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貸出作品リスト:YIDFF '95


※監督の下段のデータは、製作国/製作年/使用言語/色/フィルム種別(35mmの場合のスクリーンサイズ)/上映時間/字幕
※以下、作品タイトルをクリックすると、より詳しい作品情報がご覧いただけます

YIDFF '95 インターナショナル・コンペティション出品作品


選択と運命

Choice and Destiny ('95 ロバート&フランシス・フラハティ賞)
監督:ツィピ・ライベンバッハ
イスラエル/1993/イディッシュ語/カラー/16mm/118分/日本語字幕あり

イスラエルに住む監督の両親、80歳の父親と72歳の母親は第二次世界大戦中のホロコーストの生存者である。その体験は重荷となって二人を悩まし続けているが決してそれを話そうとはしない。自分の両親をより深く理解するため、彼女は自分を生んでくれた両親にあえてカメラを向け体験談を聞き出そうとする。日常のさりげない生活のなかで、まず父親が淡々と、そして次第に母親も自分の体験を語り始める。これはこれまで何百と作られてきたホロコースト物語とは一線を画す家族の物語である。

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メタル&メランコリー

Metal and Melancholy ('95 山形市長賞)
監督:エディ・ホニグマン
オランダ/1993/スペイン語/カラー/16mm/80分/日本語字幕あり

ペルーの首都リマにおけるタクシー・ドライバーたちに取材したユニークなロード・ムーヴィーである。彼らはプロのドライバーではない。教師、俳優、警官といった本業を持った人々ばかりであるが、経済の悪化によって、こうした副業に手を出さざるを得ないのである。だが、彼らが語る人生や家族の話はペーソスに溢れ飽きることがない。思わず相槌を打つ話には、人間として共通するテーマがありそこには、助手席から彼らに語りかける監督自身の人間性溢れる想いが伝わってくる。

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スクリーンプレイ:時代

Screenplay: The Times ('95 優秀賞、市民賞)
監督:ヴィンフリート・ユンゲ、バーバラ・ユンゲ
ドイツ/1993/ドイツ語/カラー、モノクロ/35mm(1.33)/284分/日本語字幕あり

ポーランド国境に程近い東ドイツ(当時)のゴルツォウという小さな村の子供たちが、小学校に入学し、就職、結婚など、三十年以上に渡って様々な人生の節目が収められている。この作品は、図らずも1961年のベルリンの壁の出現から崩壊、そしてドイツ統一という、歴史そのものをまるごと記録する結果となった。また5時間にも及ぶこの超長編ドキュメンタリーには、東ドイツ最大のフィルムスタジオDEFAや機材が次第に進歩する様子など、映画史に残る貴重な映像が無数に散りばめられている。

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ピクチャー・オブ・ライト

Picture of Light ('95 優秀賞)
監督:ピーター・メトラー
カナダ、スイス/1994/英語/カラー/35mm(1.66)/83分/日本語字幕あり

カナダ、マニトバ州チャーチヒルにおける冬の寒さは、氷点下70度に及ぶ。外に出るためには服を着るだけで30分もかかり、外で使ったカメラを部屋に戻すためには4時間もかけなければならない。そうしなければ、急激な温度差のためにカメラは文字通り壊れてしまうからだ。こうした大変な苦労の末に撮影されたのが「北方の光」と呼ばれる魅力的で神秘的なオーロラの姿である。これは、芸術的な技術としての映画の可能性を追求し、自然と人間の関係に哲学的な考察を加えた好奇心あふれる作品である。

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父、息子、聖なる戦い

Father, Son and Holy War ('95 特別賞)
監督:アナンド・パトワルダン
インド/1994/ヒンディー語、英語/カラー/16mm/120分/日本語字幕あり

この作品は、インドにおいてヒンドゥー、イスラム教徒が際限なくふるい続ける暴力についての考察である。1984年にガンジーが暗殺され、デリー市においては、シーク教徒3,000人が虐殺される事件が起こった。永らく宗教の問題に取り組んできた監督はこの原因を宗教の因習化と指摘する。男たちは、男らしさを保つためだけに暴力をふるい、何世代にも渡る馬鹿げた報復合戦を引き起こしている。7年間の製作を経て監督は五千年の永きに根を持つこれらの諸問題を壮大なスケールで問いかける。

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カルメン・ミランダ:バナナが商売

Carmen Miranda: Bananas is My Business
監督:ヘレナ・ソルバーグ
ブラジル、アメリカ/1994/英語、ポルトガル語/カラー/35mm(1.66)/92分/日本語字幕あり

