原題は「錬金術師」。アメリカのジャーナリストらしい皮肉を込めたタイトルです。
主にアメリカ、EU、イギリスの中央銀行、しかもそのトップの奮闘記を、丹念に調べ上げて書かれています。
一民間銀行員として、大変興味深く読ませていただきました。
おおよそ金融政策というものが緻密な政策決定プロセスだけではなく、そのトップの個性や経歴に左右されるというものである、ということが一番の驚きです。流通している紙幣を紙くずにしてしまうかもしれない恐怖を念頭におきながら、またそれぞれの国の、特に政治家と渡り合いながら、信念を貫き通す男たちの物語です。
いかに我々の世界が危ういものなのかということを普段は目立たない中央銀行の役割にスポットをあてて著作したことに敬意を表します。
個人的には、もう少しドキュメンタリータッチな文章の方が面白いと感じました。またキャラが濃いとはいえ、トップだけではなく現場レベルにも話が及べば満点だったのでは、と思います。日銀の話ももうすこし書いてほしかったなぁ(笑)。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
マネーの支配者: 経済危機に立ち向かう中央銀行総裁たちの闘い 単行本 – 2014/3/20
山形浩生氏推薦!
「セントラルバンカーたちが世界経済崩壊を阻止すべく見せた、
大規模緩和への苦闘(ある一国を除く…)の見事な記録。必読! 」
中央銀行の知られざる舞台裏へようこそ
世界経済の運命は彼らの手に――。
マネーの“蛇口"を意のままに操り、たった一言で株価を動かす中央銀行の総裁たち。
驚くほどの巨大な権力を持つ彼らは、いわば現代社会の錬金術師だ。
アメリカのベン・バーナンキ、EUのジャン・クロード・トリシェ、イギリスのマービン・キングは、
経歴も思想もリーダーシップのスタイルもまったく異なる個性豊かな三人。
前代未聞の金融危機の嵐が吹き荒れるなか、国内外からの苛烈な批判をかわして、
大胆な決断を下し、ギリギリのところでピンチをしのいだ。
その苦闘が、良くも悪くも今日の世界経済を形作ったのだ。
米国を代表する経済記者が綴る、渾身のドキュメント。
解説/渡辺努東京大学教授
「セントラルバンカーたちが世界経済崩壊を阻止すべく見せた、
大規模緩和への苦闘(ある一国を除く…)の見事な記録。必読! 」
中央銀行の知られざる舞台裏へようこそ
世界経済の運命は彼らの手に――。
マネーの“蛇口"を意のままに操り、たった一言で株価を動かす中央銀行の総裁たち。
驚くほどの巨大な権力を持つ彼らは、いわば現代社会の錬金術師だ。
アメリカのベン・バーナンキ、EUのジャン・クロード・トリシェ、イギリスのマービン・キングは、
経歴も思想もリーダーシップのスタイルもまったく異なる個性豊かな三人。
前代未聞の金融危機の嵐が吹き荒れるなか、国内外からの苛烈な批判をかわして、
大胆な決断を下し、ギリギリのところでピンチをしのいだ。
その苦闘が、良くも悪くも今日の世界経済を形作ったのだ。
米国を代表する経済記者が綴る、渾身のドキュメント。
解説/渡辺努東京大学教授
- 本の長さ488ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2014/3/20
- ISBN-10415209446X
- ISBN-13978-4152094469
登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2014/3/20)
- 発売日 : 2014/3/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 488ページ
- ISBN-10 : 415209446X
- ISBN-13 : 978-4152094469
- Amazon 売れ筋ランキング: - 192,135位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 572位金融・ファイナンス (本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4つ
5つのうち4つ
12グローバルレーティング
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星5つ29%42%29%0%0%29%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星4つ29%42%29%0%0%42%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星3つ29%42%29%0%0%29%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星2つ29%42%29%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星1つ29%42%29%0%0%0%
