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孤族の国

遺言書偽造容疑で元組員ら逮捕 85歳女性の土地取得

2011年2月1日15時0分

 85歳で死亡した東京・浅草の身寄りのない女性の遺言書を偽造した疑いが強まったとして、警視庁は1日、埼玉県八潮市、指定暴力団山口組系の元組員北村信(51)、東京都国立市、無職岡宗晶子(75)の両容疑者ら4人を有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕した。女性が所有していた土地は遺言書通り岡宗容疑者に遺贈されたあと、別の暴力団組長が代表者だった宗教法人を経て売却されていた。1億円以上の預貯金なども遺贈された疑いがあるという。

 警視庁は、グループが女性の財産を不正に取得した疑いが強く、利益の一部は暴力団に流れた可能性もあるとみて捜査。暴力団が、身寄りのないまま亡くなっていく高齢者の資産に狙いをつけ始めたとみている。遺言書偽造の摘発自体、極めて異例という。

 捜査関係者などによると、女性は東京都台東区浅草3丁目の一軒家で一人暮らしを続け、2007年2月に病死した。北村容疑者らは共謀し、08年6〜9月ごろ、すべての遺産を岡宗容疑者に渡すとの内容の女性名の虚偽の遺言書を作成し、東京家裁に提出した疑いが持たれている。

 関係者によると、偽の遺言書はA4判ほどの紙に女性の筆跡をまねて書かれ、女性の署名と押印があったという。

 女性は身寄りがなかった。相続人の存在が明らかでない場合、民法の規定に基づき、家庭裁判所が相続財産管理人を選び、官報に公告するなどして相続人や債権者を捜す。一定期間を経ても相続人などが現れなかった場合、遺産は国の帰属となる。女性の場合、遺産が国に移る前に、偽造遺言書に基づき岡宗容疑者に遺贈されたとみられる。

 不動産登記簿によると、女性の自宅の土地(約79平方メートル)は、女性が死亡したとされる07年2月15日付で女性から岡宗容疑者に遺贈されたとする登記が09年4月13日になされた。さらに、同月3日付で岡宗容疑者から札幌市の宗教法人に贈与され、約3カ月後の同年7月7日付で宗教法人から台東区のビル管理会社に売却された。関係者によると、売買額は四千数百万円といい、土地は現在駐車場として利用されている。

 警視庁は、女性と岡宗容疑者は面識がなく、女性の死亡を何らかの方法で知った北村容疑者らが遺産の遺贈相手に仕立てたとみている。

 また、捜査関係者によると、宗教法人の代表者には04年から08年まで山口組弘道会系組長が就いていた。警視庁は税制上の優遇措置がある宗教法人をグループが利用した疑いもあるとみて、経緯を調べる。

  

孤族の国

  単身世帯の急増と同時に、日本は超高齢化と多死の時代を迎えます。「孤族」の迷宮から抜け出す道を、読者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
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