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原色の街・驟雨 (新潮文庫) 文庫 – 1966/10/24


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女は自らの欲望に気づき、溺れていく……。憎悪、快感、嫉妬。
芥川賞受賞の名篇「驟雨」を含む初期傑作五編。


見知らぬ女がやすやすと体を開く奇怪な街。空襲で両親を失いこの街に流れついた女学校出の娼婦あけみと汽船会社の社員元木との交わりをとおし、肉体という確かなものと精神という不確かなものとの相関をさぐった「原色の街」。
散文としての処女作「薔薇販売人」、芥川賞受賞の「驟雨」など全5編。性を通じて、人間の生を追究した吉行文学の出発点をつぶさにつたえる初期傑作集。

【目次】
原色の街
驟雨
薔薇販売人
夏の休暇
漂う部屋

解説:長部日出雄

【本書収録「驟雨」より】
彼は自分の心臓に裏切られた心持になった。胸がときめくという久しく見失っていた感情に、この路上でめぐり逢おうとはまったく予測していなかった。これでは、まるで恋人に会いに行くような状態ではないか。
これから会う筈の女の顔を、彼は瞼に浮べてみた。言葉寡(すくな)く話をして、唇を小さく噛みしめる癖のある女。伏眼がちの瞼を、密生している睫毛がきっかり縁取る。やや興味ある性格と、かなり魅惑的な軀をもった娼婦。……(本書143ページ)

吉行淳之介(1924-1994)
岡山市生れ。東京大学英文科中退。1954(昭和29)年「驟雨」で芥川賞を受賞。性を主題に精神と肉体の関係を探り、人間性の深淵にせまる多くの作品がある。また、都会的に洗練されたエッセイの名手としても知られる。主要作品は『原色の街』『娼婦の部屋』『砂の上の植物群』『星と月は天の穴』(芸術選奨文部大臣賞)『暗室』(谷崎賞)『夕暮まで』(野間賞)『目玉』等。


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現職の街・驟雨 夕暮まで
カスタマーレビュー
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価格 ¥737 ¥506
【新潮文庫】吉行淳之介 作品 心の底まで娼婦になりきれない娼婦と、良家に育ちながら娼婦的な女──女の肉体と精神をみごとに捉えた「原色の街」等初期作品 5 編。 自分の人生と”処女”の扱いに戸惑う 22歳の杉子に対して、中年男の佐々の怖れと好奇心が揺れる。二人の奇妙な肉体関係を描き出す。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 改版 (1966/10/24)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1966/10/24
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 336ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4101143013
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4101143019
  • 寸法 ‏ : ‎ 14.8 x 10.5 x 2 cm

著者について

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吉行 淳之介
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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2020年7月30日に日本でレビュー済み
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    吉行淳之介の文学をキンドルで読むのは、どうかと思ったが、存外楽しめました。紙でなくても愉しめることが判りました。
  • 2021年2月18日に日本でレビュー済み
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    ちょっと気取った孤独感がいい。ちょっと悟った大人向けだと思います。
    6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2019年3月26日に日本でレビュー済み
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    娼婦の街や心理を描いた原色の街と驟雨はあまり好みの話しではありませんでした。
    文体には読ませる工夫があり、適度に装飾された描写も文学として素晴らしいものでしたが、
    話の内容自体になかなか興味が持てず、読んでいて疲れました。

    夏の休暇はとてもよく、同じように漂う部屋も若干通俗的で
    小説として読みやすくイメージもしやすかったです。
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2019年2月15日に日本でレビュー済み
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    風俗にハマってしまった男の悦楽と
    表裏一体に存在する葛藤に共感する
    5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2014年2月9日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    芥川賞の驟雨を含むデビュー作であり、彼の原点と呼べる作品群でもある。作品の舞台は戦後間もない頃の娼婦の街であるが、彼の魅力はそのテーマとは別に文章力にあると思う。喩えるならクレーのデッサンのように、愛や性といった捉えがたいものを、無駄のない明晰な柔らかな線で描いて見せてくれる。しかもその線は繊細であるが感情に流され濡れること無く乾いているのである。だからこそ私たちは愛や性の内に潜む欺瞞やエゴイズムの姿に気付き、はっとして我が身の姿を見つめ直すことが出来るように思う
    11人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2019年5月2日に日本でレビュー済み
    吉行淳之介は若い頃、詩を書いていた。そこには実験精神と世界への感受性による確認が美しく初々しく生々しく記されている。そこから隔たらないしかし散文家としての吉行淳之介の令名を高らかに告げる爽やかな作品集。その詩的感受性は健在でありありと脈打ち世界認識を試みる。爽やかに戦慄する詩的精神の絶頂が、驟雨に収斂的に表現される場面は、見事の一語に尽きる。何度読んでも、鮮烈さが繰り返される。吉行淳之介の若さが、最も美しく表現された、短編小説の逸品。
    5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2014年3月26日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    まあまあの出来でしょうね。吉行作品ではふつうの出来だとおもいます。
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2014年1月12日に日本でレビュー済み
    「原色の街」

    人間の性と生を凝視すれば、
    何の違和感も感じない男
    不思議さ、娼婦の心をもった女に嫌悪感を感じる男
    何の違和感も感じない女
    違和感、娼婦を侮蔑する男に嫌悪感を感じる女
    の4種類がいるということを美しくまとめあげた作品。

    「日本の男は・・・!」と決めつけるフェミニストにこそ読んでほしいなあと思いますが、
    たぶんうまく読解してくれないんでしょうねえ。
    4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート