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VAIO Prototype Tablet PCは「VAIO Z Canvas」として商品化が決定しました。

ここに登場するPCは、開発段階のプロトタイプです。10月4日からロサンゼルスにて行われるAdobe MAXに出展しました。なぜ、今このタイミングでみなさんに知っていただこうと考えたのか。そこに至る開発チームの決意も含めて、プロトタイプのタブレットPCの現在までの物語を紹介します。

今回ご紹介のプロトタイプの主な仕様

  • プロセッサー:インテル® Core™ プロセッサー H プロセッサーライン(Quad-Core プロセッサー)
  • グラフィックスアクセラレーター: インテル® Iris™ Pro
  • 液晶表示装置: 画面サイズ 12.3型(3:2) / 解像度 Over Full HD 2560 × 1704(250 DPI) / 色域 Adobe RGBカバー率 95%以上
  • 主な入出力:SuperSpeed USB (USB 3.0) port x 2 / HDMI出力 x 1 / Mini Display Port x 1 / ヘッドホン出力 ステレオ、ミニ端子 / ネットワーク(LAN)1000BASE-T/SDXCカードスロット(UHS-II)x 1

「PCと紙のノートを両方持ち歩いて使い分けている人を見て、何で?と思ったのが始まりでした」。VAIOの商品企画を担当する伊藤が着目したのは、PCは、人に何かを伝達することに関しては得意だが、物事を発想することに関しては弱いという一面だった。 メールを送ったり、資料をつくったり、アウトプットはPCによって格段に便利になった。しかし、アウトプットの前に、あれこれと自由に思考を巡らせ、想像を膨らませるときは、紙に何気なくメモを取ったり、とりとめもなく書き付けてみたりするものである。発想するところから最終的にまとめて伝達するところまで、一連のことがPCでできるようになれば、より強力なデバイスになるのではないか。気軽に使える上に、スマートフォンやタブレットのようなデバイスにはない処理能力の高さも兼ね備えていれば…。そこで、ビジネスマンが何かを生み出すという点において、次の鍵になると睨んだのが、ペンタッチ機能だ。テキストもチャートも混在して書ける紙の良さを、ぜひともPCに取り込みたい。こうして、ペンの性能を向上させていく中、ビジネスマンが気軽にメモできるレベルに到達することを目指していたのだが、思わぬところから反響があった。

クリエイターの要望を、高密度実装する。

2012年秋に発売したペン付きタブレットPCに対する書き込みを一つ一つ読んでいるうち、ビジネスユースを想定してつくったモデルでありながら、ペンにこだわるイラストレーターの人たちが興味を持ってくれていることに気づいた。何で?と思ったら、探求せずにはいられないのがVAIOの開発チーム。すぐにヒアリングをし、この疑問を紐解いていくと、「コンパクトなサイズで心地よい描き味があると外でも描ける、デスクに縛られなくて済む」といったニーズがあり、とても喜ばれていた事実がわかった。この気づきにより、ビジネスマン向けと広く捉えていたところからイラストレーターやグラフィックデザイナー、フォトグラファーなどクリエイターが求めているものは何なのか、を突き詰めていくこととなる。もちろん市場として狭いことは承知していたが、一人一人のクリエイターの状況に向き合って求めているものに応えていく経験は、必ずやVAIOの財産になるという読みがあった。

知らない世界だからこそ、学ぶことが多い。

そうしてすぐに、プロのイラストレーターや漫画家へのモニタリングを開始。「1ヶ月くらい貸し出して使ってもらいフィードバックを聞く。この流れで数ヶ月、情報を蓄積していきました」。ビジネスマン向けであれば、開発チームの面々にも使う側の気持ちが想像できる。だが、イラストレーターや漫画家が相手となれば、そうはいかない。しかも、これらの職業は、描き方に明確な決まりがあるわけではなく、制作を進める手順も千差万別。一人一人の感想や感覚が、見事に一致しない。自分たちに実感値がない職業での使い方を調べることに苦しみながらも、開発チームはインタビューのビデオを何度も見返し、行動分析を行った。「相手の世界を知らないからこそ、手厳しい意見も素直に受け入れられます。想定外に刺さったポイントとしては、とある漫画家の方の“VAIOがあれば、オフィススペースを小さくできますね”との声」。プロの漫画家の方は、アシスタントを抱えて仕事をしている。現在の作画のための環境は非常に場所を取るので、必要な人数分のデスクを置くオフィススペースを確保しなければならない。それがモバイルPCである程度作業ができるようになると、作業分担をしやすくなり、オフィススペースをセーブすることにもつながるという発想だった。プロでは、効率アップはコスト削減に直結すると認識させられた、言葉だった。

