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2025-01-27 Mon
■ #5754. divers vs diverse [variant][pronunciation][latin][french][doublet][stress][spelling][adjective][polysemy][pronoun]
米国ではトランプ2.0が発足し,世界も予測不能のステージに入ってきている.この新政権では,DEI (= diversity, equity, and inclusion) の理念からの離脱が図られているとされる.この1つめの diversity は「多様性;相違」を意味するキーワードであり,英語にはラテン語からフランス語を経て14世紀半ばに借用されてきた.
この名詞の基体はラテン語の形容詞 dīversum であり,これ自体は動詞 dīvertere (わきへそらす,転換する)に遡る.それて転じた結果,「別種の;多様な;数個の」へ展開したことになる.
ところで,現代英語辞書には divers /ˈdaɪvəz/ と diverse /daɪˈvəːs/ とが別々に立項されている.綴字上は語尾に <e> があるかないかの違いがあり,発音上は強勢の落ちる音節および語末子音の有声・無声の相違がある.意味・語法としては,前者は古風・文学的な響きをもって「別種の;数個の」で用いられ,後者は主に「多様な」の語義で通用される.もともとは両者は互いに異形にすぎず,中英語期以降いずれの語義にも用いられてきたが,1700年頃に語形・意味において分化してきた.
divers /ˈdaɪvəz/ は「数個;数人」を意味する名詞・代名詞としても用いられるようになったためか,その語末子音は,名詞複数形の -s を反映するかのように /z/ へと転じた.また,diverse /daɪˈvəːs/ の発音と綴字は,ラテン語由来の adverse, inverse などと関連づけられて定着したものと思われる.
OED でも両語は別々に立項されているが,Diverse, Adj. & Adv. の項にて両語の形態と発音の歴史が詳細に解説されている.
Form and pronunciation history[ 固定リンク | 印刷用ページ ]
The stress was originally on the second syllable, but was at an early date shifted to the first, although both pronunciations long coexisted, especially in verse. In early modern English divers (with stress on the first syllable) is the dominant form (overwhelmingly so in the 17th cent.), especially in the very common sense 'several, sundry, various' (see divers adj.) in which the word always occurs with a plural noun (the final -s coming to be pronounced /z/ after the plural ending -s, making the word homophonous with the plural of diver n.).
By the 18th cent. the senses of the word had come to be distinguished in form, with divers typically used to express the notions of variety and (especially) indefinite number (see divers adj. & n.) and diverse (probably by more immediate association with Latin diversus) the notion of difference (as in senses A.1 and A.3); thus Johnson (1755), Sheridan (1780), and Walker (1791), all of whom have two parallel entries. Both forms were typically stressed on the first syllable, and differed only in the pronunciation of the final consonant (respectively /z/ and /s/ ). The same formal and semantic distinction is reflected in 19th-cent. dictionaries, including Smart (1836), Worcester (1846), Knowles (1851), Stormonth (1877), Cent. Dict. (1889), and New English Dictionary (OED first edition) (1897). The latter notes at divers adj. (in sense 'various, sundry, several') that it is 'now somewhat archaic, but well known in legal and scriptural phraseology'; in this form the word is now chiefly archaic and used mainly in literary or legal contexts.
In the second half of the 19th cent. (as divers adj. was gradually becoming more restricted in use), the dictionaries begin to note an alternative pronunciation for diverse adj. with stress on the second syllable. This pronunciation probably continues the original one that had never entirely disappeared for this form, as is shown by examples from verse (compare e.g. quots. a1618, 1837 at sense A.1a, 1754 at sense A.3a). Knowles (1851) is one of the first dictionaries to note this pronunciation of diverse adj. (which, interestingly, he gives as the sole pronunciation); more commonly the two alternatives are given, as e.g. Craig (1882), who puts the pronunciation with initial stress first, and Stormonth (1877), Cent. Dict. (1889), New English Dictionary (OED first edition) (1897), who give priority to the pronunciation with stress on the second syllable; this has since become by far the more common pronunciation of the word.
