本書を含め2002〜03年にかけて『バイオテロと医師たち』最上丈二(集英社新書)、『生物兵器と化学兵器』井上尚英(中公新書)が立て続けに出されたのは、米国同時多発テロ直後の炭疽菌テロの発生、生物化学兵器使用の常習犯でその所有と再使用が疑われていたイラクへの対テロ戦争が開始された事による。
その後、日本では今日の核論議以上に騒がれることはないが、どの書でも戦前・戦中の軍部によるバイオ兵器製造からオウム真理教によるテロ事件まで過去の教訓が概説された上でバイオテロに核テロ以上の危険性と現実性があると最大限の警告がなされている。かてて加えてこれまでの経緯から日本には強毒微生物の研究者が極端に不足しているという。そう言えば、著者らも農学博士であったり薬学博士であり、医学や生物学ではないようだ。
一覧されているだけでも、
1.細菌兵器として
炭疽菌、ペスト菌、野兎病菌、ブルセラ菌、ペスト菌、鼻疽菌・類鼻疽菌、O157、赤痢菌、チフス菌、サルモネラ菌、ガス壊疽菌、破傷風菌
2.リケッチャ・クラミディア兵器として
Q熱、ツツガムシ、発疹チフス、オウム病
3.ウィルス兵器として
天然痘、ラッサ・マールブルク・エボラ、ハンタ、西ナイル、ウマ脳炎、ポリオ、口蹄疫、ブタコレラ
4.毒素兵器として
ボツリヌス菌、志賀、ブドウ球菌、アフラトキシン、T2(アカカビ)、フモニシン、テトロドトキシン(フグ)、サキシトキシン(貝類)、パリトキシン(スナギンチャク)、リシン(ヒマ)
等が上げられており、その中から一般向けにエピソードを交えて詳述されている。
十年前からのO157ではカイワレ業者に、最近のノロウィルスではカキ業者という特定業者に疑惑の眼が向けられるが、結局発生源自体は特定されておらないようである。実は十年も前から密かに少しずつ各種のバイオテロに侵されていたのではないか、と訝ってしまうのも私だけではないだろう。これらの最新知識を今後の危機管理に生かしたいものだ。
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忍び寄るバイオテロ (NHKブックス 961) 単行本 – 2003/2/1
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- 本の長さ248ページ
- 言語日本語
- 出版社NHK出版
- 発売日2003/2/1
- ISBN-104140019611
- ISBN-13978-4140019610
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
生物兵器とはいかなるものなのか。有効な対策はあるのか。ウイルス学と細菌学の専門家が、半世紀近い経験をもとに、バイオテロの実態と対策を解説する。
登録情報
- 出版社 : NHK出版 (2003/2/1)
- 発売日 : 2003/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 248ページ
- ISBN-10 : 4140019611
- ISBN-13 : 978-4140019610
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,392,389位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,864位軍事入門
- - 20,156位生物・バイオテクノロジー (本)
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