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
- 2014年9月15日に日本でレビュー済みAmazonで購入
- 2014年8月28日に日本でレビュー済みAmazonで購入人と人を繋ぐ経済というの架け橋を維持するために奮闘する偉人たち。
出てくる人物に共通するのはどんな困難な状況になろうとも決して崩壊させまいとする強い精神力。
欲望が渦巻く経済や金融の中でそれを統率しようと奮闘する姿勢にはただ感謝と尊敬の思い。
今を生きている私たちの生活が日々向上しているのは、裏にこういった絶え間ない努力があるからかもしれない。
マクロな視点だけでなくミクロにも理解が及ぶよう言及されている、とても質の高い本です。
- 2015年9月24日に日本でレビュー済み本書は、19世紀英国の政治経済評論家にして「ロンバート街 金融市場の解説」の著者であるウォルター・バジョットの精神を体現するlender of last resort(最後の貸し手)としての中央銀行の歴史を、17世紀にスウェーデンで世界初の中央銀行(ストックホルム銀行)が誕生してから、グローバル化する危機に対応して各国中央銀行が国際協調の道を探ってゆく現代の姿までを描くことで、中央銀行の機能・存在意義とはいったい何かを明らかにしようとした試みである。
また、バジョットの時代に英国で起こった1866年のオーバーレンド・ガーニー商会の危機から、現代のサブプライム危機・ギリシャ危機にいたるまでの変わらぬ二つの教訓-1. 中央銀行が金融危機を止めようと積極的に動いても、厳しい不況が避けられない時もある、2. 危機を止めるために中央銀行が大規模介入を行えば、政治的な批判にさらされる-が、いまだに生き続けていることをも、本書はあまたの事例を通じて活写している。
本書の主役は3人の中央銀行家-FRB(米連邦準備制度理事会)議長のベン・バーナンキ、ECB(欧州中央銀行)総裁のジャン・クロード・トリシェ、そしてBoE(イングランド銀行)総裁のマービン・キングである。トリシェとキングは2003年から、バーナンキは2006年からその職にあった(いずれも現在は引退)。本書の後半では、彼ら3人がいかに米国発のサブプライム危機、それに続く欧州経済危機を乗り切ったかが描かれている。
しかし、彼らの金融政策の分析にたどり着く前史として、本書では金融政策の失敗を招いた反面教師としての、以下の4人の中央銀行総裁が取り上げられている。
1. ルドルフ・フォン・ハーフェンシュタイン:ドイツ・ライヒスバンクの総裁として、第一次大戦の戦費調達・敗戦の賠償金支払いのため紙幣を大量発行し、ハイパーインフレーションを引き起こした(後任のホレス・グリーリー・ヒャルマル・シャハトによる1兆分の1のデノミと引締めによりインフレは終息)。
2. モンタギュー・ノーマン:イングランド銀行総裁として、第一次大戦後の不況のさなか、金本位制を守るべく為替を安定させるために、高金利を維持し、経済をさらに悪化させた(英国は1931年に金本位制を廃止)。
3. アーサー・バーンズ:Fed議長として、1972年の再選を狙うニクソンからの低金利と好景気維持のプレッシャーから、1971年金ドル兌換停止後のインフレを放置。その後1973年の第一次オイルショックによるインフレにも不況を恐れ、マネーサプライの引き締めを拒否した(後任のポール・アドルフ・ボルカーが、金融政策の目標を金利から通貨供給量にすることで金利が急上昇、インフレは終息した)。
4. 速水優:バブル崩壊後の1990年代後半に日銀総裁として実施したゼロ金利政策(ZIRP)を、2000年の初めに景気が少し安定したところで解除(短期金利の誘導目標を二度引き上げた)。結果、経済は再び失速し、量的緩和に追い込まれた。
中央銀行を総裁(議長)として率いる困難さは、特に内部に権力の集中を排する構造を抱え込んでいるFedとECBで顕著である。例えばFedは、米国民の中央集権に対する強い警戒感から、連邦準備制度と言う、中央銀行としては極めて特異な分散型の体制をとっている。実際、米国では建国後130年間にわたり正式な中央銀行が存在せず、1792年に設立された合衆国銀行は1811年には廃止され、1816年にイギリス軍と戦う戦費を調達するために設立された第二合衆国銀行も1836年には廃止されたのである。またECBでは、異なる文化と目的、経済ファンダメンタルズをもった国々を、金融主権(金融政策のコントロール権)を放棄させ、強大な官僚組織であるECBに委ねることで成り立っているのである。このため、FRB議長とECB総裁は数々のテクニック(事前資料、発言時間の制約、議論の順番をコントロール)を用い、議論を望ましい方向にリードしようと苦労する。一方、このような構造を内部に抱え込んでいないイングランド銀行では、チーフ・エコノミストとして入行したキングが、有望な若手学者を雇い入れることで銀行の知的水準を上げ、政治権力からの独立を勝ち得るとともに、総裁となってからも経済モデルを重視、イングランド銀行の知的方向性を掌握し、絶対的な支配者として振る舞ったとのことである。