2025-01-26 Sun
■ #5753. 直近半世紀間に英語に入った日本語 [oed][japanese][loan_word][notice][borrowing][lexicology][heldio][inohota][youtube][link]
OED より1975年以降に英語に入った日本語由来の単語を取り出してみた.ただし,厳密に日本語由来の単語のみならず,何らかの形で日本語を経由していたり日本語と関係をもったしている単語ということで,緩めの設定で拾い出したものも含めるので,あしからず. *
合計73語が収集された.まず,10年刻みで単語を挙げてみよう.
【1970年代(25語)】 Betamax, gaman, money politics, reiki, sashiko, shishito, tsutsumu, katsu, katsu curry, mechatronics, shosha, kanban, karaoke, tamari, tonkotsu, butoh, Ginsu, hamachi, Midori, shuriken, uncanny valley, washi, mokume gane, nikkeijin, omakase
【1980年代(22語)】 omotenashi, shojo, Pac-Man, okadaic, shonen, skin lady, softnomics, ankimo, bukkake, kaiju eiga, Kumon, anime, kaizen, tokkin, mecha, zaitech, izakaya, Nintendo, omurice, karoshi, manhwa, functional food
【1990年代(17語)】 hentai, chindogu, otaku, cosplay, santoku, fan service, mangaka, compensated dating, enjo kosai, bokeh, emoji, Tamagotchi, cosplayer, hikikomori, keitai, visual kei, Tabata
【2000年代(5語)】 Sudoku, hallyu, tokusatsu, amigurumi, kintsugi
【2010年代(4語)】 washi tape, chimaek, mukbang, isekai
年代ごとの傾向は必ずしも明確ではないが,技術や伝統文化から始まり,食文化,ポップカルチャー,サブカルチャー,ビジネス,ゲーム関連,インターネット関連へと流れていっているようにみえる.全体として広い領域をカバーしているが,とりわけ多いのは食文化関連で,10語ほどが関与している.
品詞としては,予想される通り,ほぼすべてが名詞だが,gaman 「我慢する」は動詞として,okadaic 「オカダ(酸)の」は形容詞として入ってきている(この酸が最初に単離された海綿動物クロイソカイメンの学名 Halichondria okadai に由来するという).使用頻度については最高頻度帯の5をつけているのは emoji のみだが,頻度帯3と2を合わせて52語を数え,それなりに英語語彙に定着しているともいえる.
日本語単語の英語への流入の現代におけるピークはいつかという問いについては,OED の採録に関する方針も関与してくるので一概には言えないが,今回の調査で得られた数値のみを判断材料とするならば,1970年代から1990年代にかけてといってよい.
関連する話題については,ぜひ以下のコンテンツもご参照ください.
・ hellog 「#5467. OED の3月アップデートで日本語からの借用語が23語加わった!」 (2024/04/15)
・ inohota 「OED(Oxford English Dictionary)の今年3月のアップデートのテーマは日本語由来の英語!」 (2024/05/26)
・ heldio 「#60. 英語に入った日本語たち」 (2021/07/31)
・ heldio 「#1331. 土曜日の朝カルでは英語に入った日本語も取り上げます --- この50年で英語に入ったオモシロ借用語をいくつか紹介」 (2025/01/20)
2025-01-25 Sat
■ #5752. 近代のフランス借用語 --- 月刊『ふらんす』の連載記事第11弾 [hakusuisha][french][rensai][furansu_rensai][contact][loan_word][borrowing][mode]
*
1月23日,白水社の月刊誌『ふらんす』2025年2月号が刊行されました.今年度,同誌で連載記事「英語史で眺めるフランス語」を寄稿していますが,今回は第11回「近代のフランス借用語」です.
1. 近代にフランス単語が借用された背景
フランス語からの借用は中英語期以降も継続的に行われ,特に17--18世紀にはフランス語がヨーロッパの知的共通語としての地位を確立した.この時期,イングランドではフランス借用語への反感も一部で示されたものの,受け入れの大きな阻害要因とはならなかった.
