12月10日にユニスターよりQNAPの新型ネットワークメディアプレーヤー「NMP-1000P」が発売された。NMP-1000に続く2代目の製品だが、型番は末尾にPが付いたのみでマイナーバージョンアップを思わせる採番となっている。旧型と比べて何が変わったのか、早速見ていこう。
ネットワークメディアプレーヤーは各社から販売されているが、海外製品と国内製品ではネットワーク上のコンテンツをどのように取得・再生するかという点で差があることが多い。例えば、国内製品がDLNAクライアントとして動作するよう設計されているのに対し、NMP-1000/NMP-1000Pを含め、海外製品の多くは内蔵ストレージを再生するメディアプレーヤーを拡張し、ネットワーク上の共有ファイルにアクセスできるようにしている、という印象だ。
そのため、国内製品はメディアレベルでの機能が充実しており、DLNAサーバによってカテゴライズされる著作権保護機能、DTCP-IPに対応しているといった特徴がある。一方で海外製品は、ファイルシステムと同じくフォルダ/ファイルでの管理となり、DTCP-IPにも対応しないなど、よくも悪くもローレベルな対応といえる。これは逆に「余計なことをしない」という機能を求めるユーザーにとっては、このうえなく魅力的な製品と言い換えることもできるだろう。
NMP-1000Pは、SATA HDD1基を搭載可能なNAS兼ネットワークメディアプレーヤーで、前述の通り、QNAPとしては2代目にあたる。NASキットが主力製品である同社らしく、NAS機能も充実しているのが特徴だ。前モデルのNMP-1000とは外観上の違いはほとんど見受けられないが、背面はインタフェースの統廃合による違いがある。追加されたのは外付けドライブ接続用のeSATA、廃止されたインタフェースはS-Videoと同軸デジタルオーディオだ。必ずしもレガシーなものが廃止されたというわけではなく、コンポジット出力は残っている。
その一方で、スペックの向上は目を見張るものがあり、もはや別物といってもよいほどだ。その立役者とも言えるのがSigma Design製プロセッサ「SMP8643」だ。SMP8643は、MIPS CPUをベースとしたSoC(System On Chip)で、NMP-1000で採用されていたSMP8635と比較すると、コアがMIPS 4KEcから74Kになり、クロック数で300MHzから667MHzへと大幅に引き上げられた。性能比でもCaffeineMark3.0のスコアで460から1840の4倍に、DMIPS値で2223から5649の約2.5倍に伸びている。また、プロセッサの仕様が変更されたことで、メモリはDDR 256MバイトからDDR2 512Mバイトに倍増、内蔵フラッシュメモリは64Mバイトから256Mバイトと4倍になった。
その結果、NASとしての基本性能が向上しているほか、負荷の高いデコード処理を楽々とこなせるようになっている。BD-VideoのISOイメージをネットワーク経由でまともに再生できるだけでなく、JavaVM(CVM)が搭載されているため、BD-Jにも対応できるのはうれしい。なお、初期状態ではブルーレイナビゲーションが字幕/音声/チャプターを簡単に変更できるシンプルメニューになっているため、BD-Jを利用するには対話型メニューに切り替える必要がある。
音声に関しても新たに高品質DAC「WM8524」を搭載し、8〜192KHzにおいて24ビット変換をサポート、106dBのSN比を実現している。対応フォーマットはロスレスのFLAC、APEをはじめPCM、WMA、MP3、Ogg、AC3/Dolby Digital、DTS、WAVに対応する。
また、性能が向上していながらも消費電力は低減した。内蔵HDDを搭載しない場合、NMP-1000Pの操作中消費電力はわずか10ワットと、NMP-1000の待機状態の11ワットを下回っている。つまり、NMP-1000PをつけっぱなしでもNMP-1000の待機状態よりも省電力ということになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.