「あなたが見たままのものが手に入る」。
TechCrunch50で好評を博したiPhoneアプリケーション「セカイカメラ」は、究極のWYSIWYG(What You See Is What You Get)を実現する。日常のある場所をiPhoneのセカイカメラごしに見ると、他の誰かがそこに残した情報が浮かび上がってくる。つまり、iPhoneの画面を通じて見えるものが、そのまま自分の情報として得られるということだ。
9月25日、日経コミュニケーション主催の開発者向けイベント「オープンモバイル・コネクションズ2008」で、セカイカメラを開発する頓智・CEOの井口尊仁氏がプレゼンテーションを披露した。
「我々が考えているセカイカメラのインターフェースというのは、空間に存在する情報そのものが何らかの表現力をもって迫ってくるというものなんです。そこにある空間の中に情報を見出していく。そういう仕組みがセカイカメラです」
井口氏はこう語った後、セカイカメラが実現するであろう世界観を、いくつかの利用シーンとともに提示してくれた。セカイカメラが何かを知るには具体例を見るしかない。とはいえ本当に実現可能なのだろうかと、一瞬呆気に取られてしまう、まさに夢のような世界だ。
例えば、街中に下の写真のようなソフトバンクモバイルの屋外広告があったとする。キャメロン・ディアスがかわいい、大好きといった感想を持つかもしれない。そういった情報をセカイカメラはリアルな空間に投影する。
セカイカメラが現実のものになればこんなことが可能になるという。キャメロン・ディアスについての感想を直接、iPhoneのマイクに語ると、その言葉がテキストに変換されて、まさにその場にあるキャメロン・ディアスの顔に貼り付けられる。これをセカイカメラごしに覗いてみる。同じ場所に来た別の誰かがその発言を見つけ出し、その場の体験を共有できるようになる。
これは特定の商品でも同じことだ。モバイルSuicaという商品について、ウェブブラウザで情報収集すると、即座にその使い方、メリットなどを確認できる。
セカイカメラを使うとどうなるか。例えば駅の中に貼ってあるポスターをセカイカメラごしに見る。すると、その場で使い方が表示される。あるいはそれについて誰かが書いたこと、語ったことをその場で知ることができる。
あるいはUFOキャッチャーの景品にあったリラックマというキャラクター。一生懸命、彼女のために取ろうとして頑張ったが取れなかったとしよう。
そんなときセカイカメラを使うと、その商品がどこで、いくらで買えるのかが検索できる。「実際にその場でお金を払って買うこともそんなに難しくない」という。
どこにいてもネット接続できるiPhone 3G。スターバックスに行ってインターネットを楽しんでいたとする。その場でメニューをみたり、メニューについての他の人のコメントを閲覧したり、これらはすでに実現されている。
では、ここにセカイカメラが加わるとどうなるか。スターバックスのおすすめメニューや、友人がおすすめしてくれるメニューが目の前の空間に表示されるのは当たり前。行きつけのスターバックスにお気に入りの席がある、特定のバリスタが作ってくれるブレンドが飲みたい--。そんなときに、お店に到着する手前で問いかけると、スタッフが「空いてますよ」「いまは満席ですよ」と、バリスタが「10分後にはできてます」「こんなブレンドもおすすめですよ」などと答えてくれる。
ここまで読むと、そろそろ「セカイカメラって本当に実現可能なの?」「ちゃんと動くモノはあるの?」と心配になってきた人もいるかもしれない。iPhoneに、あるいは1つのアプリケーションにそこまでの能力があるのだろうか、と。
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