2. フランス語らしさをとどめる近代の借用語
近代の借用語は原語の形をほぼ保持したまま定着し,多くは貴族的・知的な印象を持つ単語群だった.また,借用時期の違いは単語の強勢パターンにも反映され,中世以前は第1音節,近代以降はフランス語本来の位置に強勢が置かれる傾向があった.
3. ロマンス諸語からの借用の窓口としてのフランス語
フランス語は直接の借用元としてだけでなく,イタリア語やスペイン語など他のロマンス諸語からの語彙を英語に導入する窓口としても機能した.ただし,ロマンス諸語は語形が似ているため,借用語の由来を特定することが難しい場合もある.近代英語期のフランス語借用は,18世紀以降,特に料理やファッション,文化・芸術分野で顕著となり,これらの借用語は既存の英語の語彙に新たなニュアンスを加えた.
4. 20世紀以降のフランス借用語
20世紀以降も garage や montage など多くの語が借用され続けており,21世紀に入ってからも parkour のような新しい借用語が登場している.約千年にわたるフランス語と英語の語彙的な関係は,今後も継続していくと予想される.
さらに詳しくは,直接『ふらんす』2月号を手に取ってお読みいただければと思います.過去10回の連載記事は hellog 記事群 furansu_rensai で紹介してきましたので,そちらもご参照ください.
これまで11回にわたって,千年以上にわたる英語の仏語との言語接触の歴史を眺めてきました.次号はいよいよ最終回となります.お楽しみに!
・ 堀田 隆一 「英語史で眺めるフランス語 第11回 近代のフランス借用語」『ふらんす』2025年2月号,白水社,2025年1月23日.52--53頁.
2025-01-24 Fri
■ #5751. 堀公俊(著)『アイデア発想フレームワーク』(日本経済新聞出版社,2014年) [review][methodology][toc]
「#5647. 『思考法図鑑』(株式会社アンド,翔泳社,2019年)」 ([2025-01-20-1]) および「#5650. 『ビジネスフレームワーク図鑑』(株式会社アンド,翔泳社,2018年)」 ([2025-01-23-1]) に引き続き,発想法に関する書籍を紹介する.
手軽な文庫サイズだが,68項目170種類の「アイデア発想に役立つフレームワーク(原理・モデル・視点といった考え方の枠組み)」 (p. 4) がぎっしり詰め込まれている.以下,目次を示す.
第I章 情報収集のフレームワーク
1 カラーバス
2 変化と兆し
3 共感図法
4 ロールプレイング
5 フィールド・インタビュー
6 グループ・インタビュー
7 ブラウジング
8 コンテクストマップ
9 タイムライン
10 リッチピクチャー
11 ビジネスモデル分析
Coffee Break ドリームチームをつくれば強くなる?
第II章 自由発想のフレームワーク
12 ブレーンストーミング
13 ブレーンライティング
14 アンチプロブレム
15 ゴー・ストップ法
16 フィリップス66法
17 マインドマップ
18 マンダラート
19 仮想ストーリー
20 ピクチャーカード
21 モノ語り
22 ワールドカフェ
23 オープン・スペース・テクノロジー
Coffee Break 発想を妨げているものは何?
第III章 視点転換のフレームワーク
24 オズボーンのチェックリスト
25 6つの帽子
26 5W1H
27 刺激ワード法
28 ワードダイヤモンド
29 カタルタ
30 加減乗除
31 マトリクス法
32 逆設定法
33 アズ・イフ
34 アイスブレイク
35 リフレーミング
36 ポジティブ・アプローチ
37 質問会議
Coffee Break 三人寄れば文殊の知恵が出るか?
第IV章 発想支援のフレームワーク
38 KJ法
39 セブンクロス
40 欠点列挙法
41 属性列挙法
42 形態分析法
43 シネクティクス法
44 NM法
45 バリュー・エンジニアリング
46 バリューグラフ
47 TOC
48 因果ループ図
49 TRIZ(トゥリーズ)
50 KT法
51 フューチャーサーチ
Coffee Break 不透明な未来を見通すには?