世界を襲う数々の金融危機の経験は、中央銀行同士の国際協調を進展させるとともに、新たな考え方も生んでいる。
例えば、2010年のギリシャ支援に際し、メルケル独首相とサルコジ仏大統領が「ドーヴィル合意」を発表したことで、以降「ベイル・イン」(債権者にも損失吸収力を担わせて、納税者負担を回避する)の概念が広く議論されるようになったように思われる。この考えは、最新の銀行規制である「バーゼルⅢ」にも取り入れられている。
また本来、中央銀行の政策目標は物価の安定一本のはずであるが(Fedのみ、これに雇用の極大化が加わる)、本書を読むと、その責任範囲が危機を経るごとに拡大していくさまが見て取れる。特にサブブライム危機後は、金融機関の破たんが経済全体を停滞に引きずりこむとの認識が共有され、従来からの個別の金融機関の経営を監視・監督するミクロ・プルーデンス政策に加え、いわゆるマクロ・プルーデンス政策(金融システム全体の安定を目的とした政策)の重要性が意識されるようになってきたことが見て取れる。
現在、表面的には経済統合を果たしつつあるEUの中央銀行であるECBや、高成長経済を背景にした中国人民銀行が世界経済に大きな影響力を獲得しつつあるように見えるが、本書を通読して感じたのは、国際協調の進展に伴い、Fedは今や事実上の世界の中央銀行の地位を占めつつあるように見えることである。例えば、本来は米国発の危機である2007年夏からのサブプライム危機も、実はサブプライム・モーゲージローンを担保にした証券を大量に購入していた欧州の銀行が、銀行間取引金利が急騰しドルの調達が困難となったためドル不足に陥り、彼らを救うべくFedがスワップ協定やTAF(ターム物入札貸出制度)により欧州の中央銀行・金融機関にドルを供給することで、危機の終息を図ったのである。「ある意味で、我々(欧州)は連邦準備制度の13番目の地区となったのだよ(米国には12しか地区連銀はない)」という欧州のセントラルバンカーの述懐は、この辺の事情を表していて興味深い。また、2015年9月現在、金融市場は米国がいつ利上げするかという話題で持ちきりであるが、これに先立ち、既に新興国からは、金利が上昇すると予想される米国への資金流出が見られ、新興国政府からFedへの非難の声が上がっている。これも、グローバル化の進展に伴い、基軸通貨ドルを司るFedが自国だけでなく、世界経済に対しても責任を負わざるを得なくなっている証左であろう。
金融市場に最も大きな影響を与えるものは何であろうか。それは長期的には経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)であろうが、短・中期的には金融当局、すなわち各国中央銀行の金融政策である。中でも、今まで述べたように、世界の基軸通貨であるドルを司るFedの世界経済への影響力は他を圧する。実は日本の金融市場への影響力も、日銀よりも、Fedの政策のほうが大きいという研究結果も出ている。
FedウオッチャーやBoJ(日銀)ウオッチャーという言葉を聞いたことがある人も多いだろう。金融市場に携わる者は、これら金融市場に巨大な影響を及ぼす中央銀行の一挙手一投足を分析し、次の展開を予想して投資戦略を練るのである。例えばジョージ・ソロスがイングランド銀行(BoE)をポンド売りで打ち負かし、ERM離脱に追い込んだ有名な1992年の一件にしても、実は彼らはドイツ連銀(ブンデスバンク)のインフレファイターとしての行動様式を歴史的に深く研究し、決して英国を助けるためにブンデスバンクは利下げをしないことを確信してから、巨額のポジションを構築して、10億ドルという巨額の利益を得たのである。
本書の価値はまさにそこにある。読者は本書を通じて、各中央銀行が歴史的にどう行動してきたか(どんな性格的偏りがあるか)、これら中央銀行を率いる総裁(議長)はどのような考えを持った人間か、政府・世論と中央銀行との関係はどのように変化してきたか、といった点を学ぶことで、明日以降の金融市場がどのような展開をみせていくかという視点に、重要なヒントを得るのである。
さらに、読者は米国流の経済学がセントラルバンカーの共通言語となっているのにも気づくであろう。実際、キングとバーナンキはMITで若手教員としてオフィスを共有したことがあり、ドラギもMITのPhD(経済学博士)である。さらには、ドラギとバーナンキをMITで教えたのが、現FRB副議長のリチャード・フィッシャーであることは周知の事実である。世界のセントラルバンカーは、同じ知的風土を共有しており、したがって同じ言葉で語り合えるのである。このような共通の知的風土が、世界のセントラルバンカーが協調するのを大いに助けているといえよう。
無味乾燥なマクロ経済や金融の教科書以上に、読者は本書を読むことで、中央銀行の本質を実感を持って理解することができるだろう。結局は、金融政策も生身の人間が決定・実行しているのだ。
