[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/コンテンツにスキップ

CPシステムII

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
CPS-2から転送)
ロゴタイプ

CPシステムII(シーピーシステム ツー)とは、1993年に『スーパーストリートファイターII』と共に出荷されたカプコン開発のアーケードゲームシステム基板である。海外を中心にCPS-2と略されることがある。以降、記事中ではこの略称を用いる。

概要

[編集]

CPS-2は、2種類のボードから成り立っている。

Aボード
JAMMAハーネスに接続し、またCPS-2用ゲームに共通の構成要素を含む。
Bボード
ゲーム本体が格納される。

A、Bのボードの関係は、基本的には家庭用ゲーム機とそのカートリッジの関係と同じものである。2種類のボードは出荷地域(リージョン)ごとに色分けされ、同じ色の組み合わせでないと使用できない。CPS-3と比べると、基板は非常に大きい。

CPS-2はプログラムROM暗号化することでプロテクトされており、Bボードには復号キーを格納したバッテリーバックアップメモリが備わっている。だが電池が切れると復号キーがメモリから消失してしまい、暗号化されたプログラムをデコード出来ずゲームが実行できなくなる。電池切れを含めての故障は、メーカー側に送れば2万円程度で修理出来るシステムであった(2015年3月15日から2019年2月27日までは電池交換のみで、電池交換+セキュリティ書き込みで7,500円程度+送料)。ただし改造(個人による電池交換を含む)防止のために貼ってある封印のシールがないと、修理に応じないというシステムでもあった。『ヴァンパイア』以降、封印シールは廃止された。

後に発売されたCPS-3は電圧の許容幅が狭く、多少のオーバーでも故障の原因になってしまい、更にソフト変更時のインストールに時間がかかる仕様だった。それに対してCPS-2は、壊れにくく非常に安定したパフォーマンスを誇り、対応ソフトも多かった。

部品調達難に伴い、2015年3月31日(カプコンサービスセンター2015年3月14日到着分)に基板自体の修理サポートが終了した[1]。継続されていたカートリッジの電池交換も、カプコンサービスセンターからセガ・ロジスティクスサービスへのアーケードゲームの修理サポート業務移管に伴い、2019年2月28日(カプコンサービスセンター2019年2月27日到着分)をもって終了した[2][3]。これに伴い、基板自体が故障したり、セキュリティ・カートリッジの電池が切れた場合は完全に稼働不可となった(セガ・ロジスティクスサービスによるメーカーサポートも受けられない)。

Qサウンドロゴ画面
CPS-2には音声のサラウンド効果を演出するQサウンド英語版のチップが内蔵されており、一部の後期作品を除きゲームのデモ画面ではQサウンドのロゴ画面が表示される。CPS-2のゲームの移植作品でも、パッケージやディスクのレーベル面にQサウンドのロゴが印刷されていたり、ゲーム中にQサウンドのロゴが表示されたりする[4]
Qサウンドロゴ画面では、ゆったりとした曲調の音楽とともに、画面上部に『QSOUND VIRTUAL AUDIO』のロゴ、画面中央にQサウンドの権利関係の英文、画面下部に『CAPCOM』のロゴが表示される。音楽は各作品でアレンジが異なり、また『ストリートファイターZERO3』と『プロギアの嵐』の2作品のみは共通して異なる曲が流れ、タクミコーポレーションエイティング/ライジングが開発した作品は音楽は流れない。PlayStation 2の『ロックマン パワーバトルファイターズ』と『ストリートファイターZERO ファイターズ ジェネレーション』はBGMも含めてこの画面が再現されている[5]
Qサウンドの権利関係の英文は権利の変遷に合わせて大きく分けて3パターン存在し、またゲーム中で使われるフォントで表示される場合と、ロゴ画面用の独自のフォントで表示される場合がある。
英文の内容は以下の通り。
  • パターン1:『スーパーストリートファイターII』で使用
QSound Chips have been developed by Archer
and incorporate Archer's proprietary QSound
sound enhancement technology
  • パターン2:『ダンジョンズ&ドラゴンズ タワーオブドゥーム』から『X-MEN VS. STREET FIGHTER』まで使用
QSound Chips have been developed by QSound
and incorporate QSound's proprietary QSound
sound enhancement technology.
最後のピリオドがないパターンも存在する。
  • パターン2.1:『スーパーストリートファイターIIX』で使用
QSound Chips have been developed by QSound
QSound and incorporate QSound's proprietary
QSound sound enhancecment technology.
3行目の『enhancecment』は原文ママ。2行目の最初に『QSound』の単語が追加されている。このゲーム以外にはこのパターンが存在しないため、文章が誤っている可能性がある。
  • パターン2.2:『19XX -THE WAR AGAINST DESTINY-』と『グレート魔法大作戦』で使用
         QSound Chips
      have been developed
         by QSound and
incorporate QSound'sproprietary
         QSound sound
    enhancement technology.
4行目の『QSound'sproprietary』は原文ママ。縦画面の作品のため、改行が多くなっている。
  • パターン3:『バトルサーキット』以降(『グレート魔法大作戦』を除く)で使用
QSound technology is protected by U.S.
patent Nos.5,105,462 and 5,208,860 and
numerous foreign patents.
QSound,Virtual Audio and the QSound logo
are trademarks of QSound Labs,Inc.
ミッチェル開発の作品にはロゴ画面が存在しない。

リージョンカラー

[編集]

仕様

[編集]
  • メインCPU:カプコンカスタム 68000 @ 16MHz
  • サウンドCPU:ZiLog Z80 @ 8MHz
  • サウンドチップ:Qサウンド @ 4MHz
  • カラーパレット:32ビット
  • 最大同時発色数:4,096色
  • タイルあたりの色数:16(4ビット/ピクセル)
  • オブジェクト数:900(16×16ピクセル)
  • スクロール面数:3
  • 解像度:384×224