第V章 試作検証のフレームワーク
52 モデリング
53 コラージュ
54 メタファ
55 イメージカタログ
56 カバーストーリー
57 ストーリーテリング
58 スキット
59 インプロ
60 シナリオプランニング
61 ギャラリーウォーク
Coffee Break 最強のフレームワークはどれ?
第IV章 評価決定のフレームワーク
62 ドット投票
63 PMI法
64 SUCCESs
65 ハイ・ロー・マトリクス
66 星取り表
67 Who/What/When
68 満足度マトリクス
索 引
主な参考文献
発想フレームワークお薦め本
使えるビジネス・フレームワーク69
目移りするほどだが,実は名前を知らずとも,誰しもが普段使いしているフレームワークがここにたくさん含まれている.このことを意識するだけで,すでに発想法の世界に足を踏み入れているともいえる.
・ 堀 公俊 『アイデア発想フレームワーク』 日本経済新聞出版社,2014年.
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2025-01-23 Thu
■ #5750. 『ビジネスフレームワーク図鑑』(株式会社アンド,翔泳社,2018年) [review][methodology][toc]
3日前の記事「#5647. 『思考法図鑑』(株式会社アンド,翔泳社,2019年)」 ([2025-01-20-1]) に引き続き,研究のための思考法としても役立つビジネスフレームワークの本を紹介しよう.同じ出版元だが,実は今回取り上げる書籍のほうが1年早く出版されている.目次がそのままフレームワークの名前になっている.
序章 フレームワークを活用するために
第1章 問題・課題を発見する
STEP1 問題をあぶり出す
-01 As is/To be
-02 6W2H
-03 なぜなぜ分析
-04 コントロール可能/不可能
STEP2 問題を整理する
-05 ロジックツリー
-06 課題設定シート
STEP3 優先順位の決定
-07 緊急度/重要度マトリクス
-08 意思決定マトリクス
コラム 他責と自責のどちらで考えるか
第2章 市場を分析する
STEP1 マクロ環境や自社について分析する
-09 PEST分析
-10 ファイブフォース分析
-11 VRIO分析
-12 SWOT分析
STEP2 顧客について分析する
-13 パレート分析
-14 RFM分析
-15 ペルソナ
-16 共感マップ
-17 カスタマージャーニーマップ
STEP3 競合について分析する
-18 4P分析
-19 4P+誰に何を分析
-20 バリューチェーン分析
-21 コア・コンピタンス分析
コラム 定量・定性の違いをきちんと知っておこう
第3章 課題解決のためのアイデアを練る
STEP1 制限なくアイデアを発想する
-22 ブレインライティング
-23 マンダラート
-24 形態分析法
-25 シナリオグラフ
-26 オズボーンのチェックリスト
STEP2 アイデアを形にしてみる
-27 アイデアシート
-28 ストーリーボード
STEP3 アイデアの評価と選択
-29 プロコン表
-30 SUCCESs
-31 ペイオフマトリクス
コラム アイデア発想や評価の場面では「バイアス」に気を付けよう
第4章 戦略を立案する
STEP1 戦略の方向性を考える
-32 プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント
-33 アンゾフの成長マトリクス
-34 クロスSWOT
-35 STP
-36 ポジショニングマップ
STEP2 どのように実現するかを考える
-37 ビジネスモデル・キャンバス
-38 スキーム図
-39 AIDMA
-40 ガントチャート
-41 組織図
STEP3 目標を設定する
-42 ロードマップ
-43 KPIツリー
-44 AARRR
-45 SMART
コラム バックキャスティングとフォアキャスティング
第5章 業務を改善する
STEP1 結果を振り返る
-46 KPT
-47 YWT
-48 PDCA(チェックシート)
STEP 2 業務の状態を可視化する
-49 業務棚卸シート
-50 業務フロー図
-51 PERT図
-52 RACI
STEP3 改善策を考える
-53 ムリ・ムダ・ムラ(ダラリの法則)
-54 ECRS
-55 業務改善提案シート
コラム 会議運営を担当する場合に押さえておきたいポイント
第6章 組織をマネジメントする
STEP1 目的を共有する
-56 ミッション・ビジョン・バリュー
-57 Will/Can/Must
-58 Need/Wantマトリクス
STEP 2 メンバー間の関係性の質を高める
-59 ジョハリの窓
-60 認知/行動ループ
-61 ウォント/コミットメント
-62 PM理論
-63 ステークホルダー分析
STEP3 メンバーのモチベーションを高める
-64 動機付け・衛生理論
-65 Will/Skillマトリクス
-66 GROWモデル
コラム 会議を行う際はグランドルールを設定しておく
第7章 他者に伝える・共有する
STEP1 情報を伝える
-67 商品企画書
-68 イベント企画書
-69 PREP
-70 TAPS
巻末付録1 フレームワークの活用MAP
巻末付録2 フレームワーク活用場面の一覧表
参考文献・Webサイト
