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『老後・昨日、今日、明日――家族とお年寄りのための老人病院案内』

大塚 宣夫 19900928 主婦の友社,225p. ASIN: 4079340109 1400


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大塚 宣夫 19900928 『老後・昨日、今日、明日――家族とお年寄りのための老人病院案内』,主婦の友社,225p. ASIN: 4079340109 1400 [amazon][boople] ※, b a06

内容(「BOOK」データベースより)
老人問題は、それにかかわる家族の問題。そして将来だれにも訪れる自分自身の厳しい現実でもある。四十才からの必読書。

目次

1章 高齢化社会到来とともに育った老人病院
2章 老人病院に入っている人たち
3章 私どもの病院のあらましをご紹介
4章 老人病院選びの目安のすべて
5章 入院患者と家族の立場から
6章 寝たきり老人を起こす
7章 「ぼけ」についてよく知る、うまくつきあう
8章 私たちの老後は明るいか?
9章 座談会「これからの老人医療に必要なもの」

6章 寝たきり老人を起こす
 「起き老人」のヨーロッパ事情
   ほんとに寝たきりはいないのか?の疑問
 「昭和六十三年六月、老人病院の管理運営に当たっている仲間とともにヨーロッパへ出かけました。目的はヨーロッパの平均的な老人病院や介護施設を見ることでしたが、特に関心があったのは、当時わが国の新聞、雑誌、テレビなどで散見されていた次の二点の真偽でした。
 第一は、ヨーロッパの老人施設にはわが国でいういわゆる「寝たきり老人」がきわめて少ないこと、第二は、ヨーロッパの国々では高齢者に延命のための医療行為はほとんどなされないということについてでした。」(大塚[1990:114])
 当病院の「寝たきり起こし」
  最初に手がけたのは、病院職員の意識改革
  老人に生気が戻った
 「しかしながら、この試みを通じて現体制の老人病院で、ヨーロッパで見てきたような対応をすることがいかに困難であるかもあらためて思い知らされました。
  人手と設備が豊富に必要
 第一の困難は、マンパワーの確保です。
 […]<0133<
 もう一つの大きな困難は、建物の構造、設備にあります。
 […]<0134<
 ヨーロッパの施設で見てきたもう一つの大きな違い、老人のいわゆるいちばん最後の部分の対応については、今日までのところヨーロッパ流のやり方を本格的に導入するところまでは踏み切れません。
 「自分で食事ができなくなった老人に対して、口の中に食事や水分を運んでやるが、それを飲み込めなくなったら、それ以上の手段は講じない」、この考えの中には、最後の最後まで、個人個人に選択の余地を与える、あるいは自分で決定するチャンスを与えるというヨーロッパ流の個人主義が息づいているように思えます。
 これに対して、わが国では、老人の終末の形は、老人本人の意思には関係のない形で進<0135<められます。
 たとえば、食事を飲み込む能力すらなくなった老人に対してどんな手段をとるかの選択は、ほとんどの場合家族と担当の主治医の話し合いで決められます。
 ここでは、老人患者を個人というよりは、あくまで家族の一員として、家族の思いの中で生きる存在としてとらえるきわめて日本的な価値観を見ることができるように思います。
 当病院でも、多数の老人患者の終わりをみとってきました。これ以上どんな処置をしても、けっして助からないだろうと思いながらも、家族があきらめきれず希望すれば、各種の延命のための処置が延々とつづけられる。これがわが国の実情でもあります。
 これは、どちらがすぐれているというよりも、文化の違いというべきなのでしょう。一日を横になって過ごすことへの評価にも、畳の文化といすの文化の違いを感じます。いすの文化の国々では,生きるということは、頭を地面を少しでも高い所におくことであり、頭の位置が高ければ高いほど、質の高い生き方をしていると思っているフシがあります。
 これに対してわが国では、横になることは最も安楽な、つくろぎの姿勢ととらえて、<0136<けっして恥ずべき姿とはとらえられていないのです。」(大塚[1990:133-137])

■言及

◇二木 立 19921015 『90年代の医療と診療報酬』,勁草書房,251p. ASIN: 4326798815 [amazon][boople] ※, b m/e01


UP:20061205 REV:
老い  ◇1990's  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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