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もっと楽しい検索を--百度の技術を統括する元はてな社員

鳴海淳義(編集部)2008年04月21日 14時03分

 中国の検索サービス「百度」が日本で正式サービスを開始してから約3カ月が過ぎた。スピードを体感できるウェブ検索と、動画や画像といったエンターテインメント性のある検索が好評を得ている。ただ、それでも日本の検索市場の2強、ヤフーとGoogleに対抗するのは簡単なことではない。

 日本版百度はどう立ち向かっていくのか。百度株式会社のたった1人の日本人エンジニアである水野貴明氏に、日本版百度のコンセプトや、検索エンジンを悩ませるスパム事情、日本市場で成功する秘訣などを聞いた。

はてなから百度へ

--水野さんは、はてなから百度に移られたんですね。どういった経緯があったんですか。

水野貴明氏

 はてなではアプリケーションエンジニアをやっていました。実際にコードを書いて、どちらかというと既存のサービスを改善していく立場です。「はてなダイアリー」というブログサービスや、アクセス解析の「はてなカウンター」というサービスが中心でしたが、はてなが提供しているサービスのほぼ全部に関わっていました。アプリケーションエンジニアが少なかったので担当が決まっているわけではないです。

 はてなという会社は検索エンジンからのユーザー流入がすごく多いんですね。検索エンジンのインデックスが変化すると、アクセス数もすごく変化する。

 そういうのをずっと見てきて、やっぱり検索エンジンがインターネットの入口なんだと実感したので、その根幹の部分を見てみたいという思いがありました。あとは検索エンジンの内部のシステムは基本的に非公開ですよね。なので、中に入らないと仕組みまでは見えない。そこに今回、百度から声をかけてもらったので、中を覗いてやろうという気持ちで入社しました。

 百度には4つの検索サービスがあるんですけど、現在はそのなかでもウェブ検索を中心に、どうすればより良い結果を出せるかを調査したり、中国のエンジニアとやり取りしながら、日本のウェブページに特有な部分を情報共有して、開発を進めていったりしています。日本の百度はまだ、僕が技術者として入ってきた社員の第一号なんです。

 技術統括という立場にはいますが、実はまだ一人しかいないんです。今後、だんだんと増えていくと思います。

--単なるローカライズではなく、日本独自で検索サービスを作っているんですか。

 日本の百度は中国のローカライズではないです。ほとんどのエンジニアが中国にいるので、日本向けに中国で作っているのが現状ですね。僕は中国の開発陣に対して、こういう機能が欲しいとか、こういうことができないか、と日本から指示を送っています。

 インターフェースや内部の検索の仕組み、どのような検索結果をどのようなバランスで表示するかというのは、すべて日本から指示を出して動かしているんです。

 例えば、検索結果の画面はこんな感じにしようとか、こんなサイトが検索結果に出た方がユーザーさんにとって便利だとか、検索結果を改善するためにどのようなクロール技術が必要かなどを日本でリサーチして中国に渡しています。

検索をもっと楽しく、面白く

--日本版のトップページに検索ワードランキングやブログ検索ランキングなどが表示されていますけど、これも日本独自で提供している機能ですか。

 そうですね。中国の百度には検索ランキングのような機能はないので、完全に日本独自です。ほかにも日本独自の機能はあります。現在は大きなプロダクトというくくりではすでに中国にあるものしかないんですが、個々の細かい機能は日本向けに開発しています。

 例えば画像検索にはスライドショーやアルバム表示という機能があるんですが、それも日本にしかないです。あと、これは環境の問題なんですけど、アダルトフィルター機能も日本独自に提供しています。中国はそもそもウェブサイトにアダルト情報を出すことが禁止されていて必要ないんです。

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