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ロボット兵士の戦争 単行本 – 2010/7/24


ある軍用ロボットメーカーの科学者は、「ターミネーター」のような外観のシステムを作れるかどうか、米軍から問い合わせがあったと報告している。
戦場は、いまやSFに追いつきつつある。すでに多くのロボットが兵士の任務を代行している。
イラクやアフガニスタンの空では無人航空機が偵察し、監視し、時には攻撃まで行う。
軍用ロボット技術は、今後どこへ向かい、人類にどんな影響をもたらすのか。
軍、産業、政治、それぞれの思惑が複雑に絡み合う現状と、新しい戦争が作り出す難問の数々を、
安全保障問題の専門家が初めて明らかにする。『戦争請負会社』の著者による、衝撃の21世紀戦争論!!
 サイエンスライター森山和道氏の解説付き。
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商品の説明

著者について

P・W・シンガー(Peter Warren Singer)
米ブルッキングズ研究所の上級研究員。『戦争請負会社』(NHK出版刊)では、
各国が軍務を外注しはじめたことで急成長を遂げた軍事請負産業と、
紛争ビジネスの実態をあきらかにし、世界の注目を集めた。
国防総省やCIAの顧問でもある。2009年、米外交専門誌フォーリン・ポリシーの
「世界情勢に最も影響を与えた思想家100人」に選ばれた。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ NHK出版 (2010/7/24)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/7/24
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 720ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4140814284
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4140814284

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P.W.シンガー
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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2012年1月8日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    これはまさにターミネーターの世界です。
    しかし、この書籍で紹介されている事は
    全て現実の話。戦場で実運用されている、もしくは
    試作品として開発が完了しているロボット兵器ばかりです。
    そして、これらのロボット兵器が戦争と人間社会を
    どのように変えるのか?を綿密に調査して考察した良書です。
    単なる兵器紹介の本ではなく、軍関係者や開発者などに
    幅広くインタビューし、調査をした上での考察なので
    読み応えがあります。また、戦場で兵士がロボット兵器に
    異常に感情移入して、身の危険を顧みずにロボット兵器を
    救おうとする話などは興味深かったです。
    これから戦場にはさらにロボット兵器が投入される機会が増え、
    戦場から人間性が失われようとしている。SFの世界ではなくて
    現実の世界でそれがすでに起こっている事が恐いですね。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2013年2月11日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    誰も地雷除去作業で死にたくはないし、駐屯地の見知らぬ子ども達に撃たれて死にたくもない。

    今世紀初頭から、米軍は中東での軍事活動を行う上で人的被害を防ぎようが無い段階に入っている。度重なる自爆テロと無尽蔵に増え続ける幼い兵隊たちのためだ。多数の犠牲者が出る事は、人的補償的にも、政権への国内世論的にも避けたい事態だ。
    最もリーズナブルな解決策として提案されるのは、ロボットによる代理戦争。
    「無人システム」の構築である。
    現地ムスリムに取ってみれば、ターミネーターで描かれる未来世界に近い環境におかれると言う事だ。そして、それは既に現実のものとして活用されつつある。

    本書は大きく二部に分かれている。
    前半では戦争の自動化と言うイノベーションについて、夢のような新製品の紹介さながらに、写真をふんだんに使って取り上げる。
    後半はそれに伴う法的、倫理的なすり合せの必要性、ロボットのコスト、現状ロボットには出来ない事、紛争を治めるのに本来必要とされる能力など、現実的な話題を取り上げている。

    ex)
    ・フォスター・ミラー社(タロン, SWORDS: Special Weapons Observation Reconnaissance Derection System, MAARS)p45, 168
    ・MARCBOT, プレデターp54
    ・グローバルホーク, レイヴンp59
    ・ナノマシンp178
    ・全長33cmの超小型無人飛行機ワスプp330
    etc...

