭痛、不眠に悩ま<1488<されるようになり、警察署に身の振り方を相談に赴いた際、理由もなく署内で暴れたことから、Y精神病院に入院させられた。その後、Xはいったん帰宅させられたが、再び警察署に赴いて暴れだしたので、Xの父の承諾を得たうえで、当時の精神衛生法(現在の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〔以下、精神保健法〕)に基づく鑑定を経て、「措置入院」の手続が取られた。鑑定医二名は、Xに精神疾患の疑いがあり、暴力、自傷、器物損壊などの問題行動があると診断した。そこで、Y病院の精神科の医師Y1からの依頼に基づき、医師Y2は、同年一一月二五日と、翌年二月二二日の二回にわたりロボトミー手術を実施した。施術の際、Y2は患者Xの父親の手術承諾書は確認したが、本人の同意は得なかった。そこで、Xは、ロボトミー手術について、@医療目的の不存在、A医療行為としての相当性の不存在、B適応症外の手術、C療法の選択順序の誤り、D有効な同意の不存在を理由として、Y1およびY2に損害賠償を請求する訴えを提起した(22)。
これに対して、名古屋地方裁判所は、まず精神衛生法上の措置入院をさせられた精神障害者であっても、治療を受けるか否かの判断能力があるならば、緊急やむを得ない等の特別事情のある場合を除いて、その者に医的侵襲を加えるには患者本人の同意が必要であって、近親者の同意では足りないとの原則を確認した。そして、患者Xが、「意思能力、判断能力を有していたことは明らかであるうえ」、ロボトミー手術に対して同意していなかったことも明らかであり、「一般に、他の専門医から手術の依頼を受けた手術執刀医においても、手術の実施にあたり、患者の承諾を得られているか否かを確認すべきであって、既にその承諾が得られているとき、緊急の事態のため承諾を得る時間的余裕がない等の場合を除き、自ら患者に対する説明に基づく承諾を得ねばならない」と判示した。 本件では、当時の精神衛生法上の措置入院をすることが必要な者であっても、治療行為について判断することができる能力を有する可能性があり、その能力が認められる場合には、治療行為に際して同意を得なければならないと明言さ<1489<れた点で注目に値する。ただ、基本的には、札幌ロボトミー事件判決の延長上に位置づけることができる判決といえよう(23)。」
(10)町野朔『患者の自己決定権と法』(東京大学出版会、一九八六)一八一頁、唄孝一『医事法学への歩み』(岩波書店、一九七〇)一五頁。(一五二七)
(21)名古屋地判昭和五六年三月六日判時一〇一三号八一頁。
(22)新美育文「ロボトミーと民事責任」ジュリスト七六七号(一九八二)一七六頁参照。
(23)町野朔・前掲注(10)二二頁。
■守山東病院
◆全国「精神病」者集団愛知分会・0の会 19780928
「抗議・要望書(守山東病院問題関連)」
■紘仁病院
http://koujin-hospital.jp/
「私たち紘仁病院は、1957年(昭和32年)に開設して以来、患者様本位(Patients)、日々医療技術・知識の研鑽に努める(Progression)、安心・安全な医療の提供(Peace)という3P主義をモットーに、地域社会への奉仕、「初心忘れず」医療の公益性の確保と地域への適正医療の提供を目指しています。」
■言及
◆立岩 真也 2013
『造反有理――身体の現代・1:精神医療改革/批判』
(仮),青土社 ※
◆立岩 真也 2011/11/01 「社会派の行き先・13――連載 72」,『現代思想』39-(2011-11):
資料
UP: 20110809 REV:20111007, 12
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