IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
エフオーアイ(6253 東証マザーズ)IPO |
成長性・収益性の点で評価できるものの、想定公募価格にもそれらを織り込んでいる印象 技術力とそれによる強みを持った一定のマーケットを堅持している印象を受ける。不況下の09.3期も大幅な対前期増益を達成しており、10.3期も伸び率は低下する見込みながら、引き続いて増益見通しになっており、安定した収益性も期待できる。 以上を考慮すると銘柄として悪くないイメージだが、株主構成上でベンチャーキャピタルの保有ウエイトが高いことが将来的には問題となりそうではある。また、株価面では、10.3期想定EPSに対して想定されている公募価格のPERは約19倍となっており、上記の成長性・収益性を十分に織り込んだ想定公募価格になっていると見られる。良い銘柄ではあると思われるものの、既にそこまでを株価に織り込んでいるのではないかと思える。 連結データ(肩は対前期比(%))
エフオーアイ(以下FOI)グループは、FOIと連結子会社3社の計4社で構成されており、半導体製造装置の要素技術の研究開発・製品開発・製造・販売を主たる事業としている。 FOIは1994年にプラズマ技術を応用した装置の研究開発を目的に設立、300mmシリコンウエハ用絶縁膜エッチング装置と装置に搭載するプラズマ源等の設計概要を確立し、神戸製鋼所との共同開発によってプラズマ要素技術の開発、複数の試作機開発、製品開発を行った。2000年に神戸製鋼所が半導体事業全般から撤退して以降は、FOI独自に開発を継続、販売を開始した。 半導体の製造工程は、一般的に前工程と後工程に分類される。前工程はシリコンウエハ上に複数の回路を構築する工程で、後工程はシリコンウエハ上の複数の回路を切り分け、成形し、パッケージングする工程。微細加工技術は、四角い小さなスペースにトランジスタ等を集積する前工程で必要な技術であり、前工程の中でも、エッチング工程等、FOIグループが対象としているプラズマ技術を応用した工程は、微細加工の重要な工程のひとつとなっている。 FOIグループは、半導体製造工程の中でも、プラズマ技術を応用した工程で使用される装置群の開発に特化しており、製品化されているものは、絶縁膜エッチング装置、アッシング装置、表面酸窒化装置となっている。
FOIのウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが設置されている。但し、09年10月22日時点で、有用なデータ・記事は掲載されていない。 |
09.3期には、FOIグループの製品が強く影響を受ける半導体製造市場では、世界的な景気後退を背景としたDRAMなどの半導体デバイスの需給ギャップの拡大によって、先端微細ライン向け投資を除く設備投資の抑制が一段と強まる状況となった。こうした環境において、FOIグループは、中長期的な市場拡大を見込んで、高集積な半導体デバイスを製造するラインへの投資拡大を行う各半導体デバイスメーカーに対して、集中的に営業を展開した。 この結果、09.3期の売上高は対前期比+約24%の増収となり、営業利益では、対前期比+約36%の増益となった。但し、台湾の一部の半導体メーカーにおいて業績悪化に伴う資金繰り懸念が生じたことから、貸倒引当金579百万円を特別損失に計上した。このことによって、当期純利益は、対前期比マイナス約34%の減益となった。 表1 製品別売上高(百万円) 07.3期 08.3期 09.3期 絶縁膜エッチング装置 6,100 8,352 9,608 アッシング装置 885 1,118 2,233 表面酸窒化装置 -- -- -- その他 68 26 13 合計 7,053 9,496 11,855 なお、FOIグループの顧客は海外企業が多く、通常は設備投資時期が事業年度の下期に集中する傾向にある。FOIグループは大手企業と比べて顧客数が少ないことから、顧客の設備投資の時期による影響を受けやすく、売上高は特定の時期=下期に偏重する傾向がある。
ストックオプションが何度も発行されているが、発行済株式数に占めるウエイトは10%に満たない程度になっている。また、ストックオプションについては、時期に応じて行使できる数量に制限がかけられている点が特徴的。 ベンチャーキャピタルの保有ウエイトが約半数となっており、かなり極端な株主構成になっているが、多くのVCはロックアップと保有確約の対象であるため、当面の株式需給に対しては悪い影響は無さそうな状況にある。 A. 発行済み株式数 19,993,300株(08.11に1:100株式分割後、単元100株) B. 公募 6,750,000株、増資によるオーバーアロットメント 1,215,000株 C. 売出し 1,350,000株(売出し元はベンチャーキャピタル)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 1,824,500株 E. うち潜在株式に算入する数 1,324,500株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 29,282,800株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 15,662,100株 既存株主へのロックアップ情報: ベンチャーキャピタル多数と会社関係者7名に対して、180日間。但し、発行価格の2倍以上での市中売却は可能。また、上場前に第三者割当増資を受けた株主であるVC多数及びストックオプションの保有者は、保有確約の対象。 表2 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 04年3月 803,000株 385円 06年3月〜14年3月 04年9月 225,500株 900円 06年9月〜14年9月 06年6月 99,000株 1,245円 08年11月〜16年10月 (10年10月まで2/3の行使制限) 06年11月 58,000株 1,245円 09年11月〜16年11月 (10年11月まで1/3、11年11月まで2/3の行使制限) 07年6月 402,000株 1,300円 09年8月〜17年7月 (10年7月まで1/3、11年7月まで2/3の行使制限) 07年12月 67,000株 1,500円 09年12月〜17年12月 (10年12月まで1/3、11年12月まで2/3の行使制限) 08年11月 170,000株 1,245円 10年11月〜18年11月 (11年11月まで1/3、12年11月まで2/3の行使制限) 目論見書での想定発行価格は850円で、この価格に基づく、公募によるエフオーアイの手取り概算額は、約5,253百万円とされている。資金使途は、プラズマ技術研究と半導体製造装置の改良等にかかわる研究開発資金に約3,253百万円を充当し、残額は借入金返済に1,500百万円、運転資金に500百万円を充当する予定。また、オーバーアロットメントとしての第三者割当増資による手取り上限額約950百万円については、全額を研究開発資金に充当する方針。 |
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本資料における個別銘柄に関する注意事項 EPS・BPS・株主資本比率の計算の元となる、純資産・総資産・株主資本は、各決算期末時点の会社公表数値を用いている。発行済株式数は、自己保有株を含まない。また、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 一株当りの配当は、株式分割・公募増資・自己株買い入れ等を必要に応じて過年度を含めて修正している場合がある。 その他の重要な注意事項 本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は、投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。 本資料は、当サイトが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、その情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当サイトの判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料の著作権は当サイトに帰属し、その目的のいかんを問わず無断で本資料を複写・複製・配布することを禁じます。 |
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