問題発見,問題解決,アイディアの拡散と発散,研究手法の開発,結果の公表等,いろいろなことに役立つ.パラパラめくって気になった手法を,今抱えている問題に適用するだけで,いつでも何か新しいことが生まれそうだ.
・ 株式会社アンド 『ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70』 翔泳社,2018年.
2025-01-22 Wed
■ #5749. 言語ミーム [meme][internet][netspeak][biology][speed_of_change][evolution][variation]
言語学と「ミーム」 (meme) について,マクロの観点から「#3188. ミームとしての言語 (1)」 ([2018-01-18-1]) や「#3189. ミームとしての言語 (2)」 ([2018-01-19-1]) で話題にしてきた.
昨今はネット上で,ミクロな意味での言語上の「ミーム」が流行っているようだ.主にネットメディアで繰り返し用いられ,パロディ化しながらウイルスのように蔓延していく画像,動画,短文テキストである.言語学的にはこの短文テキストとしてのミームが話題となる.
もともと meme という英単語は,上記の過去記事で紹介しているようにイギリスの進化生物学者 Richard Dawkins の造語である.OED によると1976年に初出している.生物学用語としての meme が文化的な派生義を経て,第2語義として,すなわち "An image, video, piece of text, etc., typically humorous in nature, that is copied and spread rapidly by internet users, often with slight variations. Also with modifying word, as internet meme, etc." として用いられた初例は1998年の次の文である.
1998 The next thing you know, his friends have forwarded it [sc. an animation of a dancing baby] on and it's become a net meme. (Sci. & Technol. Week (transcript of CNN TV programme) (Nexis) 24 January)
現代では,日々ネット上で数々のミームが蔓延しては死滅していっている.Crystal (97) より,linguistic memes の解説を読んでみよう.
LINGUISTIC MEMES
The word meme was introduced in 1976 by evolutionary biologist Richard Dawkins in Chapter 11 of The Selfish Gene as a shortened form of mimeme, from a Greek word meaning 'that which is imitated'. As Dawkins put it: 'I want a monosyllable that sounds a bit like "gene". I hope my classicist friends will forgive me if I abbreviate mimeme to meme.' The word echoes the -eme suffix used in linguistics (phoneme, morpheme, etc), but lacks its notion of minimal contrastivity. A meme is a unit of cultural transmission which spreads throughout a population and which can persist for a considerable time. Dawkins illustrated from tunes, ideas, fashions in clothing, ways of making pots or of building arches, and --- of relevance to this book --- catch phrases.
The notion has achieved great prominence as a result of the Internet, which promotes the rapid spread of images and text, while at the same time allowing a potentially infinite number of variations. Most are photos with superimposed captions (similar to speech bubbles) that have humorous or satirical intent, though many convey messages of political or social seriousness, and some try to express notions of philosophy.
