IPO初値分析・株式投資〜Hephaistos Investment Research |
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(4576 JASDAQ NEO)IPO |
強みがあるのだろうが、創薬には素人の投資家視点では、見えにくい 創薬系ベンチャー企業であるが、通常の創薬系ベンチャーが、新薬の開発から市場投入までを基本的に自力で行い、製品が市場流通した段階で一挙に利益を獲得するのが定例のパターンであることに対して、当社の場合には、ある程度の段階まで開発が進むと、製薬会社等にライセンスアウトしてしまうことを前提とした事業運営としている点が特徴的。 その視点でみた場合、利益獲得が製品の市場投入以降と、かなり期間を要する通常のパターンと異なるわけなので、もう少し早めに業績貢献をしていても良いように感じられる。何期も連続で赤字決算では、普通の創薬系ベンチャーと変わりがないし、将来の収益の点では利益の源泉となる製品を早期に手放してしまう当社のほうか、収益性に課題が発生するのではないかとも危惧される。 実際には何かしら投資家の心に響くような強みを持っているのかもしれないが、開示資料からだけでは、その点は伝わってこないように感じられることが残念。 個別データ(肩は対前期比(%))
デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(以下DWT研究所)の事業は、医薬品の研究開発を行い、現在のところ非臨床試験に到達する前の段階を基準として、一定段階に達した開発品を製薬会社等にライセンスアウトを実施することによって収益を獲得する創薬事業を展開している。 DWT研究所の創薬事業の特徴は、一般的な医薬候補品を開発するベンチャーに比べて、比較的早期の研究開発段階においてライセンスアウトが達成される点にある。これは、DWT研究所が基礎研究段階から共同研究を実施できる技術力を有していること、基礎研究段階において標的タンパク質に同定されて作用機序が明らかになっていることによって、臨床開発における開発リスクが推測されやすくなることが要因と、同社ではみている。 同社の売上高は、主にライセンスアウト時に受領するフロントマネー収入、臨床開発進行に伴ってその節目ごとに受領するマイルストーン収入、製品上市後に販売額の一定比率を受領するロイヤリティ収入、研究指導・臨床開発の協力に対して受領する研究指導料収入による。 現在、製薬会社へのライセンスアウトが完了したDWT研究所が保有するパイプラインは以下の通り。 PJ名 開発中の新薬 開発段階 ライセンスアウト先 K134 / 抗血小板剤 / 国内、米国前期第二相臨床試験開始 / 興和 K115 / 緑内障治療剤 / 国内前期第二相臨床試験開始 / 興和 HMN214 / 抗癌剤 / 米国第一相臨床試験終了 / 日本新薬 |
07.12期は興和からの研究指導料収入によって売上高を計上したが、三重大学との産学官連携口座開設や研究開発人員の拡充に伴って研究開発費が計上されたこと等によって、経常赤字となった。 08.12期も、興和からのマイルストーン収入によって売上高を計上したが、人員増加など、株式公開に向けた内部管理体制の強化に伴ってその他販売費・一般管理費が計上されたこと等によって、経常赤字となった。 マイルストーン開示において、今後の業績予想が示されているが、その前提としてK-134 は2011.12期までに日本、米国双方におけるPhaseVの開始を、K-115 は日本国内PhaseVの開始を計画し、織り込んでいる。但し、HMN-214 は、現在PhaseUa以降の臨床試験計画が未定であるために、将来の業績予想には含んでいない。 2010.12月期の売上高予想は、新規緑内障治療剤のライセンスアウト、及びライセンスアウト先との研究指導契約の締結が前提条件となり、2011.12期の売上は、K-134、K-115、及び新規緑内障治療剤の開発進展が前提条件となっている。
創薬系ベンチャー企業のため、多数のベンチャーキャピタルが出資している上に、多数のストックオプションが設定されている。 この中で、ベンチャーキャピタルの多数はロックアップ対象となっている点、逆に、創業者関連の株主はロックアップ対象外となっている点、ストックオプションの多数は想定されている公募価格よりも高い行使価格設定になっている点、が特徴といえる。 A. 発行済み株式数 13,710,500株(単元100株、08.7に1:100株式分割) B. 公募 3,000,000株、増資によるオーバーアロットメント 563,400株 C. 売出し 756,300株(売出し元は会社関係者485千株、残はVC)、既発株のオーバーアロットメント なし D. ストックオプション等の残高総数 1,010,000株 E. うち潜在株式に算入する数 392,500株 F=A+B+E 上場時点の想定発行済み株式数 177,666,400株 【参考】(株数は売り出し考慮前) ベンチャーキャピタルの推定保有株数 5,014,600株 既存株主へのロックアップ情報: 会社関係者とベンチャーキャピタル多数に対して180日間。(逆にロックアップが付されていない株主は第二位〜第四位の個人株主で合計5,275千株。) 但し、発行価格の2倍以上での市中売却は可能。また、上場されるまでに実行された第三者割当増資について、保有確約が付けられているものがある。 表1 ストックオプションの未行使残高の状況 総会決議 対象株数 行使価格 行使期間 05年8月 392,500株 2円 07年9月〜15年8月 06年3月 112,500株 250円 07年9月〜15年8月 06年11月 390,000株 800円 06年11月〜16年11月 08年3月 115,000株 800円 10年3月〜18年3月 目論見書での想定発行価格は290円で、この価格に基づく公募によるDWT研究所の手取り概算額は約787百万円とされている。第三者割当によるオーバーアロットでの手取り概算額約150百万円と合わせた資金使途は、パイプライン拡充のための研究開発費に全額を充当する予定。
DWT研究所のウエブサイトには、投資家向け情報開示のページが既に設置されている。掲載されているコンテンツは、決算公告程度となっている。 |
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