猪木・アリ戦における裏ルールの存在が明らかにされていることを知り、
本書を購入した。
アントニオ猪木の人生最大の戦い、それがモハメッド・アリとの試合である。
当初アリはあくまでエキビションとしてこの試合を行うつもりで来日した。
アリサイドはいつリハーサルをやるのだと猪木サイドに聞いてきたが、
当の猪木は真剣勝負をやるつもりでいたので、アリサイドはとたんに
猪木を恐れ始めた。そしてプロレスラーの動きを封じ込めるいわゆる
裏ルールをつきつけてきたのである。
頭への攻撃や投げ技なども禁止されがんじがらめのルールで縛られた。
しかもこのルールでなければアリは怪我をしたことにして帰国すると
言いだした。そんなことになったら新日本プロレスはつぶれるだろう。
仕方なく猪木はそのルールで戦うことになったのである。
試合はご存じのとおり猪木が寝て戦い、アリはほとんどパンチを出せなかった。
試合は酷評されれ、世紀の茶番劇と言われた。
それもそのはず、試合前にこのルールの説明がなかったからである。
なかったというより、アリサイドから口外することを禁じられていたのだ。
その当時試合のたしか数日前に、水曜スペシャルで猪木とアリが試合前最後の
記者会見をしていたのをテレビで見た。その時に猪木は、私はアリの要求は
なんでも呑んできた。たとえ手足を縛られたようながんじがらめのルールでも
私は戦う。と言っていたことを思い出す。その裏にはこのようは過酷な
アリサイドの要求があったのである。
そしてそれは、試合から30年近くたって初めて公に知られるこことなったのである。
そのようなルールで戦いを強いられれば、寝て戦うしかないだろう。自分が猪木の
立ち場であればやはり同じことをしたとプロレスラーのスタン・ハンセンが言っていた
のを思い出す。
いずれにしても、今日ではアリ戦はリアルファイトであったと認識され、今の
格闘技ブームの原点として再評価されている。そして猪木は格闘家としての一定の
評価が定まっているのである。
総合格闘技の試合を見ていると、しばしば片方が寝た状態になることがあるが
これは猪木・アリポジションと言われていて、戦い方の一つと考えられているのだ。
こうしてみると、時間の経過とともに随分物事の見方は変わってくるものだと思う。
当初は理解されなくても、後々必ず「真実」は正しく評価され、万人に認められる
こととなるという、いい事例ではなかろうか。
是非多くの人に読んでもらいたい入念に取材され、まとめられた優れたノンフィクションである。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
真相はこれだ!: 「昭和」8大事件を撃つ (新潮文庫 い 71-1) 文庫 – 2004/2/1
祝 康成
(著)
- 本の長さ294ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2004/2/1
- ISBN-104101411212
- ISBN-13978-4101411217
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2004/2/1)
- 発売日 : 2004/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 294ページ
- ISBN-10 : 4101411212
- ISBN-13 : 978-4101411217
- Amazon 売れ筋ランキング: - 555,259位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと見つけたり、似たような著者を調べたり、おすすめの本を読んだりできます。
カスタマーレビュー
星5つ中4.6つ
5つのうち4.6つ
7グローバルレーティング
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星5つ61%39%0%0%0%61%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星4つ61%39%0%0%0%39%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星3つ61%39%0%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星2つ61%39%0%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星1つ61%39%0%0%0%0%
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。