    兵士がオフィスのディスプレイ前に座り、PS3のコントローラを巧みに駆使して民間人を殺戮し、友軍を誘導し敵軍を殲滅する。まるでゲームのように現実の戦争が行われる。

    このような皮肉にあふれる現実は、感情のない、つながりのない戦争を作る。まさに「美徳なき戦争」を演じさせられるのだ。
    このような形で兵士が目覚ましい働きを挙げても、感情が育成されていない指揮官となるおそれがある。重要な問題解決が必要とされる局面に至ったとき、彼は任務を遂行出来るだろうか。
    ※これは、人にとって何が重要なのかを考える上で、実に示唆的な状況だと思う。

    そして、大局的には問題はそれだけに留まらない。
    ロボットの外注 (アウトソーシング)化とそれによる中国への技術流出。中国製半導体に仕込まれかねないトロイの木馬への注視も必要だ。
    ロボット技術のオープンソース化。それにより既存技術と化したロボットが敵味方に溢れる恐れがある。
    (イスラムでは科学は異端と見なされているので、そううまくはいかないと思うが…)

    戦争は国家をつくり、国家は戦争をつくった。
    しかし、現代の紛争において、国家をどうこうするような思想は何も無い。
    結局、紛争における兵士の任務は「感情的知性」を用いた骨折りによって成される。
    それ以上の思想も、武器も、ましてや信仰も、本来は必要ないはずであるから。

    本書では、イスラム兵側へのインタビューも掲載されていた。前作と同様、どこを切っても非常に面白く、示唆に富む内容である。
    ただ、大量のインタビューをまとめているため、600頁とやたら長いのが玉に瑕か。

    ◆気になった文
    「21世紀の戦争では、「負け組」と彼らが利用する子どもたちも原動力となるだろう、とピーターズは言う。戦争の火種は、「うわべだけの博愛」ではなく、「破綻国家および地域の広大な"負け組"の中にある」p407
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2015年7月14日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    無人機を操縦する兵士の話がディストピアっぽくて空恐ろしくなる。
    積極的平和主義などと欺瞞に満ちたレトリックで戦争が粉飾される昨今、戦争は戦争と認識されぬままに密かに起きるのだろう。
    目の前で人は殺さない。ロボットを操縦するだけならば、人を殺す抵抗も削がれるのかもしれない。しかし、その先では紛れも無く人が死に、操縦した兵士もまた心を病む。
    操縦すら必要がない完全自律型のロボットならばどうだ? 操縦する兵士も心を病まない? いや、自律型のロボットはどう非戦闘員と兵士を見分けるのか? 自律型ロボットが暴走して戦争法を犯したら誰がどう責任を取るのか。そこすらも規定されぬままに、世界は完全自動化した戦争に向かいつつある。

    やはり、どんなにオートメーション化したとしても、国家に動かされた人間が人間を殺すことにはNOと言い続けなければならない。そう再認識した。
  • 2011年7月25日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    アメリカ軍が無人機を戦場に投入していることは知っていましたが、ここまでとは…。
    ハイテク兵器をどんどん投入して敵側に対して優位に立っていられるのも今のうちでしょう。戦争というのは「何としてでも相手を打ち負かそう」と言う執念があれば、状況はひっくり返されることもあります。いつかは自分たちと同じか、あるいは優れた兵器でやりかえされるに違いありません。それはロボットでも同じこと。イタチごっこは繰り返されるでしょう。アメリカ軍はとんでもない泥沼に自ら足を突っ込んでしまったと言えます。
    なんてことは自分が反戦・非戦思考だからかと思っていたら、この本でも著者が同じような考えを述べていたところには安心。ロボットについての考え方に共感できることも多かったです。
    5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2011年10月8日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    長編だったのでちょっと時間かかりましたが遂に読破。最近会った人にはちょっと熱く語ってしまっているのですが、ここまでロボットが進化している現実に驚くと共に、福島原発で国産ロボットが活躍出来ない理由も良くわかった。ドキュメンタリーとして秀逸な作品。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2010年11月24日に日本でレビュー済み
    大きく二つに分かれており、二冊の本が一冊に束ねられたような印象を受けた。

