著者の「明日の広告」(2008年)に続き、ソーシャルメディアの役割や機能、そしてこれからの発展を見通し、企業としてどの様に対処して行ったら良いか判り易く整理した好著。新書としての制約がありながら内容が深く、多くのことを考えさせられる著作だと思う。広告や宣伝、広報の仕事に携わっていなくても、社会のプラットフォームになりつつあるソーシャルメディアの役割や機能を理解して行く上で、とても参考になる著作だと思う。
ソーシャルメディアにより友人や知人、同好の士と繋がり易くなった結果、自分のことを知っている人から情報やお薦め商品を教えて貰うのが如何に便利で有益かに気付き、古くからあった「人と人との繋がり」という関係性の素晴らしさを、本書を読んで改めて認識した。
著者は、「共感」を纏わない情報は広まらず、それを得る為には発信元への信頼が大切と。おせっかいなお薦め情報がソーシャルメディアを通じて容易に得られ、大きな影響力を持つ社会のプラットフォームに変化しつつある。
ソーシャルメディアでの消費者行動モデルは「SIPS」、共感する(Sympathize)、確認する(Identify)、参加する(Participate)、共有&拡散する(Share & Spread)。ソーシャルメディア上でコメントされ、「いいね!」などで広く共有されていくと。
最初の入口は「共感」からだが、消費者行動モデルで言われるAIDMAやAISASの最初の「アテンション(A)」や「興味(I)」を活用することで共感を大きく作り、SIPSを大きくすると共にAIDMAやAISASで動いている消費者にもリーチできると。そして、企業としてソーシャルメディアを活用して行く上で、著者は消費者との信頼関係を作り、エバンジェリストを育てていく必要があると。
但し、作為が見えると共感は生まれず、エバンジェリストやロイヤルカスタマーもできないので、企業は「人と人とのつながり」に人として入って行く必要があり、生活者の役に立つ企画を中心に据え、地道に長く貢献し、友人に話したくなる話題を作り、切っても切れない仲になる必要があると。
上記の著者の考えは良く理解できるが、予算と成果を短期的にコントロールして行かなければならない企業としては、まだまだ積極的に活用していく上で、課題は大きいのではないか。消費者とロングエンゲージメントを築いて行くとしても、どこまで長期の施策に企業として予算を充てられるだろうかと思う。
ソーシャルメディアは、今後、社会のプラットフォームとしての地位を更に強化していくことになるだろうと思う。日々変化しているこの分野の第一人者である著者の更なる考察や著作を期待したいと思う。
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明日のコミュニケーション 「関与する生活者」に愛される方法 (アスキー新書 202) 新書 – 2011/10/11
佐藤尚之
(著)
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ベストセラー「明日の広告」の第二弾。ソーシャルメディアの登場で、企業と生活者の接点は「広告」から「コミュニケーション」へ。社会に関与する生活者たちとどうコミュニケーションを図っていくかを解説する一冊。
- ISBN-104048703005
- ISBN-13978-4048703000
- 出版社アスキー・メディアワークス
- 発売日2011/10/11
- 言語日本語
- 寸法10.8 x 1.2 x 17.5 cm
- 本の長さ240ページ
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商品の説明
著者について
1961年、東京都生まれ。株式会社電通にて、CMプランナーやウェブ・プラン ナー、コミュニケーション・デザイナーなどを経て、2011年4月に独立。現在はフリーのコミュニケーション・ディレクター。1995年より個人サイト「www・さとなお・com」(http://www.satonao.com/)を運営。『明日の広告』(アスキー新書)、『極楽おいしい二泊三日』(文藝春秋)など著書多数。
登録情報
- 出版社 : アスキー・メディアワークス (2011/10/11)
- 発売日 : 2011/10/11
- 言語 : 日本語
- 新書 : 240ページ
- ISBN-10 : 4048703005
- ISBN-13 : 978-4048703000
- 寸法 : 10.8 x 1.2 x 17.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 581,100位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,350位角川新書
- - 1,691位マーケティング・セールス全般関連書籍
- - 11,085位実践経営・リーダーシップ (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1961年東京生まれ。コピーライター、CMプランナーを長くやったあと、ウェブ・プランナーを経て、現在コミュニケーション・デザインを主たる領域とするクリエィティブ・ディレクター。
本業での受賞は、JIAAグランプリ、新聞広告賞グランプリ、広告電通賞金賞、カンヌ国際広告祭銅賞、ACC賞など。代表作は「スラムダンク1億冊感謝キャンペーン」「星野仙一優勝感謝新聞広告」「NECショートフィルム『it』」など。
本業関係の著書としては「明日の広告」(アスキー新書)がある(ただいま10刷)。
また、「さとなお」のペンネームで「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「うまひゃひゃさぬきうどん」(光文社文庫)、「ジバラン」(日経BP社)などを書いている。
1995年より個人サイト「www.さとなお.com」(http://www.satonao.com/)を運営。もう終了したが「ジバラン」という一般人評価サイトの先駆けも主宰した。サイトに載せた文章を中心に食や旅関係の本を書いている。