- 2015年7月19日に日本でレビュー済みAmazonで購入金融政策に関して知識ゼロでも、一から勉強できる本。中央銀行の歴史を辿ることにより、原因と対応と結果の歴史を勉強することができる。
ニュースを見て、中央銀行のセントラルバンカーや政治家の発言の意味が少しなりとも分かるようになる良書。全体的に人物面にフォーカスを当て、登場人物の人間性をしっかり描き出そうとしている点が全体を非常に読みやすくさせている。
- 2015年3月14日に日本でレビュー済み本書は、中央銀行に関する「いろは」をつづった一冊である。全20章は4つのブロックに分けられ、1つ目は、17世紀半ばのスウェーデンでの中央銀行の設立に始まり2006年まで(!)をカバーした、いわば準備体操的なブロックである。2つ目以降が本題で、リーマンショック前後まで(2007‾8年)、英米欧を中心とした対応(2009‾10)、その後のヨーロッパでの混乱(2011‾12年)という流れになっている。
筆者のNeil Irwinはワシントンポストの記者であり、経済学者ではない。本書でも、数式やチャートは一切でてこない。しかしながら、2つ目のブロックでは、わずか3章だが、金融でのグローバルなつながりと各国中央銀行の対応が非常に分かりやすく描いてある。世間的には、サブプライム→リーマンショックという流れが定着し、「BNP Paribas」や「通貨スワップ」・「TAF」と聞いても、業界の人やよっぽど興味関心がある人でなければそのコンテクストを理解している人は少ない気がする。アメリカを代表する新聞の底ヂカラを見せ付けるようなスリリングで本質をついた第2ブロックは、本書でも一番面白い箇所だった。
3つ目・4つ目のブロックは、アメリカの中央銀欧の政治的な悪戦苦闘ぶりとイギリスを含むヨーロッパの話に大別され、面白さの評価が分かれるところかもしれない。両方の話に共通するテーマのひとつは、中央銀行は選挙で選ばれた政治家ではないが強大な権力を握っているという点である。アメリカでは、Bernanke議長はもともと共和党に指名されたものの、共和党の民主党に対するなんでも反対キャンペーンの標的になり、金融緩和を行うたびに経済的学な批判に加え、中央銀行の権力の正当性を指摘されることになった。一方、ヨーロッパでは、問題国のいわゆるPIIGS(ECBではつぶれそうな国順にGIPSIと呼んでいるらしい)では選挙で選ばれた各国の長が2011年までに引きずり落とされる一方で、選挙を経てないECBやIMFが国策にケチをつけることになった。このように本質的な論点という点で考えさせられることが多かったが、一方でヨーロッパに関する話はEconomistやFinancial Timesを読んでいればあまり目新しいところはなかった。(但し、ヨーロッパはもともと意思決定のプロセスや問題の所在が分かりにくいので、うまく話が整理されているところを評価することもできると思う。)
渾身の一冊とは思うが星4個と感じてしまったのは、一般大衆を対象としたためか多少間延びした印象を受けたからである。また、テクニカルな用語の使用をなるべく避けたためか、ジャーナリズムとしての力は感じるが金融政策自体の描写は軽めに感じた。最初の中央銀行自体を理解するためのブロックは、バーナンキ議長の書いた「The Federal Reserve and the Financial Crisis」の方が同じタッチとしては分かりやすい。1929年からの大恐慌についても今回の金融危機との比較の意味でもう少しページを割いてもよかった気がする。しかしながら、前述のとおり、グローバルな問題に相応しいレポタージュは秀逸であり、今後時間がたっても色褪せることのない力作である。おススメ。
- 2014年4月10日に日本でレビュー済みリーマンショックまでの動向をまとめた書籍、舞台裏をまとめた書籍はたくさんあるが、リーマンショック以降のギリシャ危機、ユーロ危機まで踏み込んだ書籍である点が、本書一番の魅力であろう。
ベン、ドラギ、トリシェを中心に、ハラハラドキドキの金融政策プロジェクトが繰り広げられる。
世界は巨大な権力によって操られている。だが、その権力は政府が制御出来るものではない。抜け目のないバンカー、ファンドマネージャによる「相乗り」により、巨大なうねりが引き起こされる。幸か不幸か(もちろん、不幸と捉えるべきであろうが)、ITによって、そのうねりは一層容易に起こせるようになった。さらに厄介なことに、うねりが起こる間隔はどんどん短くなってきている。
リーマンショックのあとのギリシャ危機、そしてユーロ危機……歴史をたどると、金融は危ない橋を渡り続けてきたことに気づくだろう。そして、これからも金融は危ない橋を渡り続けるに違いない。だが、難なく乗り越えてしまう可能性もある。これもまた、過去を鑑みればわかることだ。資本主義社会の金融システムは、なんだかんだ問題を起こしているが、最終的には上手く機能していると言って良い。強烈な一撃を喰らっても、何度も何度も這い上がってくる資本主義社会下の「金融システムの生命力」には、脱帽するほかない。