セゾン情報システムズは、ファイル転送やデータ転送が可能なシステム間連携ミドルウェアで知られる。その信頼性は高く、全国銀行協会の会員銀行では100%、日本自動車工業会の加盟企業100%を達成していると同社は強調する。ファイル転送ミドルウェアであるHULFTが、IoTの普及を視野に入れながら、存在感を高めているという。セゾン情報システムズの常務取締役、最高技術責任者(CTO)を務める小野和俊氏に話を聞いた。
――セゾン情報システムズとはどんな企業か。
セゾン情報システムズの常務取締役 最高技術責任者(CTO)を務める小野和俊氏
小野氏クレジットカード大手のセゾン傘下で、カードシステム事業としてクレディセゾンのシステムを汎用化しています。金融系のシステムを作り、システムサービスセンターを持っています。一方、収益に最も貢献しているのがHULFTです。アジアでシェア1位、世界でシェア4位を獲得しており世界一にチャレンジをしているところです。
――その中で特に注力していることは。
小野氏事業部ごとに注力していることがあるのですが、2015年のAWSの年次イベント「re:Invent」でHULFTが「Think Big」賞を受賞するなど、「クラウド時代のHULFT」が大きなテーマになっています。焦点はクラウドと社内システム間の高速連携です。
もうひとつがIoT時代のHULFTというテーマで、 IoTシステムの連携に特化したミドルウェア「HULFT IoT」を3月にベータリリースして、9月の製品リリースを目指して十数社で共同の実証実験をしています。
話題だから対応したわけではありません。HULFTの価値はシステムの確実性であり、安心安全という評価から全国銀行協会の会員銀行では100%、日本自動車工業会の加盟企業100%に使われているという実績です。
ソフトウェアの方向性はオープンかつ動的な「アジリティ」か静的な「スタビリティ」に分かれますが、クラウドやIoTといった変化の激しいところにポジションを置いているシステムは、アジリティは非常に高くてもスタビリティは低くなってしまう。でも、HULFTはその両方を持っています。そこで、この製品の開発に注力しています。
――金融や製造のユーザーで、スタビリティとアジリティを兼ね備えたシステムを作ろうというケースは増えているか。
小野氏アジリティを求めようとしても、これまで投資してきたスタビリティであるメインフレームという資産を持っています。新しくクラウドを使っていこうというとき、メインフレームの基幹系をやめるわけにはいきません。つまり、アジリティをやろうとしたら、スタビリティが必然的について回ります。そうすると、それらをつなぐソフトはどうするのか。