ジャストシステム、一太郎2010やATOK 2010を発表
~ATOKはiPhone、Android向けも近く投入。Google IMEは歓迎

今回の新製品

2010年2月5日 発売



 株式会社ジャストシステムは、「一太郎2010」や「ATOK 2010」を始めとするオフィス向けソフトを2010年2月5日より発売する。

 ラインナップと価格は、日本語入力システム「ATOK 2010 for Windows」が8,400円、リアルタイム翻訳機能を追加した「ATOK 2010 for Windows [プレミアム]」が12,600円、ワープロソフト「一太郎2010 [25周年記念パック]」が21,000円、表計算ソフト「三四郎2010」が3,675円、プレゼンテーションソフト「Agree 2010」が6,300円、グラフィックソフト「花子2010」が10,290円、メールソフト「Shuriken 2010」が5,040円、上記ソフトにPDF作成ツールなどを加えた「JUST Suite 2010」が26,250円。いずれも通常版の価格。三四郎2010とAgree 2010はダウンロード販売のみとなる。

発表会でATOKの説明を行なったコンシューマ事業部企画部の井内有美氏

 ATOK 2010は、文脈処理における新しいアルゴリズムを導入。同音異義語の出現確率や、前方単語との距離を考慮した組み合わせ確率を総合的に判断。また、変換エンジンのベースとなる統計情報も洗練し、変換精度を上げた。

 例としてATOK 2009では「歓談の佐賀は何彩りを与える」となるのが、ATOK 2010では「寒暖の差が花に彩りを与える」となり、「社内に派遣先材がそろっている」は「社内には検査機材がそろっている」と変換されるようになる。また、「エコ素材」などが含まれる文章では「ほうそう」が「包装」に、「新番組」などが含まれる文章では「放送」になる。

 校正支援機能として「重ね言葉の指摘」を追加。「あらかじめ予約する」、「すべてを一任する」など、同じ意味の言葉を重ねて使っている場合に、指摘と訂正候補を提示する。また、カタカナ語を入力しようとして、間違って英語の綴りを入力した場合に、自動的にカタカナ語に変換できるようになった。

 「英語入力支援機能」も強化。推測入力の精度を上げたほか、これまでは、単語ごとにスペルチェックを行なっていたが、複数単語に対するチェックや、指摘理由の表示に対応。推測候補モードに表示されるウィンドウも一新され、推測候補、スペルチェック、和英変換がまとめて表示されるようになった。

 「ATOKダイレクト」は操作が特殊で使いづらいという指摘を受け、「End」キーで簡単に使えるようになった。「広辞苑」や「はてな」の電子辞典プラグインを使うことで、一般的単語の意味や、「ただしイケメンに限る」といったネット上の新語の意味まで表示できる。

 プレミアムバージョンでは、「8カ国語Web翻訳変換for ATOK」が付属。これにより、日本語を入力して、「Shift」+「Enter」を押すだけで、英語、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語へのリアルタイム翻訳ができるようになる。

ベースの統計情報を洗練文脈を考慮した同音語の変換精度向上アルファベット入力をカタカナに直して変換
重ね言葉の指摘。修正候補も表示される複数の語に対する英語スペルチェックに対応英語推測候補の一覧性向上
ATOKダイレクトによる広辞苑との連携はてな辞典との連携プレミアムバージョンでは8カ国語の翻訳機能を搭載

その他の製品の説明を行なったコンシューマ事業部企画部の大野統己氏

 一太郎2010は、人気機能を中心に強化が図られた。「POP文字」機能では、文字にグラデーションやストライプが使え、背景を透明にできるようになった。文書を自動的に解析して、見だしをつける「オートブック」機能は、「カラースキーマ」機能が追加され、統一した色調で色を変更できるようになった。また、別アプリケーションのファイルを読み込む「シート」機能がPDFにも対応した。

 三四郎2010は、表計算の作成中に起こる誤りを防止する機能を強化。Agree 2010は、発言者の画面にだけノートを表示する「発言者ツール」や、立体的な画面の切り替え効果などが追加。花子2010は、一太郎と同じカラースキーマや、角度や等しい辺を示す数学図記号の表記に対応。Shuriken 2010は、Gmail、Yahoo!メール、Windows Live Hotmailなどに対応したほか、メールに付箋を貼り付け、Todoチェックなどに利用できる機能を加えた。

 なお、一太郎2010とJUST Suiteは一太郎の25周年を記念したパッケージとなり、グラフ作成ツール、スケジュール図作成ツール、写真アレンジアドイン、歴代一太郎の起動スプラッシュが添付される。

一太郎2010の画面一太郎2010の特徴三四郎2010の特徴
Agree 2010の特徴花子2010の特徴Shuriken 2010の特徴

 8日に行なわれた発表会では、6月に代表取締役社長に就任した福良伴昭氏が挨拶。福良氏は創業当初から一太郎シリーズの開発に携わってきた人物。「社長としての経験や、前社長に比べインパクトは欠けるかもしれないが、お客様に喜んでいただけるソフトを提供していきたい」と意気込みのほどを語った。

 また、PCを取り巻く環境が変化しても、ATOKにおける、文章作成を支援し、考えを人に伝えるための表現力を追求するという姿勢に変化はなく、むしろPC以外の端末へも積極的に展開したいと述べた。

 さらに、コンシューマ事業部企画部の佐藤洋之氏は、ATOKの将来について、iPhone、Android、Chrome OSといったプラットフォームに向けた製品も計画中であることを明らかにした。その先には、「Cloud ATOK」、「RIA (Rich Internet Application) ATOK」、「Web ATOK」といったものも予定しており、「皆さんが想像するよりも早く市場に投入する」との計画を示した。

 質疑応答でGoogle日本語入力を脅威と感じるかという質問に対しては、「Googleのような新しい取り組みをしている企業が日本語IME市場に参入することで、この市場に対する注目が集まる」と、参入を歓迎した。

代表取締役社長の福良伴昭氏コンシューマ事業部企画部の佐藤洋之氏ATOKの将来像

(2009年 12月 8日)

[Reported by 若杉 紀彦]