For a meme to work, it has to be unique, distinctive, and consistent --- something that is easily achievable using language. The chief linguistic feature is the use of nonstandard forms --- in earlier developments such as text messaging, chiefly deviant spelling; in more recent varieties, deviant grammar. Among the best-known inventions are Leetspeak, LOLcats, Doge, and Doggolingo (pp. 458--9). But standard English can also be a fruitful memic source, as the examples below illustrate.
No language domain is sacrosanct, and political correctness is conspicuous by its absence. Y U NO uses upper-case textese (p. 455) to parody the simplified speech of foreign learners, using a sketch of a character from a Japanese manga series: its memic origin began with I TXT U / Y U NO TXT BAK!? Ermahgerd shows a young woman holding several books from the children's horror fiction series Goosebumps; the name is a version of 'Oh my God', as spoken by someone with a speech impediment; it is also known as Gersberms and Berks (books).
There are hundreds of meme wannabes on the Internet now, all hoping (but few achieving) a permanent place in language history. Some sites provide instruction in 'how to create your own meme'. We must expect a significant increase in the amount of linguistic idiosyncrasy both on and off the web now, srsly.
もちろん言語ミームの流行は英語に限らない.日本(語)でも,昨今,多くの「○○構文」が生み出されているが,これも言語上のミームの一種といってよいだろう.
・ Crystal, D. The Cambridge Encyclopedia of the English Language. 3rd ed. CUP, 2018.
2025-01-21 Tue
■ #5748. egg の英語史 [old_norse][me_dialect][caxton][heltube][heldio][youtube][inohota][kdee][hel_herald][hel_education][oed][link]
egg 「卵」について本ブログをはじめとする各種メディアで何度か取り上げてきた.概観を得るために,まず『英語語源辞典』の記述を確認しておこう(OED の egg, n.' も参照).
記述の通り,古英語では本来的な ǣġ が用いられていたが,後期中英語より古ノルド語 (old_norse) 由来の egg がイングランド北部・東中部に現われ,本来形を置き換えていったというプロセスを経ている.また,Caxton の Eneydos (1490) の序文における,旧形と新形の共存・競合に関する英語史上有名な逸話についても触れられている.
egg をめぐるこの2つの話題について,これまで少なからぬコンテンツを作ってきたので,リンクをまとめておこう(ここ数ヶ月間,heltube こと「YouTube: heltube --- 英語史チャンネル」へのアクセスが増えてきているので,そちらを最初に挙げている).
(1) 古ノルド語由来の egg
・ heltube 「#182. egg 「卵」は古ノルド語からの借用語!」 (2025/01/18)
・ heldio 「#182. egg 「卵」は古ノルド語からの借用語!」 (2021/11/29)
・ hellog 「#340. 古ノルド語が英語に与えた影響の Jespersen 評」 ([2010-04-02-1])
・ hellog 「#2625. 古ノルド語からの借用語の日常性」 ([2016-07-04-1])
・ hellog 「#3982. 古ノルド語借用語の音韻的特徴」 ([2020-03-22-1])
・ hellog 「#4820. 古ノルド語は英語史上もっとも重要な言語」 ([2022-07-08-1])
・ inohota 「え?それも外来語? 英語ネイティヴたちも(たぶん)知らない借用語たち」 (2022/07/08)
(2) 新旧形をめぐる Caxton の逸話
・ heltube 「heldio #183. 卵を巡るキャクストンの有名な逸話」 (2025/01/19)
・ heldio 「#183. egges/eyren:卵を巡るキャクストンの有名な逸話」 (2021/11/30)
・ hellog 「#337. #337. egges or eyren」 ([2010-03-30-1])
・ hellog 「#4600. egges or eyren:なぜ奥さんは egges をフランス語と勘違いしたのでしょうか?」 ([2021-11-30-1])
・ hellog 「#4831. 『英語史新聞』2022年7月号外 --- クイズの解答です」 ([2022-07-19-1])
・ 寺澤 芳雄(編集主幹) 『英語語源辞典』新装版 研究社,2024年.
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最終更新時間 | 2025-01-27 08:26 |
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