YOSAKOIソーラン祭りファイナル審査員。花火師免許所持。
ツイッターは「satonao310」。フェイスブックは「satonao」。
カスタマーレビュー
星5つ中4.1つ
5つのうち4.1つ
48グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
上位レビュー、対象国: 日本
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- 2011年12月4日に日本でレビュー済みAmazonで購入
- 2013年7月30日に日本でレビュー済みAmazonで購入結論から言うと、結局これだけインターネットやソーシャルメディアが普及して一般的に使われるようになると、企業がいくら着飾ってもすぐに化けの皮がはげる…という事だから、企業の広告もそれを意識して、変えて行かなければならない…という事になるのだろう。
今までの、アイドマとかアイサスが古いというわけではなく、さとなおさんの提唱するSIPSがすべてという事でもない…というのが本当に真摯に感じられます。
コンビニではまだアイドマが生きているし、車や電化製品や家を買う時にはアイサスが生きているのだ。ただSIPSというのは根底にあるから絶対に一番大事にすべき…という者でもない。インターネットをしていない人やSNSに興味のない人には全く効果をもたらさないわけだから。
消費者と企業の関係が本当に難しくなりつつある。ただちゃんとまともな事をやっている企業が、生き残れる環境が整ったと考えた方がいいのかもしれない。大資本で広告費をじゃぶじゃぶ使ってアテンションだけでザルから水が漏れても何とか拾い上げれば大丈夫みたいな販促はもうだめだと言う事だ。
一番厳しいのは、広告代理店だと思う。
- 2014年7月24日に日本でレビュー済みAmazonで購入前著のインパクトが強すぎたのか、
今回はあまり心に残らなかった印象。
- 2011年10月10日に日本でレビュー済みAmazonで購入情報洪水の中でいかにしてコミュニケーションを取り、
いかにして情報を届けられるかが変化してきている(実は昔に戻ってる?)
時代に、企業は広告や宣伝という枠組みだけではなくて
そこにいる全てのスタッフが人として世間につながり、関わり、行動する
必要がある事を示してくれている良著。
著者の経験と実践+理論が凝縮されている。
企業の広告・宣伝部門の人だけが読んでいてはモッタイナイ気がします。
これを読むならこの本も読んでおいたほうが良いと思います。
明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045)
- 2011年10月12日に日本でレビュー済みAmazonで購入著者のサイト「さとなおcom」の愛読者として、日頃から著者の思考の一端を追い続けているのですが、こうやってその思考を整理した成果を提示されると、その先進性に圧倒されます。
「SIPS」という新たなマーケティング概念だけでなく、「助け合いジャパン」等の著者個人の活動事例もあり、読み進めるうちに、著者からソーシャルメディアという新しいコミュニケーションに向き合う「覚悟」を求められている気がしてきます。ああ、すいませんすいません。
広告関係者や企業のマーケティング担当者はもちろん、情報系企業の方、行政関係者、地域活動の実践者、個人商店経営者など、「何らかの情報を世に伝えたい人」にとっては必読書だと思います。また、単に個人的にFBやtwitterを楽しんでいる人も、自分の何気ない行動が、今、マーケットの中でどういう位置づけになっているのかを確認するだけでも本書を読む意味は大きいと思うです。
まあつまりは「み〜んな読むといいよ!」ってことです。
- 2011年12月17日に日本でレビュー済み広告会社出身の著者は、ソーシャルメディアの可能性を本書で端的に示している。
ソーシャルメディアは、「関与する生活者」をつなげるプラットフォームの役割を持つと主張する。
関与する生活者を3つに分類し、それぞれのソーシャルメディアにおける情報発信の役割を説明しているのはありがたい。
本書の特徴として、AIDMA から AISAS、そして SIPS と新しい消費者行動モデルを提案し、
SIPS×AIのコラボレーションの例としてベストバイやホンダ、そしてユニクロなどの事例が6つ紹介されている。
そして、最後にコミュニケーション・デザインを提案しているが、コミュニケーションにとどまらず、
企業や組織、そして個人にさえ適用可能とも思わせる。
このポイントは、紙面に制約のある新書でありながら、まとめた著者の力量は洞察だけなく、すばらしい。
ソーシャルメディアだけでなく、自分自身の可能性を広げることに希望が持てる!
本書に関心を持ち、やや物足りないと感じたら次の1冊を薦める。
"R3コミュニケーション―消費者との「協働」による新しいコミュニケーションの可能性"
理論的・実践例・計測測定など、本書の背景や議論など発展例が豊富である。
- 2012年11月13日に日本でレビュー済みAmazonで購入『明日の広告』と比較すると、手法(ソーシャル)の話に偏りすぎている感があり、感ずるところは正直多くなかった。
このカテゴリの本であれば、いくらでもソーシャルのプロによる実践本があるだけに、
著者ならではのより深い、コミュニケーションのうねりを方って欲しかったです。
- 2013年6月28日に日本でレビュー済みAmazonで購入ITの隆盛に反比例して、在来のメディア広告は衰退していくというのが、常識のようになっていた。しかし、IT上の広告が本当に大きな成果をあげているのか?その事を検証した著作はまだあまり無いと思う。
そんな広告の有り様について検証する事から、IT社会にどうインパクトを与えていくか、どう取り組んだらこの社会に影響を及ぼせるのかという、コミュニケーション論に発展させている。リタイアしてなおかつこのIT社会に如何に生きていくか、暗中模索だった身にとって、とても良い啓示となる本だった。