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ホールド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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ホールド(英:Hold)とは、野球において一定の条件を満たした救援投手に与えられる記録。リリーフの分業化が進み、本来は救援投手全体のための指標であったセーブクローザー(抑え投手)に独占されるようになったことを受けて、1986年にアメリカで考案された。抑え以外の中継ぎ投手のチーム勝利への貢献度を客観的に評価する指標となる。

日本野球機構管轄のプロ野球では、1996年パシフィック・リーグが採用。2005年より新規定を定め、・パ両リーグが採用している(2004年までセントラル・リーグは、リリーフポイントを採用)。一方、メジャーリーグでは公式記録としては採用されていない。日本ではH、アメリカではHLDと略記する場合が多い。

山口鉄也が200ホールドを達成した最初の投手となり、これがきっかけで200ホールドを達成すると連盟表彰の対象となった。しかし、名球会には200勝もしくは250セーブ達成のいずれかが投手の入会の条件になっているが、ホールド数はその条件にはなっていない。

規定

日本プロ野球

以下の4つの共通条件を満たすこと[1]

  • 先発投手勝利投手敗戦投手のいずれでもなく、セーブが記録されてもいないこと
  • 自チームの最終守備イニングの3アウト目を取った投手(交代完了投手)ではないこと
  • アウトを1個以上取ること
  • 降板した後、自身に記録された失点によって自チームが同点に追いつかれる、または逆転されていないこと

この状態で、以下のいずれかを満たした投手にホールドが記録される。

  1. 自チームがリードしている状況で登板し、以下のいずれかの条件を満たしリードを保ったまま降板する(セーブの条件に準じる)
    1. 3点以内リードの場面で登板し、1イニング以上投球する
    2. 迎える2打者に連続本塁打を打たれたら同点または逆転される場面で登板する
    3. 点差に関わりなくリードした状況で登板し、3イニング以上投球する
  2. 同点の状況で登板し、以下のいずれかの条件を満たして降板する
    1. 同点のまま失点を許さずに降板する(自身に記録される失点であるかどうかは関係ない。また、最終守備イニングを投げ終えて引き分けの場合には、その投手に交代完了が記録されるため、上記共通条件の2番目を満たさなくなる)
    2. 登板中に自チームが勝ち越した場合、リードを保って降板する[2]

該当者が複数の場合は該当者全員にホールドが記録される。また、チームの最終的な勝敗に関係なく記録される(ホールド条件を満たして降板した後、チームが逆転負けを喫した場合でもその投手にはホールドが記録される)。

2004年まで運用された旧規定のホールドとは別扱いで記録される。この旧規定はメジャーリーグの規定と同じ条件であった。

増井浩俊オリックス・バファローズ)は12球団からホールドを記録している(ほか、12球団からセーブも記録している)[3]

メジャーリーグベースボール

日本プロ野球の規定とほぼ同一であるが、同点の状況で登板して抑えてもホールドが記録されることはない。

ホールドに関する個人記録

日本プロ野球

通算記録

順位 選手名 ホールド
1 宮西尚生 380
2 山口鉄也 273
3 浅尾拓也 200
4 S.マシソン 174
5 五十嵐亮太 163
藤川球児
7 青山浩二 159
8 増井浩俊 158
9 又吉克樹 157
10 谷元圭介 154
順位 選手名 ホールド
11 益田直也 153
12 平野佳寿 150
13 J.ウィリアムス 141
高橋聡文
15 E.エスコバー 136
16 松永昂大 135
17 森福允彦 134
18 嘉弥真新也 129
19 松岡健一 127
20 L.モイネロ 122
  • 記録は2022年シーズン終了時点[4]

シーズン記録

順位 選手名 所属球団 ホールド 記録年 備考
1 清水昇 東京ヤクルトスワローズ 50 2021年 セ・リーグ記録
2 浅尾拓也 中日ドラゴンズ 47 2010年
3 藤川球児 阪神タイガース 46 2005年
久保田智之 阪神タイガース 2007年
5 浅尾拓也 中日ドラゴンズ 45 2011年
増井浩俊 北海道日本ハムファイターズ 2012年 パ・リーグ記録
7 山口鉄也 読売ジャイアンツ 44 2012年 左投手セ・リーグ記録
五十嵐亮太 福岡ソフトバンクホークス 2014年
9 平野佳寿 オリックス・バファローズ 43 2011年
宮西尚生 北海道日本ハムファイターズ 2019年 左投手パ・リーグ記録
湯浅京己 阪神タイガース 2022年
  • 記録は2022年シーズン終了時点[5]