平均化したデータでは、見えないものを。

サイズを小さくできたことが、クリエイターのワークフローの中で思いがけない効果を発揮していた。PCを使っている本人だけでなく、その周囲にも影響があると教えられた。また、彼らはペンの描き味だけでなく色についてもこだわりが強く、印刷・確認・修正を何回も繰り返すといった非効率に感じられる作業を一つ一つ丁寧にやっているなど、モニタリングの結果は驚きの連続であった。「クリエイティブの質を追求するのに、クリエイターはクリエイティブとは言えない環境や非効率なワークフローを強いられており、そこにはメーカーとして解決すべきことが多くある。解決できれば仕事の効率化・コストダウンに直結し、クリエイターはその時間をもっと質の追求に費やすことができる」。実は、PCの筐体の場合も、素材によって色の乗り具合が変わるので懸命に調整している。別の世界と感じていたが、細部への強いこだわりという意味では、自分たち開発チームと同じであった。こうした発見をもっとしたい。もっと製品に落とし込みたい。100人や1000人の表面だけを見るのではなく、一人の人が朝起きてから寝るまで、製品がどう関わっていくのかを理解する事が、開発する上でとても重要だ。「だから今回、プロトタイプの段階でみなさんに知っていただこうと考えました。Adobe MAXに出展する理由もそこにあります」

プロに応える。その先に、普遍が生まれる。

プロトタイプでありながら操作できる状態にまでつくり込むのは異例のこと。かつてのVAIOであれば考えられなかった。しかし、質を追求するクリエイターは、スペックだけでは言い表せない感覚的な部分が大事で、実際に触ってもらって調整しなければ世に出してはいけない。完成してから見せるのでは、遅い。このプロトタイプのタブレットPCは、開発段階で公開し、さらにクリエイターと共に研ぎ澄ませて製品にする。“共創(共に創る)”という、これまでとは全く違う開発プロセスを辿っているから、本当の挑戦と言える。創造の質と効率にシビアなプロの声に耳を傾けていると、それは特殊な要望ではなく、一般のビジネスマンをはじめとするPCを使う人みんなに通じる普遍的な要素であると、気づかされることが多い。「キーボードが打ちやすいとか、作業を止めないでさくさく動く、などはどの人にとっても大事な要素。その基本を固めた上で、クリエイターにはこういうところが不可欠、ビジネスマンにはこういうところ、とそれぞれの立場に立って徹底的につくり込む。そうすれば、きちんと価値を認めてもらえると信じている」。生産性や創造性のために徹底して構築された道具であること。長く愛着を持って使われる道具であること。ものをつくるという視点に絞ったおかげで、PCの本来あるべき純粋な姿が掴めそうだと開発チームは目を輝かせる。「どのくらい受け入れてもらえるのか、声を聞くほど悩みは深くなりますが、楽しみでもあります」。開発という物語の本番は、これからなのだ。

(2015年2月20日掲載)

企画/商品プロデューサー 伊藤 好文

イベント情報

世界中のクリエイターが集まる舞台に出展します。
VAIO株式会社は、アーティストがデスクに縛られることなく、どこでもインスピレーションやアイデアをかたちにすることができるように、 デスクトップPCレベルのパフォーマンスをモバイルサイズで実現した、クリエーター向けプロトタイプのタブレットPCを10月4日から8日までロサンゼルスにて行われるAdobe MAXに出展します。

Adobe MAXでは、Photoshopのエバンジェリストであるラッセル・ブラウン氏(アドビ システムズ 株式会社 シニアクリエイティブディレクター)によるデモンストレーションや 、デジタルアーティストのライス・バード氏によるセッションなどが予定されています。10月6日から8日までブース出展も行い、今回ご紹介するプロトタイプのタブレットPCのハンズオンデモを実施します。

Adobe MAXとは
10月4日~8日、米国ロサンゼルスにて、アドビ システムズ社主催の「Adobe MAX」(以下、MAX)というクリエイティビティに注目したカンファレンスが開催されます。MAXは、クリエイティブ業界のリーダー、デザイナー、デベロッパー、ストラテジスト、ビデオプロフェッショナル、写真家など、 世界から5,000人以上のプロフェッショナルが集まる年に一度の大イベントです。
http://max.adobe.com/

VAIO Z Canvas
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