作品リスト

[編集]

断りが無いものは販売・開発共にカプコン。

リリース日 タイトル 備考 出典
日本版 海外版
1993年10月 スーパーストリートファイターII Super Street Fighter II - The New Challengers [6]
1994年1月 ダンジョンズ&ドラゴンズ タワーオブドゥーム Dungeons & Dragons - Tower of Doom [6]
1994年3月 スーパーストリートファイターIIX Super Street Fighter II Turbo [6]
1994年5月 エイリアンVSプレデター Alien vs. Predator [6]
1994年6月 アルティメット エコロジー Eco Fighters [6]
1994年7月 ヴァンパイア Darkstalkers - The Night Warriors [6]
1994年9月 スーパーマッスルボマー Ring of Destruction [6]
1994年10月 パワード ギア Armored Warriors [6]
1994年12月 エックス・メン チルドレン オブ ジ アトム X-Men: Children of the Atom [6]
1995年3月 ヴァンパイアハンター Night Warriors - Darkstalkers' Revenge [6]
1995年4月 サイバーボッツ Cyberbots - Fullmetal Madness [6]
1995年6月 ストリートファイターZERO Street Fighter Alpha [6]
1995年11月 マーヴル・スーパーヒーローズ Marvel Super Heroes [6]
1996年1月 19XX 19XX - The War Against Destiny [6]
1996年2月 ダンジョンズ&ドラゴンズ シャドーオーバーミスタラ Dungeons & Dragons - Shadow Over Mystara [6]
1996年3月 ストリートファイターZERO2 Street Fighter Alpha 2 [6]
1996年6月 スーパーパズルファイターIIX Super Puzzle Fighter II Turbo 『ぷにっきぃず』のシステムをベースとしたパズルゲーム。また、『ヴァンパイア』シリーズと『ストリートファイター』シリーズのクロスオーバー [6][7][8]
1996年8月 ロックマン2・ザ・パワーファイターズ Mega Man 2 - The Power Fighters [6]
1996年8月 ストリートファイターZERO2 ALPHA Street Fighter Zero 2 Alpha [6]
1996年9月 クイズなないろDREAMS 虹色町の奇跡 国内のみ [6]
1996年9月 エックスメン VS. ストリートファイター X-Men vs. Street Fighter [6]
1997年4月 バトルサーキット Battle Circuit [6]
1997年5月 ヴァンパイアセイヴァー Vampire Savior - The Lord of Vampire [6]
1997年7月 マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター Marvel Super Heroes vs. Street Fighter [6]
1997年8月 カプコンスポーツクラブ Capcom Sports Club [6]
1997年9月 ポケットファイター Super Gem Fighter - Mini Mix [6]
1997年9月 ヴァンパイアセイヴァー2 国内のみ [6]
1997年9月 ヴァンパイアハンター2 [6]
1998年2月 マーヴル VS. カプコン Marvel vs. Capcom - Clash of Super Heroes [6]
1998年7月 ストリートファイターZERO3 Street Fighter Alpha 3 QサウンドロゴのBGM変更 [6]
1999年3月10日 ギガウイング Giga Wing 開発:タクミコーポレーション [9]
2000年1月 グレート魔法大作戦 Dimahoo 開発:エイティング / ライジング
2000年6月 マーズマトリックス Mars Matrix 開発:タクミコーポレーション
2000年9月 1944 1944 - The Loop Master 開発:エイティング / ライジング
2000年11月 マイティ・パン Mighty Pang 開発:ミッチェル
2001年1月 プロギアの嵐 Progear 開発:ケイブ
2001年2月 パズループ2 Puzz Loop 2 開発:ミッチェル
2001年11月 雀牌パズル 長江 開発:ミッチェル
国内のみ
2003年12月 ハイパーストリートファイターII Hyper Street Fighter II - The Anniversary Edition

備考

[編集]

CPS-1とCPS-2はいずれもゲームのスコアランキングを保存することはできない(電源投入やリセット時にランキングが初期化される)。

脚注

[編集]
  1. ^ 弊社基板製品保守サービス業務終了のご案内 カプコン 2014年9月
  2. ^ 弊社製品のサービス対応終了に関するご案内カプコン 2018年11月12日
  3. ^ 業務用アミューズメント機器のサービス業務移管スケジュールに関するお知らせカプコン 2019年3月4日
  4. ^ ゲーム中の音楽が全て家庭用にアレンジされた『ストリートファイターZERO2』除く。
  5. ^ ただし前者は「CAPCOM」ロゴが消されている。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad 現在発売中のシステム基板とソフト一覧」『ゲームマシン』第569号1998年8月1日。2023年3月21日閲覧。
  7. ^ 『カプコンアーケード 2ndスタジアム』レビュー。ほかのコレクションと重複タイトルは多いもののマニア向け移植タイトルが光る。シングルプレイ用サポートがやっぱり便利!”. ファミ通.com (2022年7月15日). 2023年4月14日閲覧。
  8. ^ 「カプコン ファイティング コレクション」レビュー 幻の名作「ウォーザード」がついにプレイできる! カプコン珠玉の10タイトルがオンライン機能をひっさげて蘇る!!”. GAME Watch. インプレス (2022年6月20日). 2023年4月14日閲覧。
  9. ^ 「CPSII」のシューティング 敵弾をはね返す カプコンから「ギガウイング」」『ゲームマシン』第584号1999年4月1日、16面。2023年3月21日閲覧。

関連項目

[編集]