使いやすいIllustratorのCMYKカラースウォッチ
llustratorで色を塗るのに
「カラースライダーに翻弄されてなかなか色が決められない」
「スウォッチパネルがDICやPANTONEの特色スウォッチだらけに」
というのを解消するために、
4色印刷に使える色(プロセスカラー)から、ぱぱっと探せる カラースウォッチパレットを作りました。
Illustratorを使い始めたばかりの初心者さんにおすすめです。
絵の具セットのようなカラースウォッチ
【DTP-28色スウォッチ】
クレヨンや絵の具セットの様に色を選べるスウォッチパレットです。
濃い28色を元に10%ずつ薄くした色が並んでいます。
濃さは10%刻み、色味は25%刻みで変化しています。
(一部切りよくなってない数値の色もあります。)
CMYKカラーチャートのようなカラースウォッチ
【DTP-プロセスカラーチャートスウォッチ】
DTP用プロセスカラーチャートで色の確認がしやすいパレットです。
濃さと色味は全てが10%刻みの切りの良い数値で変化しています。
プロセスカラー2色を混ぜた鮮やかな表3つと、
プロセスカラー3色を混ぜた表1つと、
3色を混ぜた表にK30をプラスしてくすんだ表1つが入っています。
またK100からのグラデーションが入っています。
2つのスウォッチのダウンロードはこちらから
無料のフリー素材です。自由に改造したりして使って下さい。
→DTP-swatch-cs4-2016.zip
・CS5で作り、CS4で保存しています。
・.zipを解凍すると、.aiファイルが2つ入っています。
・2016/10/15追記: DTPchart-cs4.aiのスウォッチパネル内の並び順ミスがありましたのでデータを修正しました。ご報告ありがとうございます。(カラーグループ39のC100とC90が逆でした)
このスウォッチの使いかた
ダウンロードしたIllustratorファイルを開き、
スウォッチパネル左下の スウォッチライブラリメニューから
「スウォッチを保存」しておく。
↓
他のファイルでデザイン中、パレットが必要になった時に
スウォッチパネル左下のスウォッチライブラリメニュー
→ユーザー定義からパレットを開いて使います。
このスウォッチを作った理由
自分が数値入力で色塗りしようとした所、
最初何をどれだけ混ぜると何色になるか分からなくて
打ち込むのにすごく時間がかかったので
暇な時にDTP用スウォッチを先に用意しておいて、
そこから選ぶ方が早いだろうと思ったのでこのスウォッチを作りました。
どうして色を数値入力するのが良いのか?
パソコンのモニターで完結するデータならあまり気にしなくてもいいけど、
4色印刷のデータを作る場合『色はCMYK値を5%刻みで数値入力する』のが基本になる。
「スライダーで色々試せばもっとステキな色が出てくるんじゃないかと思って~」
「特色スウォッチならオシャレな色がたくさんあるから~」
なんて感じの色の選び方をしてはいけない。
そんなことをしていたら何時まで経っても仕上がらないぞ!私のように!
先に印刷の前提を並べてみよう。
・4色印刷で再現される色は4つのインクを混ぜた範囲の、有限の色である。
・5%以下の色の差は印刷された時見分けがつかないから、数%にこだわっても意味がない。
(C20のシャツのシワをC23で影をつけても普通の人は分からないということ。)
(また千枚万枚印刷するうちに印刷調子で全体に濃淡が出ることも当然有り、結果C20の部分がC18だったりC23だったりしてもクレームをつけることは普通しない)
・裏写りなどの印刷不良を防ぐため、インク総量(CMYKの4つの入力窓の値を足し算した数)は300%位を上限に抑える必要がある。
・特色スウォッチを使っても4色印刷の仕様では4色のインクで出来る範囲の色に変換される。
・特色スウォッチを4色印刷用に変換すると、くすんだり予想外の色になることがある。
つまりいわゆる印刷的に「使える」「好ましい」色は結構少ないわけで、
無限の色の無限の組み合わせから色選びをする必要はない。
それなのにスライダーや特色からいきあたりばったりに色を選んでいたのでは、
いつまでも色が決まらず、こだわったつもりが印刷結果は予想と違い…と
苦戦することになる。
印刷物を作るのなら、早めに頭の中をCMYK数値入力の色選びに切り替えていくのが良い。
数値入力に加えて、プロセスカラーチャート(印刷された冊子)と
すぐ付きあわせて確認する癖をつければ、色決めに自信が持てるから
モニターやプリンターの色にいちいち振り回されないで済むようにもなる。
(参考程度に割りきって見る)
cmykの色使いに慣れればそのうち頭の中でcmykを混ぜてぱっと数値を打ち込めるようになるから、このスウォッチなんかはいずれ出番が無くなるんじゃないかと思います。補助輪みたいなもので。
