トークイベント「LINK NUMAZU(リンク・ヌマヅ)VOL.23」が12月18日、クラフトビールレストラン「ONE DROP」(沼津市大手町)で行われた。
2017(平成29)年7月に始まった同イベント。沼津を拠点に活動する人をゲストに招いたトークライブと、参加者同士の交流会などを行う。
今回は、「ONE DROP」(同)の醸造責任者渡辺啓さん、書店「River Books」(下本町)店主の江本典隆さん、「沼津経済新聞」(大手町)の宮川真由美副編集長、「China285」(大手町)代表の向文英さんが登壇。約40人が参加した。
大分出身の渡辺さんは大学院卒業後、兵庫医科大学の大学職員として研究支援を行っていたが、ネズミアレルギーで飼育室に入れなくなったことから静岡に来て医薬品の安全性試験を約8年行ったという。「結婚を機に今後の人生を考えるようになり、新しいことにチャレンジしたいと思うようになった。杜氏だった祖父の影響を受け、自分も酒造りをやってみたいと考えるようになった。とある店で飲んだクラフトビールに衝撃を受け、クラフトビールの勉強や修業を始め、祖父の葬儀の弔辞で『日本酒ではないが僕も醸造家になります』と多くの人の前で祖父と最後の約束をした。2022年にワンドロップに入社し、2023年11月のワンドロップリニューアルとともに醸造責任者になった。クラフトビールファンの裾野を広げ、ワンドロップをビール文化の拠点にしたい。これからも一滴へのこだわりを持ち続けていきたい」と話した。
宮川さんは、ハッピーニュースを伝えるローカルニュースメディア「沼津経済新聞」についてや、ラジオパーソナリティー、司会業についてのこと、今年10月にリニューアルオープンした新聞店「NewStand+」について紹介した。宮川さんは「地域で頑張る人たちにスポットライトを当てたい。
時代に逆行して紙の新聞を発行し、結婚や恋人ができたことなどを伝える『お喜び』コーナーを作りたい。コミュニティースペースで偶発的な出会いを生み、沼津の人たちをつなげていきたい」と話した。
沼津市生まれの江本さんは大学卒業後、旅行系出版社に21年間勤務。「空きビル活用を目指す沼津市の事業開発スクール『_for now SCHOOL』で最優秀賞を受賞したことをきっかけに、築70年以上の空き店舗を改装して「沼津クラフト」(千本緑町)のクラフトビールと富士市のほうじ茶が飲める書店「RIVER BOOKS」を2023年9月に開業した。江本さんは「開業当初は約500冊だった本が、1年3カ月で約1000冊になった。本の販売は利益が薄くて、昨今は本が売れなくなったことから書店が減ってきているが、この店では展覧会を開いたり、クラフトビールを提供したりすることでサブの収益を得て運営している。月1回の深夜営業も行う。前職の出版社の経験を生かして、観光案内所のような書店にしたい」と話した。
「香香飯店」(同)など静岡県内で8店舗の中華料理店を経営する「China285」(同)代表の向文英さんは、学生時代に教授になりたいと博士号を取得して大学院に進んだが、経営者になるのが面白そうだと思い、スナックを立ち上げ、外国人が働ける場を提供するため多店舗経営をしていることを説明。向さんは「街で最後まで明かりがついているよう営業している。仕事が好きで、とにかく熱中してきたがコロナ禍で飲食店が開けられなくなり、街が真っ暗になった。新しい事業を始めたいと、現在は都内の大学に通い、論文を書いている。外国人も一緒に沼津を盛り上げられるよう、沼津駅前で春節祭を行い、雑技団を呼ぶイベントをしたい」と話した。
神奈川県から参加した望月汐里さんは「県外からの参加なので知らない人ばかりだったが、温かい雰囲気で参加者と気軽に話をすることができた」、東京都から参加した戸田和希さんは「民泊を運営したいと思うようになり、自分は東京生まれ東京育ちなので自然豊かな場所でやってみたいと候補地を探していた。高校時代に登山部に所属し、沼津アルプスも登ったことがある。インスタグラムでこのイベントを知り参加した。実際に参加してみて、沼津は外からの人も受け入れてくれる温かい場所だと感じ、交流会でもいろいろな人と会話することができた。沼津で民泊をやりたい気持ちがより強くなった」と話していた。