ブラジルの歌姫からアメリカに渡りハリウッド映画にも登場したカルメン・ミランダは、ラテンアメリカの陽気で明るくセクシーな女性として一世を風靡する。しかし人気が高まるにつれ彼女は次第にアイデンティティを見失っていく。監督は本来の彼女の真の姿に迫るべく、大量の映画、写真、テレビ、そしてゆかりの人々へのインタビューを通じて、愛すべきカルメンを取り戻そうとする。これは、彼女の歌とブラジル音楽を堪能できるエンターテインメント・ドキュメンタリーである。

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百代の過客

The Eternal Traveller
監督:原将人
日本/1995/日本語/カラー/16mm/219分/英語字幕あり/山形県内上映のみ(県外上映についてはお問い合わせください)

松尾芭蕉の「奥の細道」をたどりながら旅をする監督の日記映画。芭蕉と弟子の旅が、この映画では監督自身と息子という親子の対話の旅になっている。親子の対話は8mmとビデオという二つの映像を用いて語られ、監督の詠む俳句とその朗詠の声とともに、作品世界に独特の空間と時間を刻んでいる。監督自身が「私映画」とよぶこの作品は、個人映画のリアリティによってドキュメンタリー映画の境界を攪拌する面白い試みである。

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アルバト通りの家

The House on Arbat Street
監督:マリナ・ゴルドフスカヤ
ロシア/1993/ロシア語、英語/カラー/16mm/59分/日本語字幕あり

ロシアの街の一角にアルバト通りと呼ばれる地域がある。そこには1900年当初に建てられた古式ゆかしいアパートがある。住人は裕福な人々であったが革命後は様々な階層の人々が住む集合住宅になってしまい、以前からいる住人も共同生活を強いられた。まるで『ドクトル・ジバゴ』の一エピソードを見るような雰囲気の中、社会主義を生き抜いてきた90歳以上の老人たちの回想や歴史的フィルムなどによって、このアパートの人間群像と当時の背景があぶり出される。監督は映画祭'89の審査員。

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さらばUSSR

Last Farewell USSR ('95 FIPRESI賞)
監督:アレクサンドル・ロドニャンスキー
ウクライナ/1994/ロシア語/カラー/35mm(1.33)/60分/日本語字幕あり

1991年12月ソ連邦は解体した。ペレストロイカから5年半後、共産党解体から4ヶ月後の出来事である。同時に、東ドイツに駐留する兵士たちもCISに解体された故郷に帰るか、新たな戦場へ赴くかの選択を迫られていた。1929年の映画『帝国の破片』やニューズリールを鋏み、ソ連の誕生から崩壊までを描きながら、それぞれの時代にこの国の歴史に関わった人々へのインタビューを試み、ペレストロイカで湧き上がった多くの希望が失望に変わったことをあぶり出す。

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記憶と夢

Memories and Dreams
監督:リン=マリー・ミルバーン
オーストラリア/1993/英語/カラー/35mm(1.66)/58分/日本語字幕あり

1920年代初めにプラハに生まれ、非凡な人生を歩んだヨハンナの人生の記録である。自由闊達な少女時代、ジャーナリストとしての活躍、ナチス占領による収容所への拘置と脱走、偽造証明書による撮影所への就職、戦後幼い子供を連れての亡命、そしてオーストラリアへの移住など、彼女の自分の可能性を賭けた行動は観客の心を動かさずにはおかない。インタビューやニューズリールを除けば、回顧された人生は殆どが再構成されている。これは記憶のドキュメンタリーともいうべき面白い試みである。

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広場

The Square ('95 FIPRESCI賞)
監督:張元(チャン・ユァン)、段錦川(ドゥアン・ジンチャン)
中国、日本/1994/中国語/モノクロ/35mm(1.66)/100分/日本語字幕あり/山形県内上映のみ(県外上映についてはお問い合わせください)

1889年に北京の天安門広場で起きた事件は今なお記憶に新しい。天安門広場は現代中国の歴史のなかで、大きな政治的・社会的事件の舞台となってきた。中国社会の顔ともいうべきそうした“広場”を、ナレーションも音楽もなくただひたすらカメラで捉えたのがこの作品である。映画は、1994年春から夏にかけての広場でのさまざまな人々の活動を淡々と撮りながらも、1994年というその時代に生きる中国人たちの複雑な内面をも描き出している。