10年以上前の書籍なので情勢は変わっているものの、今でも興味深いテーマである。
本書によると、大阪の検事の人数は東京の4分の1。人間関係が濃くなる。そのため、検事を辞めた後も、若い頃に面倒を見た現役検事に話をしやすい関係が維持される。先輩後輩の人間関係や貸し借りの蓄積が、ヤメ検弁護士の重要な資産となる。ゆえにトップに上り詰めた検事ほど、ヤメ検としての価値が上がる。
また、若いうちに弁護士に転身したとしても、特捜経験があるとヤメ検としての評価が段違いに上がる。脱税や企業犯罪など大金が動く刑事事件に、専門性と人脈があるからだ。
彼らの名前と顔は利用価値が高い為、本人の知らないところで悪用されることもある。また、裏社会との距離が近くなり、金や異性による呪縛とも縁が深くなる。更には、エリートと裏社会の住人が、互いに無い要素に惹かれ合ったとしか思えない関係もあるようだ。
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ヤメ検―司法エリートが利欲に転ぶとき (新潮文庫) 文庫 – 2010/11/29
森 功
(著)
検事を辞め、弁護士へと転ずる者たち──正義を守るため、巨悪を攻めていたはずの人間が、なぜ退官後には一転して裏社会の守護者となるのか。彼らが弁護に回った数々の汚職事件、そして彼ら自身が被告となった事件などを追いながら、「司法界の談合請負人」とも呼ぶべき「ヤメ検」たちの生態と素顔に迫る。厚いベールに包まれていた司法の闇に斬り込んだ傑作ルポルタージュ作品。
- 本の長さ359ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2010/11/29
- 寸法10.5 x 1.3 x 15 cm
- ISBN-104101320527
- ISBN-13978-4101320526
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2010/11/29)
- 発売日 : 2010/11/29
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 359ページ
- ISBN-10 : 4101320527
- ISBN-13 : 978-4101320526
- 寸法 : 10.5 x 1.3 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 396,272位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- 2015年1月7日に日本でレビュー済みAmazonで購入商品自体はそんなに古くなく価格に対してすごくお得なかんじでしたが、発送が遅いうえに連絡もなく少し不安になりました。
- 2024年4月20日に日本でレビュー済み似たような話が何度も出てきて、文章も冗長で読むのが苦痛。
後半は流し読みして捨てた。
法曹界への興味や知識がないとしんどいかもしれない。
- 2012年9月30日に日本でレビュー済みAmazonで購入本書は司法の闇に斬りこんだノンフィクションの傑作である。検事を辞め弁護士に転身、
正義を守るための人間が一転、裏社会にどっぷり浸かる様が克明に描かれてる。
検察庁の退職金が8000万もあったのに朝鮮総連中央本部売却工作に加担し、危ない
橋を渡り、いつしか裏のネットワークに捕えられる、なぜだろう?という疑問と筆者の
取材力が魅力の一冊です。
- 2015年6月7日に日本でレビュー済みいやゆる「ヤメ検」が社会の闇部で暗躍する構図を、世間の耳目を集めた事件を例に解き明かした一冊です。一人のジャーナリストによってまとめられているからかもしれませんが、主に東京と大阪の特捜部を舞台にしているため、登場するキーパーソンやフィクサーが多々重複するのが、ヤメ検に関する問題の闇と根の深さを暗に示しているように思いました。また、公安調査庁長官の緒方重威と「反転」の故・田中森一の晩節の有り様は、司法エリートの転落に留まらず、半生であったり、キャリアやそれに伴う人脈や人間関係をなぞるように記述するノンフィクションだからこそ浮き彫りにできた、強固でタフな組織の中で生きる人の性であるように思いました。
- 2013年1月18日に日本でレビュー済みAmazonで購入「反転 闇社会の守護神と呼ばれて」も娯楽としてとても面白く読みましたが、
肝心なところはお茶を濁されてしまったような読後感がありました。
そこで、こちらの「利欲に転ぶとき」というサブタイトルにひかれて購入しました。
結局、「反転」のほうで腑に落ちなかった部分がこの本で解決することはなかったけれども
(そもそもそういう本ではないので当然ですが)、それでもとても興味深い内容でした。
おすすめです。
- 2009年8月27日に日本でレビュー済みAmazonで購入バブル崩壊後、様々な経済事件で政官財の住人が逮捕され、司直の手に裁かれた。しかしその多くが法廷でも真相解明に至らず、消化不良気味の結末を迎えている。そこには「ヤメ検(検察OB)弁護士」が必ず介在しているからだという。彼らの論理と行動を詳細に解き明かした佳作である。
検察の捜査手法を知り尽くしたヤメ検が闇社会の住人を堅固に守る。その一方で、海千山千の怪人物から巧みに利用されている。かつて人を疑うことを生業としていたヤメ検が、実は意外と騙されやすく、怪しげな人物に籠絡され、やがて闇社会の住人と同化し、道を踏み外していくことに「エリート検事の限界がある」と著者は説く。
ムラ社会と評されるほど狭い検察の世界で、有罪に持ち込みたい検事と執行猶予を勝ち取りたいヤメ検が、先輩・後輩という関係の中、妥協を重ねていることが本書で浮かび上がる。結果、事件の真相はうやむやになる。この構図で笑いが止まらないのは、罪状に対して刑罰の軽くなる闇社会の住人であろう。
実態の見えにくいヤメ検にこの本が当てた光は、異彩を放って読者の前に反射する。昨今の検察と論理を知る上でも極めて価値が高い。
魚住昭「特捜検察の闇」、田中森一「反転 闇社会の守護神と呼ばれて」と併読すれば、検察、ヤメ検、そして司法に対する理解が一気に深まるだろう。
- 2011年1月15日に日本でレビュー済み「ヤメ検」とは、検事を辞めて弁護士となった人のこと。
本書は、実際の事件の真相を追いながら、「ヤメ検」と裏の社会との関係、「ヤメ検」と現役検事・検察との微妙な関係について記述した本です。
8つの章がありますが、もともとは「月刊現代」に連載されていたシリーズであり、1章、1章が独立した別の事件となっています。
なお、「ヤメ検」にもいろいろあると思いますが、本書で取り上げられているのは、すべてトップクラスの幹部などエリート層の人たちが弁護士となっているケースです。
私は、この本を読んで、「正義を守るため悪と対峙していたはずのエリート検事が、なぜ退官後には一転して裏社会の守護者となるのか。検事時代の『正義』はまやかしか。」と感じました。そして、検事がけっこう簡単に騙されたり、安直に悪の道に引き込まれるのを知り、「こんな人たちで本当に事件捜査ができ、正確な判断ができているのか?」とも思いました。
また、本書は、関西の社会・経済の裏事情を垣間見れる本でもあり、なかなか興味深い本ではあります。
ただ、たくさんの人物名が出てきて、話があちこちに飛ぶ話もあり、文章もあまり上手ではありません。やや読みにくい本という感じがし、私の場合は少し読むのに疲れました。
また、さんざん思わせぶりな記述が続いた割には「言いたかったのはこれだけ?」という章もありました。
本書は、興味が持てる人とそうでない人があると思いますので、少し内容をみてから購入する方がいいかも知れません。