米Yahooが米国時間5月23日夜、新しい「Axis」ブラウザによってブラウザビジネスに参入することを発表する。「iPad」と「iPhone」向けのバージョンと、デスクトップブラウザ「Chrome」「Firefox」「IE」「Safari」向けのプラグインがある。
YahooのSearch Innovation Groupで製品部門を率いるEthan Batraski氏によると、設計上の目標は、クエリの入力、結果の閲覧、ページへの移動という通常のウェブ検索プロセスにおける中間的なステップを取り除くことにあるという。Axisを使うと、多数のリンクを確認するステップを省略して、クエリからページに直接移動できるようになる。
Axisでは検索結果からの選択がまったく不要になると予想するのは誤りだが、Axisには、ユーザーが検索からウェブページ訪問までを実行するための優れた方法が用意されている。このブラウザの機能は良好だ。これは、苦境に立たされているYahooにとって、同社検索グループが投入する挑戦的な製品である。
その理由は次の通りだ。Yahooは、検索部門からの売り上げがいまだに年間10億ドル以上あり、その多くを検索プロセスの2番目のステップから得ている。同社は検索結果のページで広告を表示している。
Axisには、検索結果のページがない。
代わりに検索時にユーザーに提示されるのは、(Batraski氏によると、少なくとも検索回数の80%において)ウェブページのサムネイルが横に並んだ表示である(残りの20%は、結果を含むテキストボックスが表示される)。表示されたページの1つが探していたものであるか確認することは容易であり、そのページには直接移動できる。タイルを再表示して別のページに移動するには、トップからページをプルダウンするだけだ。現在のページで検索リスト内を前後に移動するには、検索結果のリストを使わずに、指で右または左にドラッグする。
はっきり言うと、実際には検索結果のリストは存在する。同リストがブラウザに統合されているため、より良いものになっているように見える。この製品がユーザーに受け入れられると仮定すると、広告は最終的に検索タイルのリストに挿入されるだろう。しかし、現段階では、Axisが成功するほど、Yahooのトラフィックは検索による売り上げから縁遠くなる。同社では、検索による売り上げが何年もの低迷を経て前四半期に回復し始めたばかりだ。
ブラウザをリリースする際の戦略として、ユーザーエクスペリエンスを何より重視し、検索による売り上げを断念するというのは、理にかなっている。なぜなら、市場でブラウザを印象付けるのは難しいことだからだ。筆者は、Batraski氏に対し、市場シェアの獲得に苦戦し、ほとんど失敗に終わっている他のブラウザ(Flock、Rockmelt、Opera、AT&TのPogoなど)があるなか、Yahooが自社製品に勝算があると考えている理由を尋ねた。
Batraski氏は、その答えが配信にあると述べる。Yahooは現在、7億人のユーザーを擁し、彼ら全員を対象にマーケティングできるという。さらに同社は、ブラウザを今も年間8000万人に配信しており(そのほとんどがYahooの埋め込み式のツールバーを搭載するIEである)、少なくともデスクトップOSへのブラウザの配信方法を知っている。しかし、デスクトップ版Axisは厳密にはブラウザではなく、ユーザーが元から利用しているブラウザと連携するプラグインだ。ブラウザの左下にある、プラグインのURL用と検索用のボックスを利用すればYahooから結果を得られるが、その存在を忘れてブラウザの標準のURLや検索用ボックスを利用すると、元から使っているサービスから結果が得られる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したもので す。
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