メジャーリーグベースボール

通算記録

公式記録
  • 記録は2022年シーズン終了時点[6]。1999年以降の記録のみ。
非公式記録
順位 選手名 ホールド
1 マイク・スタントン 266
2 アーサー・ローズ 254
3 アラン・エンブリー 194
4 ラトロイ・ホーキンス 185
ジェシー・オロスコ
6 ポール・アッセンマッカー 180
7 マイケル・ジャクソン 179
ダン・プリーサック
9 ボブ・ハウリー 178
10 ジェフ・ネルソン 177
ポール・クアントリル
12 マイク・ティムリン 172
13 バディ・グルーム 171
14 スティーブ・リード 168
15 リック・ハニカット 163
16 マイク・マイヤーズ 153
  • Baseball-reference.comによって算出。1999年以前の記録も含む。

シーズン記録

順位 選手名 所属球団 ホールド 記録年 備考
1 ジョエル・ペラルタ タンパベイ・レイズ 41 2013年 ア・リーグ記録
トニー・ワトソン ピッツバーグ・パイレーツ 2015年 ナ・リーグ記録
3 タイラー・クリッパード ワシントン・ナショナルズ 40 2014年
ルーク・グレガーソン サンディエゴ・パドレス 2010年
アディソン・リード ニューヨーク・メッツ 2016年
6 タイラー・クリッパード ワシントン・ナショナルズ 38 2011年
7 マイク・アダムス サンディエゴ・パドレス 37 2010年
ジョエル・ペラルタ タンパベイ・レイズ 2012年
9 トム・ゴードン ニューヨーク・ヤンキース 36 2004年
スコット・ラインブリンク サンディエゴ・パドレス 2006年
ビニー・ペスタノ クリーブランド・インディアンス 2012年
  • 記録は2022年シーズン終了時点[7]

ホールドポイント

ホールドポイントとは、ホールドと救援勝利の数を合計した数字のこと。HPと略す。

2005年セ・パ交流戦が始まったことに伴い、最優秀中継ぎ投手の新しい選考基準として考案された記録である。なおセーブポイントと同じくメジャーリーグでは採用されていない。

最優秀中継ぎ投手

通算記録

順位 選手名 HP
1 宮西尚生 416
2 山口鉄也 324
3 浅尾拓也 232
4 藤川球児 218
5 S.マシソン 201
6 又吉克樹 198
7 青山浩二 196
8 五十嵐亮太 191
9 増井浩俊 185
10 平野佳寿 184
  • 記録は2022年シーズン終了時点[8]

シーズン記録

順位 選手名 所属球団 HP 記録年 備考
1 浅尾拓也 中日ドラゴンズ 59 2010年 セ・リーグ記録
2 久保田智之 阪神タイガース 55 2007年
3 藤川球児 阪神タイガース 53 2005年
清水昇 東京ヤクルトスワローズ 2021年
5 浅尾拓也 中日ドラゴンズ 52 2011年
6 増井浩俊 北海道日本ハムファイターズ 50 2012年 パ・リーグ記録
7 平野佳寿 オリックス・バファローズ 49 2011年
S.マシソン 読売ジャイアンツ 2016年
9 佐藤達也 オリックス・バファローズ 48 2014年
10 山口鉄也 読売ジャイアンツ 47 2012年
  • 記録は2022年シーズン終了時点[9]

脚注

  1. ^ CENTRAL LEAGUE:やきゅう数語録 「ホールド」と「ホールドポイント」とは?[リンク切れ]
  2. ^ ただしそのリードを保ったまま試合が終了すれば勝利投手となるためホールドはつかない。自チームが追いつかれるか逆転されるかして勝利投手でなくなった場合のみホールドが記録される。
  3. ^ 【オリックス】増井浩俊“偉業”ならず 史上初12球団勝利&セーブ&ホールド目指すもリード許し降板 - 日刊スポーツ、2022年6月9日
  4. ^ 歴代最高記録 ホールド【通算記録】 - NPB.jp 日本野球機構(シーズン中は毎日更新)
  5. ^ 歴代最高記録 ホールド【シーズン記録】 - NPB.jp 日本野球機構
  6. ^ 通算記録 (MLB) - MLB.com
  7. ^ シーズン記録 (MLB) - MLB.com
  8. ^ 歴代最高記録 ホールドポイント【通算記録】 - NPB.jp 日本野球機構(シーズン中は毎日更新)
  9. ^ 歴代最高記録 ホールドポイント【シーズン記録】 - NPB.jp 日本野球機構

関連項目