あと自分の作品が数点仕上がれば、自分の過去の作品が最も使いやすいカラーパレットとして機能するようになるような。
5%数値入力についての補足
「色はCMYK値を5%刻みで数値入力」はあくまでも基本というだけで
C12.35とかの小数点なんて印刷機が壊れちゃう!印刷所に怒られる!というわけじゃないですよ。
全然普通に印刷できます。グラデーションだって刷れるんだし。
データ内の色の数値なんて分版プレビューで特色さえ入ってなければ
トンボ以外は、トンボ以外は(大事なことなので2回)印刷所の人は普通1個1個調べたりしないです。
5%刻みをおすすめるのは、
自分が色を見る基準として把握しやすいとか、
プロセスカラーチャートで調べやすいとか、
こげ茶や黒でインク総量が300%超えないように、また薄い色を5%以下にしないように意識しやすいとか
色校時にこれいくつだっけ?M20にしては濃くない?みたいな時に分かりやすい、といった
自分にとって充分なメリットがあるから便利、ということです。
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2012/11/25追記
文章の分かりにくい部分をちょっと修正・追加しました。数ヶ月放置したブログを見に来たら拍手がついてて嬉しかったので。ありがとうございます。
2013/2/3追記
Illustratorファイルの中には、スウォッチだけでなくスウォッチ作成に使ったブレンド拡張後の状態のチャートのオブジェクトも入っています。スウォッチで無くこれを使いたい方もどうぞご利用下さい。
2013/4/6追記
★5%刻みを薦めているくせに【DTP-28色スウォッチ】は色相は25%、濃さは10%刻みになってます。
これは大体の色をクリックで決めたら、カラーパネルの数値を自分で入力して微調整してほしいな~というつもりです。(最初この倍くらいの細かい刻みで作ったら使い勝手が悪かったので28色に絞ったのです。)ただここで数値で打つのを面倒がってスライダーをざーざーやり始めてしまうと元の黙阿弥なので色の調節の仕方はこちらの記事
・オリジナルの色を作る:スライダー編
・Illustratorの操作でちょっと楽 入力編
を参考にしてもらえれば楽になるかと思います。
★CMYKやりにくいなって人は、先に普段自分が考えてる12色位を印刷されたカラーチャートで探して丸をつけて、それだけは%を暗記しちゃうといいですよ。まずは使用頻度の高い赤(M100%Y100%)とかから。
★Illustrator初めての人が(どの色使っていいいか分かんない…)→(用意されてるのから選ぼう)→(新規ファイルのスウォッチは足りないな…)→(あーここに沢山あった!=スウォッチライブラリ/カラーブック/DICやPANTONEの特色スウォッチ)→(印刷トラブル)というよくある流れをなんとかするのに、このスウォッチが役に立ったらいいなあと思っています。
プロセス・特色の違いが分からない状態で有り物スウォッチ使おうという時に、
キレイに見える特色スウォッチに惹かれちゃうのも無理は無い気もするし。
フリースウォッチ配布記事なのに、なんだか長文になりまして。
当たり前の色が並んだ普通のスウォッチですが、そこが便利ですのでぜひぜひご利用下さい。
追記:色見本について
普段のカラーチャートは私はこれを使ってます。大きめで開きっぱなしにできるのが使いやすいのでおすすめ。
これはプロセスカラー(CMYK)用の基本的なチャートです。CMYKの4つの版を重ねる(掛け合わせる)と何色ができるか?というチャートです。
DIC セルリング型カラーチャート
あと最近の印刷通販さんでは用紙別の印刷見本の無料サンプルが頂けるところもあります。(グラフィックさんの見本請求)
参考までに)
プロセスカラーではない、特色のカラーガイドはDIC社、PANTONE社からいろんなのが出てます。
特色の色見本は蛍光色や金銀、パステルなどあって見ていて超楽しいんですが、わりと高いので仕事で必要になったら購入すればよいと思います。特色を使う時は特色インク代で印刷費が高くなったりしますので、仕様をよく調べてから指定して下さい。
特色の場合は1版に1インクなので掛けあわせのチャートではなく混ぜ終えたインクごとの区分けになっています。網点を使わないので薄い色でもぺったりした仕上がりです。切り離して印刷所に渡せるようにミシン目が入ったチップ状になっているタイプもあります。
特色も業種によってDICを主に使う所、PANTONEを主に使う所とあるようなので相手がどちらを使ってるのか確認を。
PANTONE 色見本 パントン GP1606N ソリッドチップス/2冊組(コート紙、上質紙)
追記:プロセス4色と特色の違いについて思ったことの記事。
データ作成以前のプロセス4色と特色の違いについて