    第一部はロボット兵器の現状の紹介から始まり、近い将来の技術的な展開の少し大胆すぎる予測や、戦争がどのように変わっていくのか?という社会的な影響をSFと絡めて考察し、最後は倫理上の問題点というふうに論が進んでいく。論旨がジェットコースターのように展開されておりとても面白く、一気に読んでしまった。

    第二部はもっと現実的に、ロボットをどのように戦争に援用していくかを議論している。論旨をじっくりと積み上げるように書き進められており、第一部のような面白さは薄くなるが、最近の有事事件と軍隊の変化が克明に記されていて、軍事に興味がない読者でも得るものは多いと思われる。

    軍事の領域でもイノベーションを本物の変化につなげるための試行錯誤が行われているが、華々しい技術的な成果とはうらはらに、組織的な問題や見識の不足、それが内包する逆説的な問題点などにより、容易にブレークスルーには至らないことが興味深かった。広まり方にキャズムが存在すること、新しい技術を作り出すよりもその有効な使い方を考えることの方が難しいことなど、イノベーションにからむ難しい問題に対しては、ロボット兵器も同じ悩みを持っているのだ。
    14人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2010年9月10日に日本でレビュー済み
     敵を殺した後にPTAの会合に出席する。
     カーツワイルの特異点。
     ロボット兵の自衛はどこまで許されるのか。
     戦時国際法はロボットにも適用されるべきか(特に知能を持ったロボット)。

     戦闘に限らず、上記のような広範囲な問題が扱われている。だから、「戦争におけるロボット」というテーマの出発点として役に立つ。

     星5つを与えたいとこだが、訳は誤訳や不適な訳が多すぎる。
     例えば、Mineには地雷と機雷の意味がある。この本では海に地雷が、陸に機雷があったりする。
     ニューヨーク タイムズはライト兄弟が初飛行した日に、飛行機が発明されるまでには「百万年から十万年かかるだろう」と書いたとあるが、原文は"from one million to ten million years"で「百万年から一千万年かかるだろう」が正しい。「‾から‾まで」というときには、普通、少ない数から大きい数の順で並べる。訳者には、そして、校閲には言語感覚が無い事を暴露している。

     英文は平易なので、写真は無いが、英語のkindle版を買う事をすすめる。約1000円だしね。
    18人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2013年5月14日に日本でレビュー済み
     「戦争請負会社」や「子ども兵の戦争」のピーター・シンガーが、現在の戦争の最先端であるロボット兵器についてその現状やそこから生じる社会的な変化、倫理的な問題について600ページに渡りまとめあげる。

     上空を飛ぶUAVから地上を走る武装ロボットまで、イラク戦争以降いかに無人兵器が量、種類共に増えているかに驚かされる。人命を危険にさらさない為の兵器の無人化は指数関数的なテクノロジーの進化によってかつてない勢いで戦争の形を変えている。 
     戦争のハイテクノロジー化は何を生むのか。それが非常に多岐に渡り書かれているのがこの本の魅力だ。戦争の敷居を下げる問題、相手の憎悪を招く問題、指揮や責任の不明瞭さ、ロボットへの愛着、ロボットの反乱の可能性などなど、この本に書かれている今現在実現している新しい戦争の形とそれが引き起こす問題は本当に衝撃的だ。
     テクノロジーの爆発的な進化は社会を大きく変え、それを見ようとする人も見まいとする人も大きく巻き込んで今までなかった倫理的な問題を生んでいく。おそらくそれはこの本に書かれている戦争というものに留まらないだろう。

     前二作を上回るシンガーの最高傑作。
     シンガーの書籍は戦争について書かれた本だが、広く社会、現代を考える上での必読書でもあると思う。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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